2015年7月24日金曜日

原田マハさんが登場!文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」

少し前となりますが、第4回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレで行われ、
小説家の原田マハさんが登場されました。



















原田さんは学生時代に美術史を学び、その後、
美術コンサルタントやキュレーター(学芸員)として活躍。
アートの世界に長く身を置かれた経験から、
時代もジャンルも様々なアートを主題とする作品を執筆されています。

実は2014年に、ボルドーワインの振興に貢献された方々に贈られる名誉号
“メドック-グラーヴ&ソーテルヌ-バルサック・ポンタン・コマンドリー”を叙任された原田さん。

冒頭で

「ワインはお好きですか?」

と聞かれ、

「すごく飲めそうと言われますが、全くの下戸です(笑)」

と衝撃的な答えが返ってきて、一同びっくり!

美味しいワインをグラス1杯、じっくり時間をかけて飲むのが
原田さん流のワインの楽しみ方だそうです。

お父様が美術全集のセールスマンだったという原田さん。
自宅には全集の在庫が積まれていたため、3歳の頃からアートに親しんでいたそうで
当時はダ・ヴィンチの絵を見て「この人は絵がうまい!」と既に思っていたとか。
原田さんの美術への眼差しは、この恵まれた背景から生まれたようです。

10歳の頃にはピカソの『鳥かご』を見て「ヘタ過ぎ!」と雷に打たれたような衝撃を受け、
自分でも描けると思って以来、原田さんにとってピカソは永遠のライバルになったそうです。
今度は20歳の誕生日に青の時代の作品を見て「ピカソって天才だ!」と
再び雷に打たれた原田さん。

その後「ヘタだけど心にひっかかる」と思って興味をもったのが
山本周五郎賞を受賞した『楽園のカンヴァス』で取り上げたアンリ・ルソーとのこと。
原田さんはこうしてご自身の直観と運に導かれながら、執筆を重ねてきました。





















最新作の『モダン』では、
2000年に森美術館の交流プログラムで
MoMA(ニューヨーク近代美術館)に派遣された際の経験をもとに
この一大美術館で起きる出来事を描いた美術小説短編集です。























『モダン』 / 原田マハ 
文藝春秋 本体価格1,300円+税



「アートも小説もワインも、なくても生きていけるけど、あると人生がより豊かになる。」

と原田さん。

「ワインとアートの共通点は何ですか?」

との質問に、

「その時の状況で味わいや見え方が変化するところ。

 寂しい気持ちの時に飲むワインは、ほろ苦く。
 浮かれた気分の時に飲むワインは、華やかに。
 
 これは小説を読むときも同じ。どちらも生きたものなんです。」

とのお答えをいただきました。

その時々の飲み手や読み手の心情で感じ方が変化するのが、
ワインと小説のおもしろいところですね。






















ストーリーテラーである原田さんらしく、
小説を書くきっかけとなったご自身の体験談もとてもドラマティックで、
会場はすっかりそのお話に引き込まれていました。

美術と人々をつなげる「窓」となるような小説を書きたいと言う原田さん。

「これからもたくさんの窓をつくって欲しい!」と
きっと会場の誰もが心の中で願ったであろう、とっても楽しい会でした。

2015年7月21日火曜日

エレガントなシャトーヌフ・デュ・パプの旗手「ヴュー・テレグラフ」よりオーナーが来日!

エノテカでベストセラーのシャトーヌフ・デュ・パプといえば
「ドメーヌ・ヴュー・テレグラフ」。
テレグラフをはじめ、ローヌを中心に様々なワイナリーを所有する
ヴィニョーブル・ブルニエ社より、オーナーのダニエル・ブルニエ氏が来日。
エノテカ各店でセミナーが行われました。


















↑オーナーのダニエル&フレデリック兄弟

中でも看板ドメーヌであるヴュー・テレグラフは、
1898年に、ダニエルさんの曽祖父であるヒポリット・ブルニエ氏が
シャトーヌフ・デュ・パプの南西にあるベダリット村に設立。
「テレグラフ=電信塔」というユニークな名前は、
電信機の発明者であるクロード・ジャップ氏が
この土地に電信塔を建てたことに由来します。

南フランスを代表する高級ワイン産地、シャトーヌフ・デュ・パプ。
実は3,000ha以上の広大な敷地に300以上の生産者がひしめく一大生産地です。

赤ワインだけで13種のブドウ品種の使用が認められているという
特異なアペラシオンですが、この多種のブドウ品種に加え
多彩なワインを生んでいるのが、モザイク状に広がる複雑な土壌。

ヴュー・テレグラフのエレガントなシャトーヌフ・デュ・パプを生むのは
まさにこの土壌にあります。






















↑白く丸い石がごろごろと散らばっているシャトーヌフ・デュ・パプの畑

ヴュー・テレグラフの所有する畑の特徴は
小石からなる石灰質の土壌と粘土質が合わさった複雑な土壌。
約80%が小石で、その下に20%の粘土質の土壌が広がっています。

樹齢の高いブドウの樹の根は、下層にある粘土質土壌まで根を伸ばし
地中のミネラルや水分を吸い上げているそうです。
これにより、高い気温と、地表にある小石の放射熱でブドウが熟すことがあっても
地下から一定の水分が供給され、過熟がまぬがれるそうです。
だからこそ、果実味とミネラル、酸が調和した
エレガントなシャトーヌフ・デュ・パプが生み出されるのですね。


実は、今回は新商品のお披露目がありました。
それが「シャトーヌフ・デュ・パプ・ピエロン」。
こちらは、「シャトーヌフ・デュ・パプ・ラ・ロケット」
としてリリースされていたワイン。







↑左が「2010年 シャトーヌフ・デュ・パプ・ラ・ロケット」※2010年で終売
 右が「2011年 シャトーヌフ・デュ・パプ ピエロン」こちらは近日中発売予定


こちらの区画「ピエロン」のブドウはロケットの他、
テレグラフのセカンドワインである「テレグラム」に
ブレンドしていましたが、20年ほどたった今、
何度かのテストを経て、単一でリリースしても非常に高い品質と個性を備えた
ワインが生まれることがわかり、待望のリリースとなりました。

平均樹齢約70年のグルナッシュ90%に
樹齢50年の10%のムールヴェードルをブレンド。
ピノ・ノワールを彷彿とさせる、透き通った繊細な香りと
塩っぽさを感じさせるミネラルが特徴的です。

このピエロンはすでに
フランスの権威あるワイン誌『REVUE DE VIN DE FRANCE』2014年1月号で
20点満点中18点という高評価を獲得したほか、※掲載は2012年
様々なワイン誌で絶賛され、早くも評価を確立しつつあります。

こちらはフラッグシップの「シャトーヌフ・デュ・パプ・ラ・クラウ」
こちらは平均樹齢65年で、グルナッシュ65%にムールヴェードル15%、
シラー15%、サンソー、クレレットなどをブレンド。




↑「2011年 シャトーヌフ・デュ・パプ・ラ・クラウ」

豊かな赤黒系果実にフローラル、ハーブの香り。
しっかりとした骨格と凝縮感がありながらも
後味はとても繊細で、透明感溢れる仕上がり。

ダニエル氏たちがドメーヌに参画して30年と少し。
その間に、いくつかのドメーヌを獲得しましたが、
驚くほどワインのラインナップは変わっていません。
ライナップを増やす代わりに、
出来の悪いブドウは全てネゴシアンに売ってしまうという潔さ。

この潔い姿勢が、透明感溢れる美味しいワインを生み出す秘訣なのですね。

▼ヴィニョーブル・ブルニエのワインはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=85

































2015年7月14日火曜日

100年以上の歴史を誇るポートの老舗ファミリーが来日!

ポートワインの先駆者、ラモス・ピント社より、
オーナー・ファミリー5世代目、ホルノ・ロサス氏が来日。
スタッフ向けにセミナーが開かれました。






















創業者のひ孫にあたるホルノ・ロサス氏

ラモス・ピント社は、1880年にアドリアーノ・ラモス・ピント氏の手によって
ポルトガル南部ドウロ地方、ヴィーニャ・ノヴァ・デ・ガイヤに設立。
その品質の高さにより、1898年にはポルトガルのカルロス国王の
王室御用達の特権を得るまでに信用を確立しました。

1990年にはシャンパーニュのルイ・ロデレールグループの傘下に入りましたが
ワイン造りについては、創業以来100年に渡り家族経営を続け、
数十年~100年もの熟成に耐え得ると言われるポートワインの
伝統を守り続けています。











↑伝統的な段々畑が広がる美しいワイナリー

ラモス・ピントは4つの畑(畑=Quinta)を所有しており、
中でもキンタ・ド・ボム・レテイロという畑はドウロ地方で最も古いブドウ畑で、
300年以上も前に石段が積まれた段々畑です。

この畑は急斜面のため、機械が入ることが出来ず全てが手作業。
ここでは、20年もののポートワイン用のブドウが植えられており、
フィロキセラ禍以前の非常に貴重な樹だそうです。

ポートワインは、アルコール発酵中にブランデーを加え、酵母の働きを止め、
独特の甘みとコクを出すポルトガル発祥の酒精強化ワイン。
河口の都市「ポルト」から出荷されたため、「ポートワイン」と呼ばれるようになりました。

実は原料となるワインはもちろん、
発酵中に加えるブランデーも全体量の20%を占めており、味わいに大きく影響します。

ラモス・ピント社では、このブランデーに相当なこだわりがあり、
毎年フランスでコニャック、アルマニャックなど30種類近くテイスティングし、
(時にはイタリアのグラッパを選ぶことも!)
ブランデーの産地にはこだわらず「ロマンティックで味わいにマッチするもの」を
選んでブレンドしているそうです。選定の基準がとてもユニークですね。



 ↑イタリア人のルネ・ヴィンセントが描いた作品


また、ラモス・ピントといえば、芸術的なラベルにファンが多いワイナリー。
それもそのはず、社内には美術館があり、
数々のアートコレクションを所蔵していることでも知られています。
それらアート作品をワインのラベルに使用することで

芸術・文化的な販促活動に取り組んでいるのです。

お待ちかねのテイスティングでは、
2015年度のサクラアワードにてゴールドを受賞した
「キンタ・ド・ボム・レティロ・ポート・20イヤーズ」をテイスティング。
20年物と表記していますが、平均年数を記載しており、実際には22年物。

フレッシュさを出す為に、
あえて10年よりも若いヴィンテージもブレンドしているのだそうです。

色は透明感のある赤みを帯びた茶褐色。
爽やかな柑橘類、ドライフルーツ、カカオの香りを感じ、
口に含むとクルミやアーモンドの香りが広がります。
口当たりはまろやかでしっかりと甘さがあるものの、複雑でキレも良く、
あまりの美味しさに、会場からはため息が漏れてしまうほど!








ポートワインの楽しみ方としては、アペリティフや食後酒として、
チーズやデザートやシガーと合わせるのがおすすめだそうです。
特にチーズは脂肪分が多いため、スティルワインより
ポートのようにしっかりとアルコール分がある飲み物の方が合うとか。

ポートの中でもルビーポートにはチョコレートのニュアンスもあり、
フォンダンショコラと合わせると格別だそうです!
是非試してみたい組み合わせですね。

ルビーとホワイトの中間ともいえるトゥニーは、
赤身肉やブルーチーズ、クレームブリュレとのマリアージュも楽しめるそうです。

ポートをより美味しく楽しむおすすめのポイントは、しっかりと冷やすこと。
ホルノさんは、シャンパーニュくらい冷やして飲むのがお好みだとか。

食後の楽しい会話をさらに引き立ててくれること間違いなしのポートワイン。
まだ召し上がったことのない方も、ぜひ一度お試しください♪



2015年7月7日火曜日

「ソーテルヌの伝道師」シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌよりオーナーご夫妻が来日!

先日、ソーテルヌの格付けグラン・クリュ・クラッセ第2級の
シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌより、オーナーご夫妻が来日。
スタッフ向けにプチセミナーが開かれました。























↑奥様のセヴェリーヌさんと、
   シャトーのオーナー兼ワインメーカーを務めるオリヴィエ・カステジャさん

カスティジャ家はボルドーの名門一族で、
オリヴィエさんはお兄様と共にボルドー最大のネゴシアン、
ジョアンヌ社の経営もされています。

甘口ワインの世界最高峰、ソーテルヌ。
知っているけど、なかなか飲む機会がないという方が多いかもしれません。

食後酒としてデザートと共に楽しむイメージの強いソーテルヌですが、
オリヴィエさんのおすすめは「アペリティフ」として食前に楽しむこと。
若いヴィンテージのものは、よく冷やして食前酒として楽しむのが一番だそうです。

さっそくリリースされたばかりの2012年と、2005年を
飲み比べてテイスティングしました。
















↑左が2012年のドワジー・ヴェドリーヌ。右の色の濃い方が2005年度産。

2012年は白桃やパイナップルフルーツ、ヴェルガモット、
そしてジャスミンやハーブのニュアンス。
とろりとして強い甘みがありますが、フレッシュな酸味が十分あり
後味はとても爽やか。

ちょうどテイスティングが始まったのが夕方5時。
疲れが出てきた夕方に飲む、冷えたソーテルヌのおいしさといったら!
スタッフ一同、至福の表情で飲み干していました(笑)

オリヴィエさんもすかさず、

「疲れたときにこそソーテルヌを食前に飲むと、この甘さが元気を出してくれて、
 食欲増進効果もあるんですよ!」

と後押し。
確かに、上品な甘さがじんわりと体中に染み渡って、
優雅な気分で食事が始められそうです。

今や食前酒としてメジャーなシャンパーニュも、
実はかつては食後に楽しむものだったそうです。
それが食前酒として親しまれるようになって、一気に消費量が伸びたとか。

オリヴィエさんは、シャンパーニュに続けとばかりに、
ソーテルヌがアペリティフとして人気が出るように啓蒙活動をしているそうです。
まさに「ソーテルヌの伝道師」。
「ソーテルヌをもっと多くの人に楽しんで欲しい!」という熱意には
スタッフも圧倒されました。

















一方で、10年熟成させた2005年。
2005年は、非常に暑い夏でブドウがパーフェクトに熟したヴィンテージ。
アプリコット、マンゴーのコンフィチュール、お花や蜂蜜のアロマ。
複雑味があり、長い余韻が続きます。

熟成させたソーテルヌは、香りが複雑になり酸味も穏やかになっているので
食後に音楽などを聞きながら、じっくりといただくのがおすすめだそうです。

また、奥様のセヴェリーヌさんは、
ワインはドワジー・ヴェドリーヌしか飲まない(!)ほどお好きだとか。
特にフルーツとの組み合わせが最高とのことで、
ご自宅では冷蔵庫で冷やしたワインを14歳のお孫さんとともに
夕方くらいから楽しんでいるそうです。何ともうらやましいですね。






















一緒に楽しむおすすめのフルーツは、オレンジやピーチ、パイナップル。
どれもドワジー・ヴェドリーヌの香りの要素となっているフルーツ。
フレッシュなフルーツやフルーツのシャーベットは、若いヴィンテージに。
ドライフルーツや、ソテーしたフルーツは、熟成させたソーテルヌが合うそうです。
生姜も、ソーテルヌと相性のいい素材です。

また、意外なことに、生の牡蠣がソーテルヌに合うそうです。
ボルドー地方は牡蠣の名産地。ソーテルヌと牡蠣の組み合わせは古くからあり、
牡蠣のヨード香がソーテルヌとマリアージュするとか。

もう一つ、耳寄りな情報が。
一旦空けると数日で飲まなければならないワインと違って、
ソーテルヌは栓をして冷蔵庫に入れておけば2週間はもつそうです。
1本はなかなか飲みきれないですが、これなら安心ですね。

シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌは、お手頃な価格も魅力。
どんどん値段が上がっているイケムやクリマンと違って、
「最高のクオリティのワインと手ごろな価格」を目指しているドワジー・ヴェドリーヌは
手ごろな価格を維持するよう努力しているそうです。






















2011年 シャトー・ドワジー・ヴェドリーヌ
5,000円(5,400円 税込)

ディナーの前のアペリティフに、よく冷えたソーテルヌとチーズで乾杯!
なんてとっても贅沢ですね♪


ぜひ一度お試しあれ。