2016年12月28日水曜日

ほろ酔い気分でページをめくりたい『文学とワイン』

2016年も残すところあと少し。
本日で仕事納めという方も多いのではないでしょうか。

本日は、冬休みの読書にも最適な本をご紹介します!

それがこちら↓






























文学とワイン / 山内 宏泰 
青幻舎
本体価格 1,800円 (1,944円税込)


こちらは、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレで
開催してきた文学とワインを同時に楽しむイベント、
文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」が、
書籍『文学とワイン』(青幻舎)として刊行されたもの。

文学ワイン会とは、毎回1人の作家の方をお招きし、
作家も参加者もともにワインを飲みつつのアットホームな雰囲気の中、
作家自らご著書について語っていただくトークイベントです。
























↑第1夜に登場する、西川美和さん


小説家たちがワイングラスを片手に語った、自身の小説観や創作への想いなど、
本音のトークがこの一冊にギュッと凝縮されています。

同時に、小説家たちが語るワインやお酒の魅力、
ワインやお酒が文学のなかで果たす役割など、
その新たな魅力を発見することもできる一冊です。

本書には、気鋭の作家たちによる、
ワインやお酒にまつわる名言も多数収録されています。



アートなんて、なくたって生きていける。<中略> 
小説も、ワインも、なくたって人は生きられる。 でも、あれば豊かにはなれて、
また不思議なことに人間は、より豊かになることを求める生きものなんですよね。
______原田マハ 

お酒を飲むと、行動や言動がヘンになるでしょう。 
それをそのままスケッチすると、もうひとつの世界みたいなものが生まれる。<中略>
そう考えると、酔っぱらいにはちょっと憧れます。魂が解放される感じがあって。
______穂村弘 


ワインを語る言葉に触れるのは、
読めない外国語の日本語訳を読んでいるときの感覚に似ています。
あきらめと憧れともどかしさ、それが全部ふくまれている。
______堀江敏幸 


~本書より抜粋~


























そして本書のもう一つの主役はワイン。

作家たちのリクエストや、
その小説のイメージに合わせてセレクトされたワインが次々と登場。
合計30種ものワインが、トークを盛り上げています。

例えば、ワインや日本酒が好きという島本理生さんのリクエスト。

「飲んだときに煙る感じと甘みが両方あって、
時間が経つにつれて味が複雑に変化する、重めの赤だとうれしいです」

との具体的なリクエストで選んだワインがこちら。

























◆小説『Red』のイメージに合わせて…
プリヴァーダ 2013年/ボデガ・ノートン
3,000円 (3,240円)


会場でもイメージにぴったり!とたいへん好評だったようです。



実際に作家たちが楽しんだワインを片手に本書やその小説を読めば、
さらに新たな世界が広がりそうです。

まさにワイン好き、文学好きのすべての方におすすめしたい本書。
ぜひ、グラス片手にほろ酔い気分でページをめくってみてください♪


本のご購入はこちら▼
https://www.enoteca.co.jp/item/detail/999973714000





2016年12月19日月曜日

二日酔い対策まで!ワインパーティーを楽しむコツ

忘年会、クリスマス・・パーティーシーズン真っ盛りですね!


















今回は、ワインショップ各店で配布している「エノテカ・タイムス11-12月号」の
「おうちでワインパーティー!」より、ワインパーティーのコツについて
いくつかご紹介します♪


























ワインは何本揃える?




















意外と知らない方が多いのが、ワイン1本でグラスどのくらいとれるかということ。

通常グラス1杯=約90~100ml ですので、
750mlボトル1本=7~8杯どり  と換算するのが一般的です。

ゲストの飲む量、パーティーの時間にもよりますが、
最低グラスで3杯、多くて1人1本を目安として考えましょう。

もちろん、あまり飲めない方、まったく飲まない方への配慮もお忘れなく。
当日急に「今日は飲めない!」というゲストが来ることも想定して
ノンアルコールのスパークリングワインなどを用意しておくと安心です。
オールドヴィンテージのワインは、澱を沈めるために飲む2~3日前から立てておきます。



ワインの温度


スパークリングワインやスッキリとした白ワインはしっかり冷蔵庫で冷やします。
ただふくよかな味わいの白ワインなどは、
冷蔵庫から出したては少し冷えすぎていると感じることも。
そんな場合は、クーラーに入れずに室温において徐々に温度を上げていきましょう。

赤ワインは軽い赤ワインだと13℃前後、
ミディアムボディで15℃前後、フルボディで18℃前後が理想的。
「赤ワインは室温で」と思っている方も多いようですが、
日本の家庭の室温はもっと高いため、
実際のワインの温度は、思っているよりも実はかなり高め。

15℃前後で保存できるワインセラーがあれば直前までセラーに入れておき、
ない場合は赤ワインでも冷蔵庫で少し冷やして、
できれば温度計でキッチリ計ってみるのがオススメです。



水はたっぷり飲む


















ワインの本場、フランスやイタリアのレストランでワインをオーダーした後に
よく聞かれるのが「ガス入り?スティル?」という水の種類。
現地ではほとんどの方が注文する水には、
アルコールを摂取することで失われる水分を補給することで、
悪酔いや水分不足を防ぐ効果があります。

ワインの帝王、ロバート・パーカー氏は毎日必ず2~4ℓの水を飲んでいるとか。
ワインパーティーのお供は水!鉄則です。



グラスの洗い方




















楽しいパーティーが終わった後のグラス洗浄。
もしかして当日洗っていませんか?
ワイン会の失敗談としてよく聞くのが
「酔っ払ってグラスを洗って割ってしまった・・」というもの。

グラスはさっとお湯ですすぐだけで大方の汚れはとれます。
酔っ払ってしまったときは、グラスにお湯を張っておいて、翌朝洗う。
スマートなワインラヴァーの常識です。

ただし、洗った直後にはすぐクロスで水滴を拭くのがポイント。
自然乾燥は水垢の原因になるので
「ワイングラスは洗ったらすぐ拭く!」を習慣にしましょう。



二日酔い対策


酒豪のエノテカ・スタッフやソムリエ達に
「二日酔いにならないにはどうしたらよいでしょう?」と質問すると
返ってくる答えが「ビタミンの摂取!」。

実はアルコールを消化する際に体内のビタミンが失われてしまうそうで、
それを補うことが二日酔い対策に必須なのだとか。

ワインを飲んだ後にビタミン剤を摂取する
(100%のグレープフルーツジュースを飲むだけ、というスタッフも。)ほか、
翌日にはバナナや柑橘類でビタミンチャージ!
(胃が荒れているときは、酸味のあるかんきつ類は控えた方がよいことも)

ワインパーティのお土産にビタミン剤とフルーツ、
なんて気が利いていていいかもしれません♪







ともあれ「美味しいワインを、ほどほどに楽しむ」
これがワインパーティーを楽しい思い出にする一番のコツです♪

皆さんも飲みすぎには注意して、どうぞ素敵なワインパーティーをお楽しみください!



▼パーティーにぴったりのワインいろいろ
 「ワイン好きのためのクリスマス特集」はこちら
https://www.enoteca.co.jp/xmas/index.html




2016年12月5日月曜日

ミニマリズムを追及するシャンパーニュトップメゾン来日!

今年のシャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権にて
生産者として最高賞「プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」と、
クリスタル2002年(マグナムボトル)が、「シュープリーム・ワールドチャンピオン」
「ベスト・フレンチ・スパークリング」をW受賞!という快挙に輝いた、
今最も注目のシャンパーニュメゾン、ルイ・ロデレール。

先月、副社長 兼 シェフ・ド・カーヴ(栽培・醸造責任者)を務める
ジャン・バティスト・レカイヨン氏が初来日!
スタッフ向けにセミナーが行われました。





↑ジャン・バティスト・レカイヨン氏
栽培と醸造、さらには副社長として経営に携わるスーパーワインメーカーです。


ルイ・ロデレールに入社して28年目というレカイヨン氏。
フランス国立農学学院の醸造と栽培両部門を首席で卒業。
その才能をルイ・ロデレールの先代ジャン・クロード・ルゾー社長に見初められ、
同社に入社しました。

“天才醸造家”と呼ばれる所以はもちろん
ワインメーカーとしての優秀さにありますが
彼のすごいところは、シャンパーニュだけでなく、
南仏のプロヴァンス、ボルドー、カリフォルニアのワイン造りも統括していることに加え、
家族経営の会社としては珍しく、創業家ではないワインメーカーながら
副社長として経営にも加わっていること。


75%以上という高い自社畑比率を誇るルイ・ロデレール社。
長期的な視点で畑の手入れを行い、良質なブドウを手に入れなければ
良質なシャンパーニュは生まれません。

オーナーがそのことを深く理解しているからこそ、
創業家ではないワインメーカーを副社長に抜擢する、
という決断ができたのかもしれません。























早速試飲したワインをいくつかご紹介します。

























ブリュット・プルミエ

こちらはルイ・ロデレールのスタンダード・キュヴェであり
名刺代わりの1本。

レカイヨン氏が「ノン・ヴィンテージと呼ぶにはもったいない!」と話すように
その7割以上が単一のヴィンテージ・キュヴェで造られています。
そしてこのスタンダード・キュヴェのすごいところが
熟成ポテンシャルを持ち合わせていること。

通常ノンヴィンテージのシャンパーニュを寝かせて飲むことはありませんが、
このブリュット・プルミエは、2~3年セラーで寝かせると、
フィネス、ミネラルなど、ヴィンテージの個性がどんどん出てくるとか。

ケースで買っておいて、少しずつ熟成による変化を楽しむ「通」もいるそうです。


























ブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデル

こちらは2006年のファーストリリースに続く最新作の2009年度産。

ノン・ドサージュで限りなくナチュラルに造られるキュヴェですが、
レカイヨン氏によるともう一つ大きなコンセプトが。

このキュヴェに使われるブドウは全て粘土質土壌の畑のもの。
粘土質土壌から生まれるブドウは「スケールの大きな果実味が特徴的」で、
ブドウがよく熟したヴィンテージという点が大切とのことでした。

2009年は、まさにブリュット・ナチュールにとって理想的なヴィンテージ。
限りなくナチュラルに造るため、収穫のタイミングも
ビオディナミカレンダーに沿って行います。

味わいはノンドサージュとは思えないほど、丸みがありリッチ。
後味にうっすらと塩味のようなミネラルを感じます。
“限りなくピュア”という使い古された表現が
これほどぴったりくるワインはそうないのでは、と思わせる1本です。

ワイン単体で楽しむもよし、
レカイヨン氏曰く、シーフードと合わせるのもおすすめだそうです。


























クリスタル 2009年

こちらはルイ・ロデレールが誇るプレスティージュ・キュヴェ。
2002年のクリスタルは、今年行われたスパークリングワイン世界選手権にて
「シュープリーム・ワールド・チャンピオン」
「ベスト・フレンチ・スパークリングワイン」の2冠を達成した、
まさに世界のスパークリングワインの頂点と言っても過言ではないキュヴェです。

このクリスタルには、ブリュット・ナチュールとは対照的に、
石灰質土壌で育ったブドウだけを使っています。

石灰質土壌から生まれるブドウの特徴は
「パワーと凝縮感、長期熟成のポテンシャル、そしてフィネスとエレガンス」
それらを最大限に表現したのがこのクリスタルなのです。

ルイ・ロデレールでは、古くから自社畑に自生したピノ・ノワールを
マサル・セレクションで接ぎ木してきたため、
200種以上のクローンが存在しており、その多様性こそが
クリスタルの個性を形づくっているそうです。





今回のセミナーにおいて改めてわかったのは、
ルイ・ロデレールが目指すスタイルが“ミニマリズム”であること。
レカイヨン氏が何度も“ミニマリズム”という言葉を使っているのが印象的でした。
ミニマリズムとはアートやファッションの世界でよく使われる言葉で、
直訳すると「最小限主義」ですが、無駄や装飾を排除した究極のシンプルさ、
と解釈されることが多いようです。

ワインの中でも、人の手で造りこまれたゴージャスなイメージのあるシャンパーニュ。
そのトップメゾンが「ミニマリズムを追及したい。」とは少し衝撃的です。

具体的にどのようにして追及しているかというと、
レカイヨン氏曰く「スタイルは重要ではない。土地に由来することが重要。」

つまりは、テロワールをピュアに表現することを追及しているのです。
そのために、1950~60年代の、化学肥料を使用していなかった時代に回帰しようと、
なるべく自然のままにブドウが育つよう、ビオディナミ栽培をはじめ
畑の手入れに力を注いでいるそうです。

また、ルイ・ロデレールでは、
ほとんどのキュヴェでマロラクティック発酵を行いません。
マロラクティック発酵を行うと、シャルドネを使ったキュヴェなどに
「バターの風味」が付くこと(若いときにそういった香りが出るのは好みではないそうです)
また、熟成が早く進んでしまうことから、マロラクティック発酵を行わないそうです。






















シャンパーニュ地方で最大のビオディナミ栽培者であるルイ・ロデレール。
現在はトップキュヴェであるクリスタルのビオディナミ栽培比率は50%強ですが
2020年には100%になる予定です。

シャンパーニュ界のトップメゾンが目指す「ミニマリズム」。

余計なものを排しても、力強い輝きを失わないのは、
その土台にあるものが揺るぎないからに違いありません。