そして南仏シャトーヌフ・デュ・パプで
「ロテム・アンド・ムニール・サウマ」を手掛ける
オーナー兼ワインメーカー、ムニール・サウマさんが来日。
スタッフ向けセミナーが行われました。
今回紹介していただいたのは、
シャトーヌフ・デュ・パプ「ロテム・アンド・ムニール・サウマ」のワイン。
2009年、ムニール・サウマさんと奥さんのロテムさんが
シャトーヌフ・デュ・パプに畑を購入して始めたドメーヌです。
↑ロテムさんとムニールさん。 奥様のロテムさんは農業校でワイン造りを学び、
コート・ドールについて書いた論文が
フランス農業アカデミーより賞を受けたという才媛です。
ルシアン・ルモワンヌと言えばブルゴーニュワイン。
「なぜシャトーヌフ・デュ・パプで」
と尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。
「ブルゴーニュのブドウ品種、ピノ・ノワールも
シャトーヌフ・デュ・パプのブドウ品種、グルナッシュも兄弟だから。」
ピノ・ノワール、グルナッシュ・ノワール
ピノ・ブラン、グルナッシュ・ブラン
という呼び名が付いているように、両者は同じルーツをもつブドウ品種。
さらに、どちらも「ブドウの実」すなわち皮を取り除いた
ジュースが白いことが共通しているそうです。
そしてこのジュース自体は非常にニュートラル。
ジュース自体にも色がついており、
個性があるカベルネ・ソーヴィニヨンやソーヴィニヨン・ブランなどのブドウとは
性質が異なるそうです。
ジュース自体がニュートラルであるという性質が
ピノ・ノワールやグルナッシュは「土地の味わいを表現することができる」
所以だとか。なるほど。
そういえば、シャトーヌフ・デュ・パプの名門として知られる
ヴュー・テレグラフのダニエル・ブルニエさんも
「グルナッシュは土地のアンバサダー」
という表現をしていました。
サウマさんのワイン造りは、とにかくユニーク。
「100年前のワイン造りを再現する」をコンセプトに
極力人の手を介入させない自然なワイン造りが知られています。
特にこだわっているのた木樽による熟成。
収穫したブドウはコールドマセラシオンを行い
その後、木樽に入れて熟成を行いますが、何とその期間約2~3年間。
サウマさん曰く
「2年間放っておくだけ。なーんにもしない。」
「何にもしない」は言い過ぎですが・・
通常の生産者は木樽熟成中、澱引きを頻繁に行いますが、
サウマさんが行うのはCO2(二酸化炭素)ガスを抜くことくらい。
また、サウマさんのワイン造りでは、
SO2(亜硫酸塩)をほとんど添加しません。
それによって、酵母が自然な発酵を進めるため
通常の数倍のCO2が発生するそうです。
そしてこのCO2が、膜のような働きをしてワインの酸化を防いでくれるそうです。
ただ、SO2を加えないと、
好ましくない酵母が活性化する恐れもあります。
特に亜硫酸塩の添加を減らすと、「ブレット臭」という
不快な匂いを発生させる酵母が発生する確率が高くなるため、
サウマさんのワイン造りについて、同業者から多くの反発を受けたそうです。
また、こうした酵母の繁殖を防ぐため、
多くの生産者が年に5回ほど澱引きをするとか。
これに対してサウマさんは、1度も澱引きをしません。
これについてサウマさんは
「リスクを取らないとOutstandingなワインはできないよ。」
と力説していました。
取り扱いはとても難しいものの、
澱引きをすると、熟成中のワインは必ず空気に触れてしまいます。
それを繰り返すことで、ワインはどんどん疲れてしまうそう。
熟成中のワインを「赤ちゃん」と表現し、
その「Purity=純粋さ」が大切、と何度も語っていました。
正しい温度と方法でワインにできる限り触れずに熟成させることで
フィネスを備えたワインが生まれるそうです。
↑サウマ流デキャンタ
大量のCO2を含んでいるため、
大胆な
デキャンタに勢いよく注がれるワイン・・・
「そんな勢いよくていいの?」とハラハラする
「リシュブールだってこうしているよ。ワイン
と楽しそうなサウマ氏。
長い間ほとんど空気に触れずに眠っていた「赤ちゃん」のようなワインは
こうして一気に目覚めます。
サウマ氏曰く、
「空気にほとんど触れさせていない、疲れていないワインだから長持ちするんだ。」
サウマ氏のワインは、香りもさることながら、全てのワインに共通して
奥深いフィネスが感じられ、
時間と共に目まぐるしく変化していくのが特徴的。
抜栓後、数日置いても素晴らしい変化が楽しめます。
▼サウマさんが造るシャトーヌフ・デュ・パプはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_label=Z2