2014年12月30日火曜日

2015年のワイン読書初めにいかが?「これが最後のワイン入門」

今年もあと少し。

新たな年の初めには、新しい勉強を始めるという方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな方におすすめの本をご紹介します。

それはこちら。






















これが最後のワイン入門 / 山本昭彦 
講談社

帯には、

--できの悪い教科書!ちっとも頭に入らない!巷に満ちる「ワイン入門」への
怨嗟の声を、きれいさっぱり一掃します!!--

と、何とも刺激的な文言が並んでいます。

著者の山本氏は、読売新聞記者を経て、
現在はフリーのワインジャーナリストとして、
そしてアカデミー・デュ・ヴァンの講師としても活躍。
『死ぬまでに飲みたい30本のワイン』や、『ボルドー・バブル崩壊』(講談社+α新書)
といった著書がありますが、ワイン入門本を手掛けるのは本書が初めて。

本書は、ワインの造り方から始まって、おすすめの入門ワイン、
テイスティングのイロハや世界のワイン産地事情まで、
章を読み進めるうちにワインの知識が深まっていく構成です。

そしてジャーナリストらしく、ワイン界のトレンドも織り交ぜたコラムや
注目の生産国に関する解説はさすが!

「ワインに興味はあるけれど、どうも難しそうで入り口で二の足を踏んでいる」
「ワインはよく飲むし好きなのに、そこから先に進めない。いつまでたっても初心者気分。
なんとかその段階を抜け出したい」

そんな方々を対象としたという本書。

ワインの知識には自信があるという方も、目からウロコの情報がたくさんです。
新年のワインライフ初めに、一度手に取ってみてはいかがですか?

▼山本氏のブログ「ワインレポート」はコチラ▼
http://winereport.blog.fc2.com/




2014年12月23日火曜日

醸造家が憧れる醸造家が来日!ドメーヌ・デ・ランブレイ


特級畑、クロ・デ・ランブレイで有名なドメーヌ・デ・ランブレイ。
クロ・デ・ランブレイは、ランブレイが約99%以上を所有していおり、
ほぼモノポールの畑として有名です。

さて、そんなドメーヌ・デ・ランブレイより
醸造長を務めるティエリー・ブルーアン氏が来日しました。
彼は1980年に醸造長に抜擢された後、
30年以上に渡り醸造長を務め続け、
なんと35回もランブレイを収穫していうという、
ブルゴーニュでも稀有な存在です。






















14世紀にはシトー派の文献にその名が登場し、
特急並みの評価を受けながら1級にとどまっていた畑、クロ・デ・ランブレイ。
1980年にティエリー氏が醸造長に抜擢され、様々な改革を推し進めた結果、
AOC施行後初めての1級から特級への昇格が認められる畑となりました。

そんな凄腕の醸造家、ティエリー氏は
もちろんワイン造りに並々ならぬこだわりと情熱をもっています。

まず、ブドウ栽培は、農薬、化学肥料は使用せず、
限りなくビオディナミに近い農法で行い、
土は馬で耕すことによってやわらかくし、
ランブレイの特徴でもある古樹が、土の奥まで深く根を張ることができるよう
細心の注意を払っています。
















急斜面の東向きという絶好の立地に広大な畑を所有

そして何といっても一番ユニークなのが
「極力除梗しない」という醸造法。
除梗とは、ブドウに付いている茎を完全に取り除いて発酵を行うこと。
未熟な茎を残したまま発酵を行うと、エグミや青臭さが生まれることがあり、
ブルゴーニュでは除梗を行う生産者が多いと言われています。

そんな中、ティエリー氏は、
1985年に初めて部分的にブドウの茎を入れてワインを醸造。
その結果が良かったことから、毎年徐々にその比率を上げ
2011年は100%、つまり全房発酵を行ったそうです。

除梗を行わないことによって、発酵の際に温度が上がりすぎず
ゆっくりと発酵が進むことや、茎からタンニンや酸といった成分が抽出でき
ワインに骨格が生まれるそうです。
もちろん、茎が完熟していることが前提なので、
ヴィンテージによっては、除梗を行うこともあるそうです。
近年ではブルゴーニュはもとより、他の銘醸地でも全房発酵が
注目されているようですが、ティエリー氏ははるか前から取り組んでいたのですね。





















「ウフ・アン・ムレット※赤ワインのソースにポーチ・ド・エッグを乗せたブルゴーニュの名物料理」 ティエリー氏曰く、クロ・デ・ランブレイに合う鉄板料理だそうです。


一人の醸造家が造れるワインは1年にたった1回限り。
ワインの醸造家は、「生きている間にあと何回ワインが造れるか」
そんなことを考えながらブドウを収穫しているそうです。

そんな中、同じ畑で35回もブドウを収穫し、
毎年改良を重ねながら最上のワインを作り続けてきたティエリー氏は、
愛好家たちにとってはもちろん、醸造家たちにとっても
憧れの存在なのではないでしょうか。
そんなティエリー氏が造るワインは、今まさに円熟の境地を迎えています。





















御年65歳のティエリー氏。

実は今年、ドメーヌ・デ・ランブレイは
シャトー・ディケムやドン・ペリなどを所有する
LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループに買収されました。
向こう2年間はティエリー氏がワイン造りを行いますが、
それ以降は、コンサルタントとして後継者を指導する立場になるとのこと。

ますます入手困難が予想される、ランブレイのワイン。
要注目です!

▼ドメーヌ・デ・ランブレイのワインはコチラ▼



2014年12月8日月曜日

第1回文学ワイン会『本の音 夜話(ほんのね やわ)』開催

先日、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレにて
開催された第1回文学ワイン会『本の音 夜話(ほんのね やわ)』。

文学ワイン会とは、ゲストに作家をお迎えして、おいしいワインを飲みながら作家のお話を聞くという、文学とワインが同時に楽しめるイベントです。
そして第1回目のゲストとして、
小林エリカさん(作家・マンガ家)が登場されました。

著書『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)で
151回芥川賞候補となった小林エリカさん。


本書について
「この本は自分で初めて書きたいように書いた本。
この本を書いて改めて、一瞬一瞬の選択を切実に感じています。
過去の時間は確実に“いま”に繋がっていて、すべて過去に起こったことが、
“いま”をもたらしています。
(いろんな時代を自在に行き来する『マダム・キュリーと朝食を』では)
各時代の一瞬の光を感じてもらえたらうれしいですし、
“この先は自分のこと”と思ってもらえるような小説を書きたいです」と小林さん。
















会場で供されたワインは「ムートン・カデ・レゼルヴ・メドック」。
なんとこのワインを造るバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドの
ロスチャイルド家が、キュリー夫人を支援する
「キュリー財団」を設立したという、所縁のあるワインです。
「今飲んでいるワインが、遠い昔の歴史的な史実と関係がある」
それは小林さんの小説のテーマにある
「過去の時間は確実に“いま”に繋がっている」という
ことと見事にリンクして、ワインを飲みながら不思議な感慨に包まれました。

食について書くことも、また食についての読み物も大好きだという小林さん。
参加されたお客様は、小林エリカさんの著書だけにとどまらない
さまざまなエピソードを聞きながら、ワインを楽しんでいらっしゃいました。

このイベントは、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレ
にて、2ヵ月に1回ほどのペースで開催していくとのこと。

次回は20151月開催予定で、次回のゲストは角田光代さんです。
2回文学ワイン会にもどうぞご期待ください!

▼第二回文学ワイン会の詳細はコチラ▼


2014年12月2日火曜日

ジャンテ・パンショより、シャイな三代目ファビアン・ジャンテ氏来日

ブルゴーニュ・ジュヴレ・シャンベルタンのジャンテ・パンショより、
次期当主である3代目のファビアン・ジャンテ氏が
新ヴィンテージ2012年のプロモーションと、
ロワールのアルフォンス・メロとの共同プロジェクト「ペニタン」
お披露目のために来日しました。

ドメーヌ・ジャンテ・パンショは1954年に先代のエドモン・ド・ジャンテ氏が設立したドメーヌ。
最初はたった1ヘクタールの畑から始まり、
1978年にエドモン氏の息子である現当主、ヴァンサン・ジャンテ氏が継ぎ、
ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニーに畑を拡大。
現在は25ヘクタールを所有するまでになりました。














↑3世代でワインを造り続けるジャンテ・ファミリー

そのワインはどのアペラシオンを飲んでも
「ジャンテ・パンショのワインだ!」とわかるような明確な個性が特徴。
凝縮したみずみずしい果実味に定評があります。

ファビアン氏曰く、ドメーヌではやはり
「果実の味わいが主体のワインを目指している。」とのこと。
その為にはブドウの質が最も重要となるため、
8割の時間を畑で過ごし、畑仕事に時間を費やしているそうです。

そしてもう一つのこだわりが、収穫後の選果の厳しさ。
なんと選果台に4つの段階を設けて、厳しくブドウをチェックしているそうです。
「これほどまでに厳しく選果をしているドメーヌは、
ブルゴーニュ中探してもそうそういないよ!」
とは、ディーヴァ・ブルゴーニュのポール・バラン氏のコメント。

こうして最高の状態のブドウだけを使って造るからこそ、
純粋で綺麗な果実味が生まれるのですね。












ジャンテ・パンショでは今年ワイナリーを改装し
一次発酵を行うタンクもコンクリートから全て木樽に刷新したそうです。
木樽は、コンクリートと比べて自然な味わいが生まれ、
ヴィンテージの個性に自分達らしさを加えることができるのが特徴で、
その為にコストをかけて木樽発酵に切り替えたそうです。


そして、ジャンテ・パンショにおける今年一大ニュース!
それは、ロワール指折りの生産者、アルフォンス・メロと
共同で造ったワイン、「ペニタン」のリリースです。
















アルフォンス・メロ氏とヴァンサン・ジャンテ氏は友人同士で
「一緒にワインを造らないか?」というアルフォンス・メロからの呼びかけで
このプロジェクトが始まったそうです。ブドウは完全にビオディナミ。
「ペニタン=ペニシェント(辛い)の造語」という名前の由来は、
そのワインが造られる土地が、住む人もおらず非常に不便な場所にあり
そこに行くのが罰ゲームのようだった、という自虐的なユーモアがこめられています。

白はアルフォンス・メロが、赤はジャンテ・パンショが手掛けるというだけあって
それぞれの特徴が出ており、共作の面白さを感じることができます。






















↑ファビアン・ジャンテ氏 とってもシャイです。

ファビアン氏は若干28歳という若さながら
18歳の時からワイナリーで働き始めたという経験の持ち主。
自らの意思でボルドーの大手シャトーを選び、
2年間の修行を積んでドメーヌに戻ってきました。

「ワイナリーを継ぐことに迷いはなかったのですか?」
との質問に対しては、「全くなかった。小さいころから、
自分はワイン造りに関わることになると当然のように思っていた。」
との答え。

そして最後に、3代目としての野望を伺うと、

「ない。畑を増やす予定はないし、大きな改革をする予定もない。
 ただ、尊敬している父親からは、いつ飲んでもおいしい、
 喜びのあるワインを造るように、と言われている。
 それを守りながら、よりよいワインを造りたい。」

と、小さな声で、でも迷うことなく答えてくれたファビアン氏。

シャイだけど実直な人柄が十分に伝わってきました。
これならドメーヌの将来も安泰ですね。

▼ジャンテ・パンショのワインはコチラ▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=265

▼ペニタンのワインはコチラ▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_label=VM