2017年1月31日火曜日

ペトリュスの名声を支えたレジェンド。偉大な30周年記念作と共に来日!

40年以上にわたってペトリュスの名声を支え、
さらにカリフォルニアでドミナス・エステートを立ち上げ成功させた、
ワイン界のレジェンド、クリスチャン・ムエックス氏。
30周年記念のドミナス最新ヴィンテージを引っ提げて来日しました!





















1946年生まれ、御年70歳のクリスチャン・ムエックス氏。
アートや、建築、文学に造詣の深い、
教養溢れるワインメーカーとして知られています。


クリスチャン氏は1970年から2008年までペトリュスをマネジメント。
兄が正式にペトリュスを相続した後も、2011年まではワインづくりを支えました。
そんな彼がドミナスを立ち上げたのは1982年。

実は1968年からカリフォルニアの名門・デイヴィス校で
ワイン造りを学んでいた時に魅せられたのが、
現在ドミナスが造られているナパヌックヴィンヤードでした。
彼はその時「この場所だ。私はここでワインを造るべきだ」と悟ったと言います。

クリスチャン氏は一度はフランス・ボルドーに帰国し、
ペトリュスをはじめとするファミリーのワイン造りに携わりますが
カリフォルニアワインへの情熱が忘れられず、
ジョイント・ベンチャーでドミナス・エステートを設立。
94年にはエステートを買収し単独所有となりました。


















今回お披露目されたのは、
ファーストヴィンテージから30年周年を記念して
リリースされた特別ラベルのドミナス。




























こちらは南アフリカの現代芸術家、
ウィリアム・ケントリッジ氏が手掛けた
クリスチャン氏のポートレイトがモチーフ。

実はクリスチャン・ムエックス氏には、
ボルドーのジャン・ピエール・ムエックス社で働く長男のエドアルド氏と、
南アフリカで獣医をしている長女のシャルロットさんがおり、
同国の画家が選ばれたのも偶然ではなさそうです。

ドミナスは、1983年~1990年までクリスチャン氏のポートレイトを
あしらったラベルでリリースされていた時期がありましたが、
クリスチャン氏は「ポートレイト入りはこの2013年が最後。」
と照れながら語っていました。


今回ドミナスのワイン造りについて伺った中で
特に興味深かったことが「ドライファーミング」について。

これは灌漑をしない、つまり水を与えない農法で、
これによってブドウの樹の根が地中深くに伸び、
「テロワールが味わえるワイン」が生まれるそうです。


【クリスチャン氏が手書きしたドライファーミングの図】
















(左)ドライファーミングをしたブドウの樹。地中の水を求めて3mほど根が伸びる。
(右)灌漑をした時の根。表面に撒かれた水を求めて根が上に伸びてしまう。






こちらが2013年のドミナス。






















※近日中に発売予定




クリスチャン氏はこの2013年のドミナスについて

「これまでの人生で手掛けたワインの中で、

 トップ10に入る偉大なワイン」


と表現。クリスチャン氏が手掛けたすべてのワイン、
つまり歴代のペトリュスもすべて含めて、
トップ10に入ると自信をみせる傑出した1本です。

濃厚で輝きのあるルビーレッド。
「黒いワインは造らない」というクリスチャン氏のポリシー通り
凝縮していながらも、透明感のある美しい色合いです。

クリスチャン氏が「エクスプロージョン=爆発」と表現する
インパクトのある鮮烈なフレーヴァー。
例年以上にマスキュリンな印象で、
日本文学好きのクリスチャン氏曰く、

「逞しくて男性的でヴァイオレント。まるで谷崎の文学だね。」

強烈な風味がいつまでも続く長大な余韻。
まさに30周年記念に相応しい偉大なワインです。


続いてこちらはセカンドワインのナパヌック。





















ナパヌック 2012年
10,000 円 (10,800 円 税込)
※2013年は近日中発売予定




ファーストと同じ、ナパヌックヴィンヤードから
とれたブドウを使用して造られます。

【クリスチャン氏が書いた畑の図解】



























畑には3~5%の傾斜がついていますが、
畑の上部(標高230m付近)に位置する区画の約2/3がドミナスに、
若木の1/3がナパヌックに使用されます。
畑の中腹は、1/3がドミナス、2/3がナパヌックに。
そして一番標高の低い畑のブドウが、サードであるオテロに回されます。

とは言っても「どの区画から収穫したブドウでもよいワインを造りたい」
との考えから、ワインごとに明確に区画を分けてはいないそうです。

試飲した2013年のナパヌックは、深みのあるダークレッドの色合い。
赤系果実と黒系果実が混ざりあったアロマが特徴的で、
凝縮感がありながらも、口当たりはとてもシルキー。

新樽率は20%と低めで、クリスチャン氏のすべてのワインに共通するように
樽の風味はほとんど感じず、豊かな果実の風味が口いっぱいに広がります。


アントニオ・ガローニ氏から
「ナパ・ヴァレーの中で最も素晴らしいスーパーセカンドワインの1つ。」
と賞賛される1本です。





最後に、サードワインのオテロをご紹介します。
























オテロ 2011年
4,800 円 (5,184 円 税込)

クリスチャン氏が書いた畑の図からもわかるように
ドミナスとナパヌックと同じ畑の別区画から収穫した
100%自社畑のブドウを使って造られるサードワインです。

実はこのワイン、エノテカが、

「日本人のために、和食にも合う、
 リッチ過ぎないカリフォルニアワインを造って欲しい。」 

とリクエストして生まれた、日本のためのワイン。
クリスチャン氏の奥様、シェリーズさんがデザインしたラベルには、
アルファベットの「O」が大きく配置されており、
これは日本の国旗である日の丸をイメージしているとか。

当初は日本だけで販売していましたが、
現在は世界各国で発売し、好評を博しているそうです。

2011年のセパージュはカベルネ・ソーヴィニヨン100%。
深みのあるルビーレッド。赤系果実のアロマに清涼感のあるハーブ、
生き生きとしたジューシーな果実味と酸が感じられる
飲み心地のよい味わい。
カリフォルニアワインの頂点に立つ
ドミナスやナパヌックの片鱗がお得に味わえる1本です。


最後に、クリスチャン氏が考える偉大なワインとは?

「どんなシチュエーションにも、どんな食事にも合わせられるワイン。

 これはワインだけでなく、人間も言えるのでは?」


なるほど。

ちょっと哲学的な答えですが、
どんな相手にも謙虚に接するクリスチャン氏の人柄に触れて、
偉大なワインが生まれる秘密が少しだけわかりました。



2017年1月21日土曜日

徹底解説!「アマローネ」のつくり方

最近リリースした「アマローネ」特集が想像を上回る反響をいただいており
その人気の底力を実感している今日この頃・・

独自製法による、インパクトのある唯一無二の味わいに、
ワイン初心者の方でもハマってしまう方が多いようです。

今回はイタリアを代表する銘酒の一つ、アマローネのつくり方をご紹介します。






















アマローネが造られるのは、イタリア・ヴェネト州。
ワインの生産量は長らくイタリアトップの座を占めており、
手頃なワインから、アマローネに代表されるような高級ワインまで
幅広いワインが造られ、ヴェローナでは国際見本市ヴィニタリーが毎年開かれ
「イタリアワインの首都」と知られている州です。

アマローネに使用される主なブドウ品種は、コルヴィーナ・ヴェロネーゼ。
これに、ロンディネッラやオゼレッタといった補助品種をブレンドします。

コルヴィーナ・ヴェロネーゼはヴェネト州を代表する高貴な黒ブドウで、
アマローネには40%95%のブレンドが認められています。
房は中程度の大きさ。ブドウの実は厚い皮に覆われ、濃い紫がかった色合いです。






















↑コルヴィーナ・ヴェロネーゼ


9月末から10月初旬にかけて、
完熟したブドウは厳しく選果しながら手摘みで収穫されます。


















通常のワインの場合、収穫したブドウはすぐ醸造所に運ばれ
圧搾して発酵へ進むのですが、
アマローネの場合ここからが重要なポイント。


アマローネ用のブドウは、専用の乾燥室に運ばれ、
ここで数か月「アパッシメント=陰干し」作業が行われます。

伝統的には、陰干しには葦で造られた棚「アレーレ」を使用したり、
天井から紐でブドウをつりさげて乾燥させる方法がありますが、
こうした方法にはカビ菌が繁殖するなどのリスクがあるため、
現在では清潔なプラスチックケースに入れて乾燥させる生産者も多いようです。









↑葦で造られた伝統的な棚「アレーレ」
























↑天井から吊るして乾燥させる伝統製法




















↑プラスチックケースに入れて乾燥させる現代的な製法
1998年に完成した、アレグリーニの巨大な乾燥施設「テッレ・ディ・フマーネ」


乾燥施設に入れられたブドウは、約100日を経て、
収穫翌年の1月頃、ようやくアマローネ用の陰干しブドウとなります。


【陰干し前】






















陰干し後は、こんな姿に!!


【陰干し後】























ブドウは陰干しすることによって水分が失われ、
その分糖度やエキス分が濃くなります。

この高い糖度をあえて残して仕上げるワインが「レチョート」。
甘口の「レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ」などが知られています。

対してアマローネは、高くなった糖度をほぼすべて発酵させてアルコールに変えるため、
アルコール度数が高く(アマローネの法定アルコール度数は14度以上)、
リッチでヴォリュームに富んだ辛口のワインが完成するのです。

アマローネとは、後味に残る苦味(Amaro)に由来すると言われています。
日本人としては、アマローネと聞くと語感的に甘い風味を連想してしまいますが、
全く逆の意味なのですね。






















アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ/アレグリーニ
10,000 円 (10,800 円 税込)


こうして手間暇かけてようやく生み出されるワインは、
あまりの稀少性にかつては王侯貴族しか口にできなかったといわれるほど。
ゴージャスな味わいもさることながら、お値段もなかなかというのがアマローネ。

そこで、アマローネの生産者達がこぞってリリースしているのが
別名“ベイビー・アマローネ”と言われる「リパッソ」タイプのワイン。























リパッソとは「元に戻す」という意味の二重発酵。
アマローネを造る際に使用したブドウの搾りかすに、
フレッシュなワインを注ぎ入れ2次発酵を行います。


生産者によっては、通常のワインに
アマローネと同じ陰干しブドウそのものを加えて2次発酵を行うことも。

こうしてできたワインは、アマローネのリッチな風味を気軽に味わうことができます。

こちらは、搾りかすではなくアマローネ用のブドウを30%使用した
独自のリパッソタイプ。

 ↓






















パラッツォ・デッラ・トーレ/アレグリーニ
3,800 円 (4,104 円 税込)



ちなみに、濃厚な風味をもつアマローネには、
しっかりとした肉料理が相性抜群。

最後に、アマローネの名門アレグリーニの社長、マリリーザ・アレグリーニさん
一押しの、アマローネに合う料理のレシピをご紹介します。



















↑料理上手で料理教室も主催しているマリリーザさん。


【アマローネにぴったり!おすすめレシピ】

牛肉のパスティッサーダ
~牛肉の赤ワインとスパイス煮込み~



















材料 牛肉約1kg(5cm角)、玉ねぎ大1個(みじん切り)、
ニンジン大1個、セロリ2本 (どちらもさいの目切り)、
バター大さじ1、オリーブオイル大さじ2、トマトペースト大さじ1、
ローズマリー小枝2、セージの葉3~4枚、ローリエ2枚、
シナモン粉末小さじ1/8、ナツメグ粉末小さじ1/8、
アマローネワイン1カップ、塩コショウ

作り方 鍋にバターとオリーブオイルを入れて中火にかける。
肉を加え、焦げ目をつける。肉をいったん取り出し、塩コショウする。
トマトペーストをワインに混ぜておく。
同じ鍋に玉ねぎ、ニンジン、セロリを加え、炒める。
ローズマリーとセージを刻み、シナモン、ナツメグ、ローリエと共に野菜に加える。
ワインを加え、塩で味を整える。肉を鍋に戻し、沸騰したら火を弱める。
25分ごとにかき混ぜながら6時間ことこと煮る。
必要あれば途中水を加え、最後は水分がすべて蒸発するようにする。
ソースは濃厚なのが理想的。
付け合せには北イタリア名物、ポレンタ(トウモロコシの粉を水で煮て練ったもの)を添えて。


寒さ厳しい季節、濃厚なアマローネとスパイスの効いた煮込み料理は、
身体の芯まで温ためてくれそうな組み合わせですね。
ぜひお試しあれ!


 ▼アマローネの特集はこちら▼








2017年1月13日金曜日

2017年は、ワイナリー訪問の旅に出かけよう!ワインツーリズム~フランス編~

ワイン好きなら、やっぱり憧れるワイン産地への旅。
ということで今回は、エノテカ・タイムス1-2月号で特集している
「ワインツーリズム」についてご紹介します。

ワイナリーツアーはもちろん、
おいしい料理や宿泊なども同時に楽しめる、
一度は訪れてみたいワイナリーばかりを厳選しました。
今回は後編として、フランス・ボルドーとブルゴーニュのワイナリーをご紹介します。

2017年、こんなワイン旅はいかがでしょうか♪

フランス ボルドー

~シャトー・コルディアン・バージュ Château Cordeillan-Bages~


シャトー・ランシュ・バージュ所有

極上の食と空間を満喫。

















↑修道院を改築して造られたシャトー・コルディアン・バージュ

ボルドーの中心街から車で1時間ほど、ポイヤックのワイン街道沿いにある
シャトー・コルディアン・バージュ。

シャトー・ランシュ・バージュのオーナー、
ジャン=ミッシェル・カーズ氏が所有する特級ホテルです。

19世紀中期の修道院を改装した優雅な建物の内部は、
ミシュラン2つ星に格付けされるレストランと、
ルレ・エ・シャトー・グループに加盟する高級ホテルを擁しています。
















名シェフ、ジャン・リュック・ロッカが腕をふるうレストランでは、
ワインに合う洗練された料理の数々を提供。
1500以上にも及ぶ充実のワインリストと共に楽しむことができます。
また、ミラノ出身の女性デザイナーが手がけた全28室のホテルの客室も、
モダンで洗練された空間が魅力的です。






 










コルディアン・バージュから徒歩5 分の場所にある
「バージュ・ヴィレッジ」では、ワインのテイスティングをはじめ、
自転車レンタルやお土産を買うこともでき、
超充実のボルドーステイになること請け合いです。

















ボルドーシャトー巡りの拠点にいかがでしょうか。


◆近隣のトラベルガイド ボルドー◆


三日月型に湾曲したガロンヌ河沿いに発達したことから、
“月の都”とも称される歴史都市、ボルドー。
ブルス広場やサンタンドレ教会、大劇場など1 8世紀の美しい建築物が多く残り、
界遺産にも登録されています。
2016年7月には、ガロンヌ河沿いにワインの総合施設「シテ・デュ・ヴァン」が登場!
ワインを総合的に楽しめるワインラヴァー必訪スポットです。


























↑ワインの総合施設「シテ・デュ・ヴァン」


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シャトー・コルディアン・バージュ Château Cordeillan-Bages

Route des Châteaux 33250 Pauillac
Tel +33 5 56 59 24 24
日本での問い合わせ先
Tel 03-5472-6789 (ルレ・エ・シャトー)
予約制( webにて予約) 
宿泊料金=クラシックルーム203€~、ジュニアスイート 382€~
客室数=28室
レストラン=コース90€~
www.cordeillanbages.com ※フランス語/英語
※ホテル・レストラン、共に2017年の営業期間は4月17日~11月12日
 (レストランは水曜~日曜のみの営業)



フランス・ブルゴーニュ

~ラ・メゾン・ドリヴィエ・ルフレーヴ La Maison d’ Olivier Lef laive~

ピュリニー・モンラッシェの中心に泊まる。























美食の町としても知られるボーヌから車で約15分、
ピュリニー・モンラッシェ村を拠点とするドメーヌ・オリヴィエ・ルフレーヴ。
秀逸な白ワインを手がけるドメーヌ兼ネゴシアンとして知られていますが、
実はホテル「ラ・メゾン・ドリヴィエ・ルフレーヴ」を経営しています。しかも4つ星!




















プライベートテラス付のスイートルーム2部屋のほか、
「自分の家のようにくつろげる」をコンセプトに、ロマンティックな部屋、
田舎風の部屋、ポップな部屋など、様々なテーマが設けられた11部屋を完備。
レストランも併設されており、
オリヴィエ・ルフレーヴのワインに合わせたメニューが楽しめます。

















まずはブドウ畑を見学し、その後経営者であるルフレーヴ兄弟と共に
ドメーヌを見学、最後にテイスティング込のランチという贅沢なツアー「ラ・ターブル」
(お二人様145€)などのプランも充実しています。

窓からは静寂が広がるピュリニー・モンラッシェの丘陵、
手にはとっておきのオリヴィエ・ルフレーヴの白ワイン。
そんな世にも贅沢なひとときが実現できるのは、この宿ならでは。

ブルゴーニュワイン・ラヴァーを魅了する、唯一無二の空間です。


◆近隣のトラベルガイド ボーヌ◆

“神に祝福された土地”と形容されるブルゴーニュ。
その拠点となるボーヌは、ワインと美食好きにとって、
究極の旅先と言えるのではないでしょうか。城壁に
囲まれたボーヌの中心にあるのは、オスピス・ド・ボーヌ。
もとは病院ですが、現在は博物館となっており、11月

にはワインオークションの会場としても使われています。





















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ラ・メゾン・ドリヴィエ・ルフレーヴ La Maison d’ Olivier Lef laive


10, Place du Monument 21190 Puligny-Montrachet
Tel +33 3 80 21 95 27
予約制( webにて予約) 
宿泊料金= 160 €~ 245 €(朝食別) 
客室数=13室
レストラン=営業時間 ランチ12:30~ ディナー19:30~ 
     日曜休み ペアリングメニュー 60€~
http://www.olivier-leflaive.com/ja/ 
※日本語/フランス語/英語
※ホテル・レストラン、共に2017年の営業期間は
 2017年2月~12月下旬まで

2017年1月6日金曜日

2017年は、ワイナリー訪問の旅に出かけよう!ワインツーリズム~スペイン&イタリア編~

明けましておめでとうございます!
本年もエノテカワイン通信ブログをどうぞよろしくお願いいたします。

新年と言えば「今年こそ挑戦したい!」ことについて、
思いを巡らせてみたくなる時期でもありますね。

ワイン好きなら、やっぱり憧れるワイン産地への旅。
ということで今回は、エノテカ・タイムス1-2月号で特集している
「ワインツーリズム」についてご紹介します。

ワイナリーツアーはもちろん、
おいしい料理や宿泊なども同時に楽しめる、
一度は訪れてみたいワイナリーばかりを厳選しました。
今回は前編として、スペインとイタリアから4つのワイナリーをご紹介します。

2017年、こんなワイン旅はいかがでしょうか♪


スペイン バルセロナ

~トーレス TORRES~


年間集客10万人!
充実のワイナリーツアー。



スペイン有数の銘醸地ペネデスを拠点に、リオハ、リベラ・デル・ドゥエロ、
プリオラートなど、7つもの産地でワインを生産している名門トーレス。
ワインツーリズムにとても力を入れており、ペネデスのワイナリーには
年間10万人もの見学者が訪れるのだそうです。













↑バルセロナから車で約1時間のビジターセンター


ワインテイスティングやワークショップ、
イベリコハムやスペインチーズとのフードペアリング体験、
カタルーニャの文化体験とセットになったツアーなど、
ユニークなアクティヴィティが充実しています。
























一番ベーシックな「トーレス・ワイナリーツアー」(9€〜)では、
ワイナリー内やセラー内部をミニ電車に乗って移動。
140年以上家族経営を続けるトーレスの歴史について詳しく解説を聴けるほか、
フラッグシップワインであるマス・ラ・プラナの畑を見学、
最後にトーレスのワイン2種類のテイスティングをすることができます。





















↑ミニ電車に乗ってツアーに出発!


きめ細かでエンターテイメント性に優れたワイナリーツアーは、さすがは名門!

バルセロナからは車で約1時間。
バルセロナ観光の際には、ぜひとも足を延ばして訪れたい、
特筆すべきワイナリーです。


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トーレス Torres
Finca el Maset, s/n - 08796 Pacs del Penedès
トーレス・ワイナリーツアー 9 €~
予約制( webにて予約) 
所要時間 1時間45分 (英語/スペイン語/カタルーニャ語)
https://www.clubtorres.com/en/visits-workshops-tastings/category/tours
※スペイン語/英語





イタリア トスカーナ

~アンティノリ ANTINORI~


総工費100億円以上!
巨大ワイナリーで、イタリアワインの真髄に触れる。



















↑建物の大半は地中に埋まっており、
トスカーナの田園風景に溶け込んだアンティノリのワイナリー


要塞を思わせる近未来的な建物が印象的なアンティノリのワイナリー。
2012年に総工費100億円以上をかけて完成したワイナリー兼本社は、
フィレンツェ出身の若手建築家、カザ・モンティ氏が設計。
環境に配慮し、ワインの木樽やコルク樫、鉄などを再利用し、
多くの設備が地下に作られたワイナリーは、
トスカーナの田園風景に見事に溶け込んでいます。


また、ここには醸造設備をはじめ、美術館、レストラン、ライブラリーを完備。
見学コースはランチ付きも含め選べる3コース。
スケールの大きなイタリアのスーパーワイナリーの魅力をたっぷりと楽しめるとあって、
年間5〜6万人もの人が訪れる、一大観光スポットです。




















↑平日も予約で満席になるというオステリア・ディ・パッシニャーノ


また、イタリア各地でレストランを経営しているアンティノリですが、
特におすすめは、キャンティ・クラシコ地区にある
オステリア・ディ・パッシニャーノ。

歴史的な美しい古城に隣接するキャンティの名門、
バディア・ア・パッシニャーノ内にある1つ星のレストランで、
野菜をたっぷり使った洗練のトスカーナ料理を楽しむことができます。




















600年以上の歴史をもち、フィレンツェの文化をけん引してきたアンティノリ家。
その美意識が詰まったワイナリー見学は、
まさにイタリアワインの真髄に触れる機会となりそうです。


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アンティノリ ANTINORI
Via Cassia per Siena, 133 Loc.
Bargino 50026 San Casciano Val di Pesa, Firenze
テイスティング付きワイナリーツアー 25€~150€(ランチ付き)
予約制 (webにて予約) 
所要時間 1時間半~2時間半(イタリア語/英語)  
http://antinorichianticlassico.it/ ※イタリア語/英語

オステリア・ディ・パッシニャーノ Osteria di Passignano
Via Passignano 33 Loc. Badia a Passignano
50028 Tavarnelle Val di Pesa (FI)
月~土曜 営業時間 12:15~14:15 19:30~22:00 ※日曜定休



~カステッロ・ディ・アマ CASTELLO DI AMA~


キャンティ・クラシコの頂で
現代アートとワインに浸る。





















なんとローマ時代からワイン造りで知られていた村がはじまり、
というキャンティ・クラシコの名門ワイナリー、カステッロ・ディ・アマ。
フィレンツェから車に乗ってシエナ方面へ約1時間。
キャンティ・クラシコの美しいワイン畑を眺めながら曲がりくねった坂道を登ると、
標高500mの高地に広大な敷地をもつワイナリーが広がります。


キャンティ・クラシコのトップ生産者として名高いカステッロ・ディ・アマですが、
もう一つその名を知らしめているのが「アートプロジェクト」。
世界各国の著名な現代アーティストをワイナリーに招き、
その土地からインスパイアされたアート作品を制作してもらう
という試みを行っているのです。


















↑杉本博司氏による“Confession of Zero ”


アート・プロジェクトの記念すべき15周年の2014年には、
日本を代表するアーティスト、杉本博司氏が“Confession of Zero ”という作品を制作。
オーナーであるマルコ・パランティ氏たっての希望で実現した作品が、
敷地内の古い礼拝堂に鎮座しています。

























かつて村だったという広大な敷地では、
専門スタッフによるアートとワインの解説をたっぷりと聞けるほか、
隣接のレストランでは毎朝手打ちする美味しいパスタとワインを楽しむことができます。
また、敷地内には宿泊施設も。
アートとワインをより深く楽しみたい方におすすめです。


ワインメーカー、マルコ・パランティ氏の哲学は
「ワイン造りは“place”を表現すること。」
アートにも共通するこの哲学に浸ることができる素晴らしい体験をお約束します。


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カステッロ・ディ・アマ CASTELLO DI AMA
Località Ama, 53013 Gaiole In Chianti SI
テイスティング付きワイナリーツアー 45€ ~、ツアー&ランチコース 70 € ~
Tel +39 0577 746191
予約制( tel もしくはwebにて予約) 
http://www.castellodiama.com/ ※イタリア語/英語

IL RISTRO DI AMA (カステッロ・ディ・アマ敷地内のレストラン)
営業時間 12:00~15:00、 19:00~22:00 
※火曜定休 12/20~2/14の間はお休み



~イル・ボッロ IL BORRO~


フェラガモがプロデュースする、
真のラグジュアリーを堪能。






















↑中世の街並みを再現したという美しい街並み


フィレンツェから車で約1時間。
今なお中世の佇まいを残す美しい村を
サルヴァトーレ フェラガモの現社長、フェルッチオ・フェラガモ氏が買い取り
復活させたリゾート地がこちらのイル・ボッロです。

700 haを超える広大な敷地では、
ワインのほかオリーヴオイル、蜂蜜を生産。

中世の街並みを再現するために
細心の注意を払ってリフォームされたというヴィラやモダンなレストラン、
教会、靴屋やジュエリーショップ、スパまで完備した
ラグジュアリーな空間には世界中のセレブが集まり、優雅なヴァカンスを過ごしています。


















↑ドアノブに至るまでこだわって古い建物をリノベーションした、内装が全て異なるヴィラ


そしてワインラヴァー必見は、敷地内にあるイル・ボッロ美術館。
レンブラントからゴヤ、アンディ・ウォーホルまで、
なんとすべてワインやお酒が描かれているという
フェルッチオ氏所有の貴重な版画コレクションをじっくりと鑑賞することできます。

まるで中世にタイムスリップしたかのような美しいヴィラをそぞろ歩きした後は、
敷地内のレストラン、オステリア・デル・ボッロへ。
























↑モダンな料理が評判のオステリア・デル・ボッロ。連日開催している料理教室も人気。


イル・ボッロ自慢のワインと洗練された料理のマリアージュを
存分に楽しみ、ヴィラに戻って心地よい眠りに着く・・・ 
フェルッチオ・フェラガモ氏が長年かけて完成させた
夢のようなトスカーナリゾートを心行くまで堪能したいものです。


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イル・ボッロ IL BORRO
Località Borro,
1、52024 Loro Ciuffenna AR, Italy
テイスティング付きワイナリーツアー 20 €~、
ワイナリーツアー&ランチコース 55€~
宿泊 230€~ 予約制( webにて予約) 
http://www.ilborro.it/en/ ※イタリア語/英語
もしくは、ルレ・エ・シャトー予約センター ※日本語
Tel 0800-888-3326

OSTERIA DEL BORRO
Località Borro 52 – Loro Ciuffenna (AR)
Tel +39 055 977 2333 – osteria@ilborro.it
年中無休 7:15~22:00




※現地の祝祭日やワイナリーの混雑状況によっては、予約できない場合もあります。
※ワイナリーツアーや宿泊、レストランの価格は、2016年12月現在の価格です。
価格は予告なく変更となる場合がございます。


2016年12月28日水曜日

ほろ酔い気分でページをめくりたい『文学とワイン』

2016年も残すところあと少し。
本日で仕事納めという方も多いのではないでしょうか。

本日は、冬休みの読書にも最適な本をご紹介します!

それがこちら↓






























文学とワイン / 山内 宏泰 
青幻舎
本体価格 1,800円 (1,944円税込)


こちらは、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレで
開催してきた文学とワインを同時に楽しむイベント、
文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」が、
書籍『文学とワイン』(青幻舎)として刊行されたもの。

文学ワイン会とは、毎回1人の作家の方をお招きし、
作家も参加者もともにワインを飲みつつのアットホームな雰囲気の中、
作家自らご著書について語っていただくトークイベントです。
























↑第1夜に登場する、西川美和さん


小説家たちがワイングラスを片手に語った、自身の小説観や創作への想いなど、
本音のトークがこの一冊にギュッと凝縮されています。

同時に、小説家たちが語るワインやお酒の魅力、
ワインやお酒が文学のなかで果たす役割など、
その新たな魅力を発見することもできる一冊です。

本書には、気鋭の作家たちによる、
ワインやお酒にまつわる名言も多数収録されています。



アートなんて、なくたって生きていける。<中略> 
小説も、ワインも、なくたって人は生きられる。 でも、あれば豊かにはなれて、
また不思議なことに人間は、より豊かになることを求める生きものなんですよね。
______原田マハ 

お酒を飲むと、行動や言動がヘンになるでしょう。 
それをそのままスケッチすると、もうひとつの世界みたいなものが生まれる。<中略>
そう考えると、酔っぱらいにはちょっと憧れます。魂が解放される感じがあって。
______穂村弘 


ワインを語る言葉に触れるのは、
読めない外国語の日本語訳を読んでいるときの感覚に似ています。
あきらめと憧れともどかしさ、それが全部ふくまれている。
______堀江敏幸 


~本書より抜粋~


























そして本書のもう一つの主役はワイン。

作家たちのリクエストや、
その小説のイメージに合わせてセレクトされたワインが次々と登場。
合計30種ものワインが、トークを盛り上げています。

例えば、ワインや日本酒が好きという島本理生さんのリクエスト。

「飲んだときに煙る感じと甘みが両方あって、
時間が経つにつれて味が複雑に変化する、重めの赤だとうれしいです」

との具体的なリクエストで選んだワインがこちら。

























◆小説『Red』のイメージに合わせて…
プリヴァーダ 2013年/ボデガ・ノートン
3,000円 (3,240円)


会場でもイメージにぴったり!とたいへん好評だったようです。



実際に作家たちが楽しんだワインを片手に本書やその小説を読めば、
さらに新たな世界が広がりそうです。

まさにワイン好き、文学好きのすべての方におすすめしたい本書。
ぜひ、グラス片手にほろ酔い気分でページをめくってみてください♪


本のご購入はこちら▼
https://www.enoteca.co.jp/item/detail/999973714000





2016年12月19日月曜日

二日酔い対策まで!ワインパーティーを楽しむコツ

忘年会、クリスマス・・パーティーシーズン真っ盛りですね!


















今回は、ワインショップ各店で配布している「エノテカ・タイムス11-12月号」の
「おうちでワインパーティー!」より、ワインパーティーのコツについて
いくつかご紹介します♪


























ワインは何本揃える?




















意外と知らない方が多いのが、ワイン1本でグラスどのくらいとれるかということ。

通常グラス1杯=約90~100ml ですので、
750mlボトル1本=7~8杯どり  と換算するのが一般的です。

ゲストの飲む量、パーティーの時間にもよりますが、
最低グラスで3杯、多くて1人1本を目安として考えましょう。

もちろん、あまり飲めない方、まったく飲まない方への配慮もお忘れなく。
当日急に「今日は飲めない!」というゲストが来ることも想定して
ノンアルコールのスパークリングワインなどを用意しておくと安心です。
オールドヴィンテージのワインは、澱を沈めるために飲む2~3日前から立てておきます。



ワインの温度


スパークリングワインやスッキリとした白ワインはしっかり冷蔵庫で冷やします。
ただふくよかな味わいの白ワインなどは、
冷蔵庫から出したては少し冷えすぎていると感じることも。
そんな場合は、クーラーに入れずに室温において徐々に温度を上げていきましょう。

赤ワインは軽い赤ワインだと13℃前後、
ミディアムボディで15℃前後、フルボディで18℃前後が理想的。
「赤ワインは室温で」と思っている方も多いようですが、
日本の家庭の室温はもっと高いため、
実際のワインの温度は、思っているよりも実はかなり高め。

15℃前後で保存できるワインセラーがあれば直前までセラーに入れておき、
ない場合は赤ワインでも冷蔵庫で少し冷やして、
できれば温度計でキッチリ計ってみるのがオススメです。



水はたっぷり飲む


















ワインの本場、フランスやイタリアのレストランでワインをオーダーした後に
よく聞かれるのが「ガス入り?スティル?」という水の種類。
現地ではほとんどの方が注文する水には、
アルコールを摂取することで失われる水分を補給することで、
悪酔いや水分不足を防ぐ効果があります。

ワインの帝王、ロバート・パーカー氏は毎日必ず2~4ℓの水を飲んでいるとか。
ワインパーティーのお供は水!鉄則です。



グラスの洗い方




















楽しいパーティーが終わった後のグラス洗浄。
もしかして当日洗っていませんか?
ワイン会の失敗談としてよく聞くのが
「酔っ払ってグラスを洗って割ってしまった・・」というもの。

グラスはさっとお湯ですすぐだけで大方の汚れはとれます。
酔っ払ってしまったときは、グラスにお湯を張っておいて、翌朝洗う。
スマートなワインラヴァーの常識です。

ただし、洗った直後にはすぐクロスで水滴を拭くのがポイント。
自然乾燥は水垢の原因になるので
「ワイングラスは洗ったらすぐ拭く!」を習慣にしましょう。



二日酔い対策


酒豪のエノテカ・スタッフやソムリエ達に
「二日酔いにならないにはどうしたらよいでしょう?」と質問すると
返ってくる答えが「ビタミンの摂取!」。

実はアルコールを消化する際に体内のビタミンが失われてしまうそうで、
それを補うことが二日酔い対策に必須なのだとか。

ワインを飲んだ後にビタミン剤を摂取する
(100%のグレープフルーツジュースを飲むだけ、というスタッフも。)ほか、
翌日にはバナナや柑橘類でビタミンチャージ!
(胃が荒れているときは、酸味のあるかんきつ類は控えた方がよいことも)

ワインパーティのお土産にビタミン剤とフルーツ、
なんて気が利いていていいかもしれません♪







ともあれ「美味しいワインを、ほどほどに楽しむ」
これがワインパーティーを楽しい思い出にする一番のコツです♪

皆さんも飲みすぎには注意して、どうぞ素敵なワインパーティーをお楽しみください!



▼パーティーにぴったりのワインいろいろ
 「ワイン好きのためのクリスマス特集」はこちら
https://www.enoteca.co.jp/xmas/index.html