2015年12月27日日曜日

ドメーヌ・ルフレーヴの醸造家が書いた、ビオディナミ・ワインの入門書

今年もあと少し。
週明けからはお休みに入られる方も多いかと思いますが
本日は、休暇中の読書におすすめの本をご紹介します。





















ビオディナミ・ワイン 35のQ&A
/ アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュ 著
星埜聡美 訳 
立花峰夫 解説  
定価(本体2,200円+税) 白水社

「ビオディナミ」という言葉は何となく知っているけど
実は詳しいところはよくわからない。
そんな方が多いのではないでしょうか。

中小規模の一部の生産者が取り組むものと
目されることが多かったビオディナミですが、
最近になって、ボルドーの格付け第1級シャトーのシャトー・ラトゥールが
近々ビオディナミ認証を目指していると発表。
シャトー・マルゴーも一部区画でビオディナミを実験中で
同じくマルゴーの3級、シャトー・パルメも、
2008年からビオディナミに取り組んでいるというニュースが話題になりました。
(5級のシャトー・ポンテ・カネは2010年に取得済み。)

また、シャンパーニュの大手、ルイ・ロデレールも
プレスティージュ・キュヴェのクリスタルについては、
3年後には全てビオディナミ栽培となると公表。

ボルドーの1級シャトーや大手シャンパーニュメゾンが取り組み始めたことで、
今後はさらに注目を集めそうです。


















現在クリスタルに使われるピノ・ノワールは100%ビオディナミ。
シャルドネについては、3年後には全てビオディナミになるそうです。

さて、そんなビオディナミについて書かれた本書。
著書は、ブルゴーニュ最高峰の白ワイン生産者、ドメーヌ・ルフレーヴの醸造家である
アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ヴィーニュ氏。
パリの理工科大学校を卒業後「ワインへの熱狂的な思いから」ワイン造りに進み、
農業学、醸造学を修めたという方です。

本書には、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの現当主、
オベール・ド・ヴィレーヌが「刊行によせて」という序文を書いています。
オベール氏が、

「アントワーヌ・ルプティ・ド・ラ・ビーニュほど、
ビオディナミの入門書を書くのに適した人はいません。~中略~
アントワーヌはワインに関係するさまざまな科学的知識を学んでいます。
この点では、ブドウやワインを学問的に研究する科学者にも引けを取りません。」

と語るように、豊富な知識を持つ著書だからこそ
ともすれば思想的、哲学的な部分が難解と思われがちなビオディナミの説明を、
ロジカルに、わかりやすく説明することに腐心していることが伺えます。

本書は、タイトルにあるように35のQ&Aから構成されており、

「ビオディナミ・ワインはおいしいのでしょうか?」
「ビオ(有機農法)とビオディナミはどこが違うのでしょうか?」
「ビオディナミ・ワインは身体に良いって本当?」

といった素朴な質問から始まって、
徐々にビオディナミの核心に迫っていきます。

巻末にある、立花氏による解説も非常に興味深く、

「肯定派の人には理論武装の糧となるし、
否定派の人には、敵の言説の穴を探すための見取り図になるだろう。
どんな立場の人にとっても、これは必読の書なのである。」

との言葉に納得。

来年以降も、ワイン界の大きな潮流になるに違いない「ビオディナミ」。
まずはこの入門書を読んで、その理解を深めておきませんか。

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