2016年3月27日日曜日

コストパフォーマンスに優れたフラッグシップに注目!アルゼンチンの名門ワイナリー「ボデガ・ノートン」

昨年創業120周年を迎えたアルゼンチンの老舗ワイナリー
ボデガ・ノートン社より、マネージャーのマイケル・ミュラー氏が来日。
ノートンのワインについて、お話を伺いました。




















↑マイケル・ミュラー氏 オーストリア人です。


ボデガ・ノートンは日本に上陸して約20年以上。
エノテカが創業当時より取り扱っていおり
2013年から3年連続で、日本での輸入量がアルゼンチンNo.1※に輝いた
アルゼンチンのトップワインメーカーでもあります。
※「食品産業新聞」銘柄別ランキング
















オーナーは、クリスタルで有名なオーストリアのスワロフスキー社。
1989年に、ジェルノ・ランジュ・スワロフスキー氏が
アルゼンチンワインのポテンシャルに開眼。
数多くのワイナリーの中から、
90年以上の歴史をもち、広大な自社畑に囲まれた唯一のワイナリー
ボデガ・ノートンを買い取ったのです。
















ボデガ・ノートンはアンデス山脈の山麓に、1,200haという広大な自社畑を所有。
標高1,200m以上の高地にも畑をもち、大変恵まれた環境でブドウが育ちます。
また、歴史が古いワイナリーだけに
ブドウの樹齢も高く、マルベックは100年以上、
カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランも80年を超える樹があるとか。

こうした恵まれた畑に加えて、ボデガ・ノートンのすごいところは
強力な布陣の醸造家たち。















↑左から、新しく着任したワインメーカー、ダヴィッド・ボノミ氏
 社長のマイケル・ハルストリック氏
 チーフワインメーカーのホルヘ・リッチテッリ氏

現在チーフワインメーカーを務めているホルヘ・リッチテッリ氏は
2013年、ワインエンスージアストが選ぶ「ワインメーカーズ・オブ・ザ・イヤー」に
南米で初めて選ばれたというアルゼンチンワイン界を代表する巨匠。

さらに最近ホルヘ氏の右腕として入社したのが、ダヴィッド・ボノミ氏。
名門ドニャ・パウラでチーフワインメーカーを務めていた彼は
ワイン・アドヴォケイト誌でも「将来が楽しみだ。」と言わしめる注目の若手醸造家です。

ホルヘ氏の長年の経験に裏打ちされたワイン造りに
ダヴィッド氏の若い感性が加わって、
ボデガ・ノートンのワインはさらに進化を遂げている模様。
オーガニック認証を受けたワインやソーヴィニヨン・ブラン種を使った白ワインなど
新しいプロジェクトが次々と進行中だとか。楽しみですね♪


さて、マイケル氏に紹介していただいたワインの中でも
特に印象的だった2本をご紹介します。

1本は、初代オーナー、ジェルノ・ランジュ・スワロフスキーの名を冠した
トップキュヴェ「ジェルノ・ランジュ」。






















樹齢107年という超高樹齢のマルベックに、
樹齢83年のカベルネ・ソーヴィニヨン、
樹齢92年のカベルネ・フランをブレンドして造られるというこちら。

それぞれの品種ごとにバリックで18ヶ月熟成させ
さらに瓶内熟成を14ヶ月行い、ようやく出荷される
ワイナリーの威信をかけたフラッグシップです。
良年にだけリリースされ、生産量は4,000本弱という稀少キュヴェ。

鮮やかなプラム、チェリー、すみれの花、スパイスのアロマ。
舌触りはスムーズで、しっかりとしたミネラルが感じられます。
頂いた2008年は1時間前にデキャンタージュしており
すでに美味しくいただけましたが、
あと数年は待ちたいと思わせる、高い熟成ポテンシャルを感じさせる深遠な1本でした。






















ジェルノ・ランジュ 2010年
10,000円(10,800円 税込)



もう一つ、忘れてはならないのが「プリヴァーダ」。
「プリヴァーダ=プライヴェート」と言う名が付けられたこちらのワイン。

初代オーナーのスワロフスキー氏が、

「私たち家族が楽しむためのワインを造ってくれませんか。」

と、チーフワインメーカーのホルヘ氏に依頼したのが始まり。
当初は完全に自家消費用に造られたプライヴェートなワインでした。






















プリヴァーダ 2013年
3,000円(3,240円 税込)


樹齢80年以上のマルベック40%に、メルロ30%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%をブレンド。
これは、スワロフスキー氏のこだわりで不変の比率だそうです。

砂糖漬けのフルーツ、リコリス、ブラックチェリーの香り。
凝縮した果実味と生き生きした酸が感じられます。

マイケルさん曰く

「実はヨーロッパでブライドテイスティングをすると、
フランスやイタリアの1万円近くするワインを上回る評価を獲得することもありますよ!」

なるほど、それも納得の完成度です。
非常にパワフル、熟成ポテンシャルを秘めているため、
こちらも召し上がる1時間くらい前に抜栓することをおすすめします。


ボデガ・ノートンは、千円台のカジュアルなワインの品質もさることながら
フラッグシップワインの品質の高さは特筆もの。
世界の高級ワインを飲みなれている方にこそ
一度試していただきたい逸品です。

▼3月末までキャンペーン中!ボデガ・ノートンの特集はこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/norton/index.html



2016年3月18日金曜日

文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」 小説家・田中慎弥さん登場!

先日、第7回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー・エノテカ・ミレで開催され、
芥川賞作家・田中慎弥さんにゲストでお越しいただきました!

















「そもそも田中さんはワインお好きですか?」

とのナビゲーター・山内宏泰さんの質問に、

「好きですよ。肉だったら赤とか、
 自宅で飲むなら煮魚に赤ワインとかもやったりします。」


とのご返事。
「仕事が楽しみです、と言えればいいのですが、
楽しみを超えた水準で闘っているようなところがあるので、
ほぼ唯一の楽しみと言えば、映画とお酒です」
と、お酒好きな一面を明かしていただきました。


















初めに田中さんは、自ら選ばれた開高健著『ロマネ・コンティ・一九三五年』を朗読。
二人の男が、
若いけれども素晴らしいワイン(ラ・ターシュ1966年)を飲んだとき、
ワインの深みのある赤色が、ある豊穣な思い出を蘇えらせます。

朗読でもご自身が惚れ込んだ箇所に力が入り、
豊かなワインの描写と相まって、この会にぴったりの最高の朗読となりました。


そしてお話はワインの色から、真っ赤な装丁が印象的なご著書『燃える家』のお話に。
ラストは衝撃的なクライマックスが待ち受けています。

「私はどんな短いものでもラストシーンはあんまり考えてなくて、
書きながら大体こっちの方だろうと書いていきます。
クライマックスでは、子どもの頃から何度も見ている

先帝祭(せんていさい)というダイナミックな祭りの場面を正確に描写し、
色や動き、いろんなものを全部詰めて盛り上がっていく方向に持っていきました。」

渾身の作である『燃える家』は原稿用紙1000枚を超える大長編。
長編、短編に関わらず、常に手書きで原稿を執筆されている田中さん。
まず下書きはFAXの裏紙に小さい字で刻むように書き、
それから清書で原稿用紙のマス目を埋めていくのだそう。


「谷崎や川端の時代の原稿は筆ですけれども、
いま谷崎がいたら手書きではないかもしれないですよね。
何で書くかというのは時代によって確実に違うし、
書き方や道具によって文体や何かが影響を受けるということがあると思います。」
















 先日芥川賞を受賞した本谷有希子さんの『異類婚姻譚』は、
パソコンでの目の酷使を避けるため、あえて手書きで書いたという話を受け、

「作品によって今度は私がパソコンで書くということが…」

と話す田中さんに、
山内さんがすかさず「あるんですか?」と突っ込むと、
「いやないですけれども…」と答え、会場の笑いを誘う場面もありました。


芥川賞受賞会見のイメージがいまだに付いてまわるそうですが、

「それがあるとありがたいんですよ。
恐いと思われていますが、会うとそうでもない、
案外会話はちゃんと成立するじゃないかと思われて」


とお話されるなど、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。
ワイングラスを傾けながら、田中さんの小説観や文学への想いをはじめ、
そのお人柄まで感じられた、楽しく贅沢なひとときとなりました。
















『燃える家』(講談社)
定価2300円+税
 

【当日お召し上がりいただいたワイン】














トルマレスカ・シャルドネ / アンティノリ白 税込1,944円

















レ・ディフェーゼ / サッシカイア(テヌータ・サン・グイド)赤 税込4,212円

2016年3月13日日曜日

「世界で最も称賛されるシャンパーニュブランド2016」発表!

イギリスの飲料専門誌『ドリンクス・インターナショナル』が選ぶ
「世界で最も称賛されるシャンパーニュブランド2016」が先日発表されました。

この「世界で最も称賛されるシャンパーニュブランド」は
マスター・オブ・ワインやソムリエ、ジャーナリストなどからなる
アカデミー会員が毎年選ぶもの。
選考のポイントは

・近年において品質と一貫性が維持されていること
・価格に対してお得感があること
・全てにおいてブランドイメージが高い水準にあること

などだそうです。

そしてもう一つ重要なポイントが、
選考は、ノン・ヴィンテージのキュヴェを対象としていることです。


さっそくランキングを見てみましょう。

1位 KRUG




















24,000円(25,920円)


3年間に渡り首位を守っていたボランジェが4位となり、
見事1位に輝いたのがクリュッグです。

現当主、オリヴィエ・クリュッグの
「誰もがクリュッグを初めて飲んだ時の味を覚えている」
という言葉どおり、強烈な個性とブランド力を備えた無二の存在。

1次発酵は全て小樽熟成、その後
「芸術」と形容されるアッサンブラージュ。
(シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエをブレンド。比率は非公開)
6年間という長い瓶内熟成を経てようやくリリースされる
スタンダードキュヴェの域を超えた比類のない1本です。


2位 LOUIS ROEDERER






















2位に輝いたのは、ルイ・ロデレール。
クリュッグやボランジェに続いて、毎年高順位をマーク。
必ず5位以内につけているブランドです。

今回は、特にフラッグシップキュヴェであるブリュット・プルミエが
「素晴らしく良いコンディションであり続けた」ことが高く評価されました。
メゾンの顔とも言えるノン・ヴィンテージのシャンパーニュは、
「いつどこで飲んでも美味しい」ということが非常に重要であり、
またそれを維持することがいかに大変か、メゾン自身が語っていました。

ルイ・ロデレールは、全てのキュヴェにおいて
製造番号から、いつ瓶詰されたのか、などの
詳細情報がわかるようになっています。
※ルイ・ロデレールのオフィシャルサイトで確認できます。
こうした品質に対する真摯な取り組みが実を結んだ結果とも言えますね。

また、ルイ・ロデレールでは
セラーマスターのジャン・バティスト・レカイヨン氏を中心に
他メゾンに先駆けて、オーガニック栽培やビオディナミに取り組んでおり
これにより、よりよく熟したブドウが収穫できるようになり
ドサージュ(リキュールの添加)の量を徐々に減らしているそうで
革新的な取り組みと、それが成功している点も高く評価されました。

こちらのブリュット・プルミエは
ピノ・ノワールが40%、シャルドネ40%、ピノ・ムニエが20%というブレンド。
大樽で仕込んだリザーヴワインを贅沢に使用し、
3年以上の熟成を経てリリースされます。
繊細でありながら、複雑味とリッチさを備えた味わいで
間違いなく、ノン・ヴィンテージ・シャンパーニュのトップに数えられる1本です。


3位 POL ROGER





















3位につけたのは、
英国王室に愛される格式高いメゾン、ポル・ロジェ。
こちらは、ウィリアム王子殿下とキャサリン妃の結婚式で
振る舞われたことでも話題になった1本です。

3位に選ばれた理由について
「革新的な変革を恐れない」と評されたとおり、
ポル・ロジェは前社長のパトリス・ノワイエルが就任した1998年以降
資金を投入して醸造設備を刷新したほか、
クリュッグで働いていたドミニク・プティをセラーマスターに抜擢。
こうした大規模な改革が功を奏し、見事スターメゾンの仲間入りを果たしました。

ポル・ロジェのシャンパーニュの特徴は、木樽用いず、ステンレス発酵を行うこと。
ブドウのピュアさが際立つ味わい。
ピノ・ノワールとシャルドネ、そしてピノ・ムニエを等比率でブレンドしており
バランスの良さが魅力です。


不変に見えるシャンパーニュブランドも
その価値を維持するために、常に革新を続けており
特に、変化を恐れず、常に新たな取り組みを行っているメゾンが
高く評価される結果となったようです。

▼クリュッグ、ルイ・ロデレール、ポル・ロジェほか、
 トップメゾンが集まったシャンパーニュの祭典の特設ページはこちら▼




2016年3月6日日曜日

ライバルはオルネライアとサッシカイア!? 名門渾身のボルゲリワイン

先日、イタリアのトップワイナリー、アンティノリより
輸出マネージャーであるフィリッポ氏が来日。

スタッフ向けにセミナーが行われました。






















アンティノリは、1385年にトスカーナに創業した
名門中の名門ワイナリー。
今やイタリア全土に10以上のワイナリーを保有する
大企業でありながら、創業以来家族経営を貫き
一貫して高い品質のワインを世に送り出し続けています。

今回試飲したのは、
ウンブリアのワイナリー、カステッロ・デラ・サラで造られる白ワインと
トスカーナで造られる赤ワイン。





















中でもフィリッポさんの一押しは、
ボルゲリで造られるスーパータスカン、グアド・アル・タッソ。

アンティノリと言えば、キャンティ・クラシコ地区で造られる
ティニャネロとソライアが世界的に知られていますが、
実は、こちらのグアド・アル・タッソもその2本と肩を並べる
恐るべきポテンシャルをもったワインです。


http://www.enoteca.co.jp/item/detail/0445204213B2

















グアド・アル・タッソ 2012年
12,000円(12,960円)


フィリッポさん曰く
「ライバルはサッシカイアとオルネライア。」

どちらもグアド・アル・タッソより格段に知名度があり
世界中に熱狂的なファンが多い銘柄。
サッシカイアが2万円、オルネライアが4万円近くすることからも、
フィリッポさん、ちょっと下駄を履かせ過ぎじゃ・・
と思ってしまいますが、それにはれっきとした理由が。

なぜなら、サッシカイアもオルネライアも、
オーナーはアンティノリ家と親類関係にあり、
サッシカイアの畑は、かつてはグアド・アル・タッソと同じ広大な一つの土地だったのです。
アンティノリ家が所有する広大な土地を分割し、
生まれたのがサッシカイアとグアド・アル・タッソでした。














↑かつてはサッシカイアと同じ敷地だった、広大なグアド・アル・タッソの畑
 1,000haという広大な土地。300haにブドウの樹を植えています。


さらには、サッシカイアの生みの親として知られる
故ジャコモ・タキス氏を最初に見出し、
ティニャネロを生み出したのもアンティノリ家。
アンティノリで働いていたジャコモ・タキス氏が、ピエロ・アンティノリの協力のもと、
ボルドー大学のエミール・ペイノー教授に教えを乞い
ボルドー品種や小樽熟成を取り入れたことが、
ティニャネロ、そしてサッシカイア誕生につながりました。

そして、オルネライアにワイン造りをアドバイスしたのが
サッシカイアだったと言われることからも、
ボルゲリにおける一連のスーパータスカン誕生に一役買ったのが
アンティノリ家だったことは疑いようがありません。

だからこそ、そのアンティノリが造るグアド・アル・タッソが、
親類関係にあって、世界的に成功しているサッシカイアとオルネライアを
ライバルとして意識するのもうなずけます。

ただ、サッシカイアのファーストリリースが1968年、オルネライアが1985年
それに比べて、グアド・アル・タッソは1990年。
知名度の低さは、歴史の浅さが一因なのかもしれません。













フィリッポさんによると、グアド・アル・タッソのスタイルは
繊細なサッシカイアと、豪奢なオルネライアとの中間だそう。
しかも価格は約半分~数分の1。

本家本元が造るボルゲリで、
スタイルはサッシカイアとオルネライアのいいとこどり、
しかも両者よりお手頃!
このくだりで、フィリッポさんの眼光がきらりと光りました。(笑)

このフィリッポさんの自信を裏付けるかのように(?)
グアド・アル・タッソの評価は年々着実に高まっており、
最近のヴィンテージのパーカーポイントでは、
グアド・アル・タッソの2011年が95点、2012年が95点と、
サッシカイアの2011年94点、2012年93点を上回っているほど。

オルネライアの最新ポイントは2010年の97+点ですが、
同2010年のグアド・アル・タッソは97点、サッシカイアが96点と、
パーカーポイントの評価では、完全に両者に拮抗しています。

知名度ではサッシカイアとオルネライアに劣るグアド・アル・タッソですが
フィリッポさんの言葉通り、生まれも品質も申し分ない、
アンティノリ家渾身のスーパータスカン。

世界的に人気が出るのも時間の問題かもしれません。