2016年1月27日水曜日

シャトー・ムートン・ロスチャイルド2013年 初来日のオーナーファミリーがお披露目!

先日、シャトー・ムートン・ロスチャイルドより
オーナー・ファミリーのジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドさん
ジュリアンさんの父親で、ムートン・ロスチャイルドをはじめ、
シャトー・クレール・ミロン、ダルマイヤック、アルマヴィーヴァなどを所有する
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社の副会長、ジャン・ピエール・ド・ボーマルシェさん
ユーグ・ルシャノワーヌ社長が来日。

ワインショップ・エノテカ広尾本店で
シャトー・ムートン・ロスチャイルド2013年お披露目のイベントが行われました。

















ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドさんは実は今回が初来日!
昨年亡くなった、バロネス・フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人のご子息で
3人兄弟の末っ子にあたる方です。





















↑ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドさん


ジュリアンさんは、フランスのドローイングの専門家、蒐集家の顔をもち
画商としての活動もしているそうです。
美術に造詣が深いことから、
故バロネス・フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人に代わり
シャトー・ムートン・ロスチャイルドのアートラベルの
セレクションを任されていることが決まっています。





















↑李禹煥さんとジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドさん

今回、2013年のアートラベルを手掛けたのは
韓国生まれで日本を拠点に活躍するアーティストの李禹煥(リ・ウーファン)さん。
抽象的で強烈な個性を持つ作品は世界中の権威ある賞を受賞。
2000年の上海ビエンナーレでのユネスコ賞をはじめ、
ベニス・ビエンナーレ、パリのジュ・ド・ポーム美術館、
ニューヨークのグッゲンハイム美術館などで作品が展示されています。

李さんは、今回のアートラベルについて

「多くのアーティストの友人がムートンのアートラベルを手がけており、
 自分もいつかと思っていた。 今回ようやくそれが叶って本当に嬉しい。」

とコメント。
20数年前、日本人として初めて1979年のラベルをてがけた堂本尚郎氏は、
李さんの先輩だったそうです。

そして、李さんがアートラベルを手がけたかった理由がもう一つ。
実は、彼は毎日ワインを飲むほどのワインラヴァーなのだそう。

「どの国のワインがお好きですか?」と質問したところ、

「どの国のワインにもそれぞれの良さがあり、様々なワインを楽しんでいる。
 さすがにムートンは滅多に飲めないけれど。(笑)」

との答え。
















2013年のボルドー地方は、
変わりやすく気まぐれな天候が記憶に残るヴィンテージでした。
寒く湿気の多い冬と涼しい春が開花を遅らせ、
雨が少なく暑い夏によって干ばつが続きました。

シャトー・ムートン・ロスチャイルドにおいて、
収穫は過去に例を見ない記録的な速さで行われ、
通常の人員に加え、130名を超える
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社の社員が参加し、
収穫者用の食堂では、過去最多の695食(!)が振る舞われたそうです。
















↑2013年6月に完成した新しい醸造設備

2004年にシャトー・ブラネール・デュクリュから
フィリップ・ダルーアン氏を醸造責任者に迎えて以降、
品質が安定し、さらに高みに登ったと評されている
シャトー・ムートン・ロスチャイルド。

さらに2013年6月には醸造施設が刷新され、
それまでの2倍という64基のタンクを設置。
これにより、より細かい区画ごとのキュヴェの管理が容易になり
アッサンブラージュの精度が上がったようです。

2013年の収量は過去40年間で最低となりましたが、
過酷なまでの選果と、新しい醸造設備によるきめ細かい醸造によって
素晴らしい品質のワインが生まれました。

ロバート・パーカー氏が、
2013年のシャトー・ムートン・ロスチャイルドに
五大シャトーの中で最も高い評価を与えていることからも
こうした取り組みが実を結んでいると言えます。



















↑シャトー・ムートン・ロスチャイルドの新世代のオーナーファミリー
 フィリップ・ド・セレイス・ド・ロスチャイルドさん
 カミーユ・ド・セレイス・ド・ロスチャイルドさん
 ジュリアン・ド・ボーマルシェ・ド・ロスチャイルドさん
 

ワイン史に大きな足跡を残した偉大な人物、
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵を祖父に
そして、女傑と呼ばれたバロネス・フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人を
母にもつ3人兄弟。
アートとワインを結び付け、偉大なワインを生み出した先人たちの
意思をしっかりと受け継いでいるようです。


2016年1月17日日曜日

2016年 フルートグラス絶滅の危機!?

ちょっと大げさなタイトルですが
今年1月5日に英デキャンター誌で発表された
「Farewell to Champagne flutes in 2016?」
(2016年はフルートのシャンパーニュとおさらば?)
というタイトルの記事の内容がかなり衝撃的です。

↓デキャンター誌の記事はこちら。
http://www.decanter.com/learn/farewell-to-champagne-flutes-in-2016-286743/

記事を執筆したのは、
フリーランスのワインライター、ワイン講師として
イギリスを拠点に活躍しているアンネ・クレビールさん。
数少ない女性のマスター・オブ・ワインの一人でもあります。

記事によると、彼女はこの1年間
「1度もフルートグラスに触れることがなかった。」というのです。
その代わりに、彼女がシャンパーニュやスパークリングワインを飲んだのは
白ワイン用グラスだったとか。
そしてこの白ワイン用グラスこそが「素敵な香りや味わいを楽しませてくれた。」とも。





記事では、ワイングラスの名門、リーデル社のCEOや
ソムリエ、そしてシャンパーニュの生産者にインタビューを重ね、
「フルートグラスが必要でなくなる」可能性について考察しています。
 














こちらは、シャンパーニュの老舗メゾン、ルイ・ロデレールの
醸造責任者、ジャン・バティスト・レカイヨン氏。
記事によると、レカイヨン氏曰く、

「シャンパーニュのポテンシャルを最大限引き出すために、
我々は白ワイン用のグラスをよく使っている。
また、約25年前には、フルートグラスよりも大きな
独自のチューリップグラスを開発した。」

とのこと。















↑ルイ・ロデレールFacebookより

確かに、ロデレールオリジナルのグラス写真を見ると、
丸みを帯びた卵型をしているのがわかります。
こうした大振りのグラスは、クリュッグやヴーヴ・クリコといった
大手メゾンでも次々と採用されているようです。

この動きはシャンパーニュのプロ達の間だけではありません。
最近ではリーデル社から全世界で発売されたグラスシリーズ、
ヴェリタスシリーズが大きな話題を呼びました。
 
 
↑リーデル社が一昨年発売したヴェリタスシリーズ。
 左がシャンパーニュ用。右がロゼシャンパーニュ用。
 
こちらも丸みを帯びた卵型のシャンパーニュグラスで、
従来のフルートグラスとは大きく異なる形状。
ロゼシャンパーニュグラスに至っては、
ブルゴーニュのピノ・ノワール用のグラスと同じ
なんと容量が705㏄もある大きなボウル型です。
 
シャンパーニュの複雑なアロマを開かせるには、この形が最適なのだとか。
 
実際、筆者もリーデル社のセミナーに参加し、
このシャンパーニュグラスとフルートグラスの
味わいの感じ方の違いに驚きました。
丸みを帯びた卵型のグラスの方が、香りはより複雑に、
泡はよりやさしく、きめ細かく感じたのです。
 
 
 
一昔前までは主流だったクープ型のシャンパーニュグラスなんて、
最近全く見かけませんね。
(歴史あるホテルの宴会場で使用されているのを見てびっくりしたくらいです。)
 
記事では、
「フルートグラスの美点は、泡が綺麗に見えることと、こぼれにくいことくらい。」と
ばっさり切り捨てていますが、いかがでしょう?
フルートグラスは、クープ型のシャンパーニュグラスと同じように、
衰退の運命を辿るのでしょうか??
 
2016年、フルートグラスが絶滅するかどうかはわかりませんが、
「シャンパーニュ = フルートグラス」という固定観念を
一度捨ててみるのもいいかもしれません。
 
常識にとらわれずに色々なグラスを試してみることで、
2016年は、グラスとワインの関係に新たな発見があるかも(^^)
 
 

2016年1月6日水曜日

こんな本を待っていた!フランスで一番売れているワインの教科書

新年あけましておめでとうございます!
本年も、ワイン通信ブログをどうぞよろしくお願いいたします。
 
さっそくですが新年最初のブログは、昨年末に続いて本のご紹介です。
 
それがこちら。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ワインは楽しい!LE VINC'EST PAS SORCIER
 / オフェリー・ネマン (著) 、   ヤニス・ヴァルツィコス (イラスト)
    河 清美 (翻訳)
定価 2,500円(本体) 発売元:パイ インターナショナル 
 
 
フランスで大ベストセラーになった
「フランスで一番売れているワインの教科書」という本書。
昨年12月に発売されたばかりの新刊です。
 
ワインジャーナリストでありブロガーである著書のオフェリー・ネマンさんは、
2009年から、ル・モンド紙のウェブ版に
「Miss GlouGlou* (ミス・グルグル)」というペンネームでブログを掲載、
人気を博している方だそうです。
 
本書のとってもユニークなところが、
ソムリエの卵や旅好きの女の子といった
様々な経歴のフランス人が登場し、それぞれ
 
「テイスティングの心得を学ぼう」
「ワイン産地を訪ねる」
「ソムリエ見習いになる」
「ワインをセレクトする」
 
といった章について説明するという体裁をとっていること。
 
しかも、教本なのに
最初の章のタイトルが「ホームパーティーでワインを楽しむ」。
この辺りはさすがフランス人ですね(笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
株式会社パイ インターナショナル プレスリリースより
 
 
ただこの章が大変面白く、
グラスの選び方から始まって、
お客様からワインをいただいた時のマナーや、
二日酔い対策、ワインがこぼれてしまった時の染み抜き対策まで、
とっても実用的でくすっと笑える提案が盛りだくさんです。
 
 
こんなことばかり書くと
ワイン初心者向けのライトな実用書かと思われるかもしれませんが、
そんなことはありません。
 
特に「テイスティングの心得を学ぼう」という章では、
「タンニン」の説明に1ページを割き、
また「口中香」についてもわかりやすいイラスト付きでしっかりと説明。
ワインラヴァーの方にとっても新たな発見がありそうです。
 
「最近ワインが好きかも。」
などと言っている知人にプレゼントすれば
ワインラヴァー仲間が増えそう(笑)
どんな方にも楽しく読んでいただけそうな、素敵な教本です。