2016年7月25日月曜日

いよいよ販売開始!「2015年ボルドープリムール」

本日よりエノテカ・オンラインで一般販売を開始した
「2015年ボルドープリムール」。

「プリムール」とは、樽熟成中のボルドーワインを先行予約販売することで
エノテカは日本で初めてこのプリムール販売を開始したパイオニア。

毎年販売しているプリムールですが、
実は2015年のボルドープリムールは、近年稀に見る盛り上がりをみせています!



















1995年、2005年は言わずと知れたグレートヴィンテージ。
ボルドーでは「5」が付く年は偉大な年という噂があり
今回もご多分に漏れず、素晴らしい出来という評判なのです。

この2015年は、イギリスのワイン専門誌『デキャンター』の顧問エディター、
スティーブン・スパリアー氏に「ボルドーの復活を見た」と言わしめたヴィンテージ。
彼は「すべての要素で満足のいく、まさに“大本命”に相応しい出来であると断言しています。





















↑『デキャンター』2016年6月号の「ボルドー2015年」特集

また、「ワインレポート」によると、
元ワインスペクテーター誌のジェームス・ザッケリングは、
16銘柄に100点満点を付け、
「ボルドー2015は2005や2000に比肩するファンタスティックな年」と表現した模様。

また、プリムールに対して批判的と目される
イギリスの女性評論家の大家、ジャンシス・ロビンソンですら
「2015年はこの5年間で初めてボルドー人が大騒ぎする価値のあるヴィンテージだと言える」
とコメントしているほどです。

エノテカでも、今春ボルドープリムールの試飲に参加したバイヤーが
トップシャトーにインタビュー。以下、そのコメントをご紹介します。

シャトー・マルゴー 

2005,09,10年と並んで偉大なヴィンテージの特徴をあわせ持っています。




















↑オーレリアン・ヴァランス氏

「シャトー・マルゴーにとって、まさに歴史的なヴィンテージです。
 グラン・ヴァン用にリザーヴされているのは全生産のわずか35%で、
 最高峰のヴィンテージの中では最も厳選した年と言えます。
 カベルネ・ソーヴィニヨンの活力と強さは例年以上になりました。
 これまでのヴィンテージと比較するのはほぼ不可能ですが、
 2005 年の力強さと2009 年の肉付きのよさ、2010 年の緻密さを
 同時に思い出すかもしれません。
 そして何より、シャトー・マルゴーの比類ない魅力もあわせ持っています。」


シャトー・ポンテ・カネ

ビオディナミの効果により見事な完熟ブドウが収穫できました。





















↑メラニー&アルフレッド・テスロン氏

「ポンテ・カネでは、年を追うごとにブドウの成熟が早まっており、
 これは明らかにビオディナミの効果によるものです。
 10 月3 日、最後のブドウの摘み採りが終わると同時に雨降りの時期に突入したため、
 我々はいかに幸運に恵まれているかを実感することになりました。
 優れたワインを造り続けていくためには、自身の伝統を最大限に尊重すると共に、
 私たちの土地に備わったテロワールを、
 より最高の形で表現していくことが重要だと考えます。」


シャトー・オー・ブリオン

類稀なるバランスを備えた記念碑的ヴィンテージ。 




















↑ジャン・フィリップ・デルマス氏

「例年の約半分という少雨と高い気温が続いた2015 年。
 ぺサック・レオニャンは7 月の雨がブドウのフレッシュさを保ち、
 気温の寒暖差が色付きを助けたおかげで見事に完熟。
 収穫は長い時間をかけて区画単位で慎重に行いました。
 ブドウは例年以上に豊満な果実味をもち、オー・ブリオンの歴史の中でも
 類稀なるバランスを備えた記念碑的なヴィンテージとなりました。
 また、白ワイン用のブドウは見事に熟し、フレッシュさと長期熟成の
 ポテンシャルを備えた素晴らしいものになりました。」


ジャン・ピエール・ムエックス

「来たれ! 太陽が高らかに我々に語りかける。」
― ルコント・ド・リール(19世紀フランスの詩人) 





















↑クリスチャン・ムエックス氏

「ブドウの色付きは、ポムロル、サン・テミリオンにおいて、概ね平年並み。
 8 月後半から9 月の頭に入ると、暑い日々が戻り、
 10 月1 日には全ての収穫を終えました。
 このヴィンテージで最も成功した産地の1 つがサンテミリオン。
 特にシャトー・ベレール・モナンジュはその中でも極めて純朴で
 無駄のないミニマリズム美を備えるスタイルとなりました。
 複雑な赤系果実やミネラルなど大地の息吹を感じさせてくれる香りに、
 艶やかで滑らかな味わいの余韻が永久に続きます。」


▼ボルドー2015プリムールの特設ページはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/primeur/index.html



2016年7月18日月曜日

ローヌの“熱い”巨匠たちが来日!

先日、ローヌを代表する銘醸地
北のコート・ロティ、そして南のシャトーヌフ・デュ・パプより
同地を代表する名門ルネ・ロスタン、クロ・デ・パプの当主が来日。
それぞれのワイン造りについて、インタビューをさせていただきました。



























ローヌの巨匠お二人、
左からルネ・ロスタンのルネ・ロスタンさん。
右が、クロ・デ・パプのポール・ヴァンサン・アヴリルさん。
そして、お二人のワインを日本に紹介しているブルーノ・ラフォンさん。
(ムルソーの名門コント・ラフォンのオーナー、ドミニクさんの実弟です!)


まずはクロ・デ・パプについて。
銘醸地、シャトーヌフ・デュ・パプの中でも
最高の畑「クロ・デ・パプ(教皇の区画)」を所有し、
17世紀にはすでにその名が知られていたという名門中の名門。

現当主、ポール・ヴァンサン・アヴリルさんが
ワイン造りに携わり始めたのは16歳の頃。
ブルゴーニュやボルドーでワイン造りを学び、
そうした経験を積極的に取り入れ、さらなる名声を獲得しました。

クロ・デ・パプのワインには「ブルゴーニュに通じるエレガンスがある」
とよく言われますが、彼のブルゴーニュワイン好きは有名な話で、
今でも毎年ブルゴーニュを訪れているそうです。

実はお母様がブルゴーニュ出身の方だそうで、
「私のブルゴーニュ好きは遺伝的なものだから仕方ない(笑)」
とおっしゃっていました。
















クロ・デ・パプと言えば、世界第1位にも輝いた赤が有名ですが
実は赤ワインの10分の1と、少量造られる白ワインがとってもユニーク。

彼が造る白ワインには3つの段階があるそうで、
リリース直後の若々しく果実味が溢れる時期を経た後、
10年を超えるとブリオッシュのような香ばしさを纏い始め、
さらに15年以上経ったものは、ミネラルやヨード香が現れ、
極上のコニャックを思わせる芳醇さが感じられる最高潮を迎えるとか。







 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
こちらは10年の熟成を経た2005年度産。


「なかなか飲み頃を見極めるのが難しいですね」という話をしていたら、
ヴァンサンさんが「よいアイデアがある!」と一言。

 「1ケース12本買ったらセラーに横並びにして、6本は左、6本は右に寄せておく。
  左側には手を付けないで、右側の6本を少しずつ試していけば、
  好みの飲み頃がわかるし、1本はとっておけるというわけ!(大笑い)」

おっしゃる通り、素敵なアイデアです!
が、財力のある方はぜひお試しを(笑)


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次はルネ・ロスタンについて。

ルネ・ロスタンは、ギガルと並んで
コート・ロティを代表するドメーヌ。
















現在の当主、ルネ・ロスタン氏が
フランス革命以前からアンピュイ村でワインを造ってきた親族と
夫人の祖母の畑をまとめる形でドメーヌを設立し、
定年を迎えた親族の畑を次々に相続することでドメーヌを拡大してきました。

彼が最初にワインをリリースしたのは1971年。
ワインを造り続けてかれこれ45年という、すごいキャリアの持ち主です。
これまでのワイン造りについて尋ねると、

 「約20年経った頃から自分のスタイルというものが出来てきて、
  ただ今でも毎日試行錯誤しながら、最上のワインを造る努力をしています。」

との言葉に、一同深く感動。

これだけのキャリアがあっても、常に工夫し続けることが
トップドメーヌであり続ける所以なのですね。


















2011年 コート・ロティ コート・ブロンド
21,000 円 (22,680 円 税込)


こちらは、ロスタン氏が一番お気に入りのキュヴェ。
石灰質土壌から生み出される
エレガンスを極めたコート・ロティです。

クロ・デ・パプのポール・ヴァンサン・アヴリルさんが
ブルゴーニュワイン好きということを受けて、
「どんなワインが好きですか?」と質問したところ

 「私は、世界中で造られる、正直な、まっとうなワインが好き! 
  造っている人らしさが出るワインはあんまりよくないね。
  人の手は極めてミニマムに。その土地らしいブドウを使って造られた
  エレガンスとバランスを備えた、長期熟成ができるワインが偉大なワイン。」

と答えてくださって、ヴァンサンさんも、ブルーノさんも深くうなずく場面がありました。

もちろんルネさんのワインも、ヴァンサンさんのワインも「正直なワイン」!

ローヌを代表する巨匠たちの熱いお話に魅了されたインタビューでした。

▼クロ・デ・パプの特集はこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=84

▼ルネ・ロスタンの特集はこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=40


2016年7月10日日曜日

フランチャコルタをリードし続ける名門「ベラヴィスタ」

先日、イタリア産スパークリングワインの最高峰
フランチャコルタの老舗ワイナリー「ベラヴィスタ」より
輸出部長のヴィタリアーノ・ティリート氏と
アジア・パシフィック担当マネージャー のヴェラ・マリサーニ女史が来日。

ベラヴィスタの魅力について語ってくださいました。






















アジア・パシフィック担当マネージャー のヴェラ・マリサーニ女史
輸出部長のヴィタリアーノ・ティリート氏


ベラヴィスタは1977年、
建設会社を経営していたヴィットリオ・モレッティ氏が設立。
当時のクライアントをもてなすために、
趣味でフランチャコルタを造ったのが始まりだったそうです。

ところがその遊び半分の趣味は、
ある人物との運命的な出会いによって本気のビジネスに。

その人物が、伝説的なワインメーカーである
マッティア・ヴェッツィオーラ氏。



















↑左 創始者にしてオーナーのヴィットリオ・モレッティ氏
  右 チーフワインメーカーのマッティア・ヴェッツィオーラ氏

「最高のスパークリングワインを造る」
という明確なヴィジョンをもったモレッティ氏と、
「天賦の才能とテクニック」をもった、ヴィタリアーノさん曰く
「クレイジーガイ」のマッティア氏が出会ったことで、
ベラヴィスタが生まれました。


創業約40年。
モダンなパッケージデザインからも新興のワイナリーと思われそうですが
実はフランチャコルタにおいて、ベラヴィスタは老舗中の老舗。

今ではイタリア随一のスパークリングワイン銘醸地として
世界に知られるフランチャコルタ地方ですが、
1970年代初頭は、全く無名の産地で、ワイナリーはほとんどありませんでした。

そもそもフランチャコルタの地名が、「Tax Free」に由来しており
16世紀頃は、大変痩せた土地で定住する人が少なく、
王様が人口の流出を防ぐために課税をなくした、なんて逸話があるほどだそうです。














現在ベラヴィスタが所有する畑は200ha。
フランチャコルタの全生産地2,800haのうち、
7%を占める最大規模の所有者です。

高級スパークリングワイン産地として知られるようになった今では、
フランチャコルタの畑を買うことは非常に困難だそうで、
黎明期によい畑を購入できたことが、ベラヴィスタの成功の秘訣のようです。

こうして初期に手に入れた自社畑のブドウ100%で
フランチャコルタを造るのがベラヴィスタのポリシー。
多くの生産者が買いブドウに頼るフランチャコルタにおいて、
大手生産者でこれを実践しているのはベラヴィスタだけ。

「フランチャコルタで一番コストがかかっているのがベラヴィスタ!」

とヴィタリアーノさん。





















シャンパーニュの名門、ルイ・ロデレールで修行をしたという
チーフワインメーカーであるマッティア氏が言うには、

「シャンパーニュはセラーで造られるが、フランチャコルタは畑で造られる。」

とのこと。

冷涼な気候で完熟したブドウを安定的に収穫することが
困難なシャンパーニュ地方では、
大量のワインのストックをもち(リザーヴワイン)、
それらをブレンドすることが、安定した品質のシャンパーニュを造るカギとなります。

一方で、温暖な気候に恵まれているフランチャコルタでは
完熟したブドウができるのは当たり前。
いかにその良質なブドウの風味を生かしたスパークリングワインを造るか、
が成功のカギとなります。

ベラヴィスタでは、ぎりぎりまで完熟させたブドウを
400人もの人員を投入して一気に収穫。
通常1時間くらいで行うプレスを、4時間ほどかけてゆっくりソフトに行い
雑味のない果汁だけをしぼります。





















こちらはスタンダード・キュヴェの「アルマ・グラン・キュヴェ」。

洋ナシ、白い花、バニラなどの複雑な香り。
泡はとてもクリーミー。
これまでは「ブリュット」でしたが
昨年「アルマ・グラン・キュヴェ」と大きくリニューアルしました。

リリースから約40年。
グラン・キュヴェに相応しい品質を備えたと判断され、
熟成期間は24ヶ月だったのを30ヶ月に伸ばし、
中身も一回り成長した新しいキュヴェです。

自社畑100%にこだわるベラヴィスタでは、
これ以上生産量やラインナップを増やすことは考えておらず、
これからは、一つ一つのキュヴェの品質を高めていくことに力を注いでいくそう。

その筆頭がこのアルマ・グラン・キュヴェ。

「アルマ・グラン・キュヴェはワイナリーの名刺とも言えるフラッグシップ。 
 このキュヴェの品質向上に力を入れることが今一番大切!」

ヴィタリアーノさんが熱く語ってくださいました。

ますます美味しくなるアルマ・グラン・キュヴェに期待してます!

▼会員様限定特別価格実施中 アルマ・グラン・キュヴェはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/detail/046123969300





2016年7月4日月曜日

フランスの生産者がすすめる「寿司ワイン」と「刺身ワイン」

日本で夏に飲む白ワインと言えば「シャブリ」
という方が多いようですが、実は本場フランスで夏に飲む白ワインといえば
ロワールの「サンセール」というのをご存じですか?

何でも、パリでは夏になるとビストロでは
テーブルのほとんどがサンセールの白ワインになるとか。。

そんなサンセールの名手、パスカル・ジョリヴェより
先日、当主のパスカル・ジョリヴェさんが来日。
ロワールの白ワインの魅力を語ってくださいました。




















↑いつもダンディなパスカル・ジョリヴェ氏
 「和食に世界一合うのはシャブリじゃなくてサンセール!」と
 自信たっぷりに話してくださいました。


最近はニューワールドの
ソーヴィニヨン・ブランも世界中でヒットしていますが
トロピカルフルーツなどの華やかなアロマが強すぎることも。

ロワールのソーヴィニヨン・ブランは
「どんなに飲んでも飲み疲れしないのが特徴」とパスカルさんが話すように、
爽やかなアロマとキレのあるミネラル、
フレッシュな酸があり、ついつい杯を重ねたくなる味わいが身上です。

サンセールとプイィ・フュメ、
どちらもロワール川を隔てて両岸にある
ソーヴィニヨン・ブランの銘醸地として知られていますが、
いまいちその違いがわからない、という方も多いのではないでしょうか。

そんな二つのワインの説明として興味深かったのが、
パスカルさんが「サンセール」と「プイィ・フュメ」がそれぞれ
「寿司に合うワインと、刺身に合うワイン」としておすすめしてくださったこと。

パスカル・ジョリヴェさんがおすすめする
寿司に合うワインは・・・


















↓こちらの「サンセール」





















サンセール / パスカル・ジョリヴェ
3,800 円 (4,104 円 税込)

ハーブや柑橘類の爽快なアロマとキレのある酸味が特徴のサンセール。
力強さが特徴のプイィ・フュメと比べると、より繊細で柔らかい印象です。
ドライでありながらも、ジューシーな果実味もしっかりとあり、
酢飯を使った寿司とは最高のマリアージュだそう。

寿司の中でも、特に白身魚やエビ、ウニなどの甲殻類との相性は抜群!
 


そして刺身に合うワインは・・・






















↓こちらの「プイィ・フュメ」





















プイィ・フュメ / パスカル・ジョリヴェ
3,800 円 (4,104 円 税込)


プイィ・フュメは、サンセールよりも
スモーキーな香りと後味にやや苦みを感じる力強い味わいが特徴。
パスカルさん曰く、サンセールがレモンなら
プイィ・フュメはグレープフルーツだそう。

そしてスモーキーな香りが特徴的なプイィ・フュメは
ワインには合わせにくいと言われる醤油との相性も抜群。

白身だけでなく赤身の魚とも好相性で
様々な刺身の盛り合わせにプイィ・フュメは最高だとか。
牡蠣などの貝類ともよく合いそうです。


実際に飲み比べてみると、その違いは歴然!

柑橘系のアロマが際立つ繊細なサンセールと
より力強くドライな印象のプイィ・フュメ。

どちらかというと、サンセールの方がやわらかく繊細な味わいで
生の魚介類はもちろん、砂糖や酢で調理した酢飯や
ダシを効かせた和食とも親和性がありそうです。

一方、力強いプイィ・フュメは、
魚介類の刺身はもちろん、鶏肉や豚肉と合せても◎。
独特のキレと苦みが、ついつい杯を重ねたくなる美味しさです。

「寿司に合うサンセール」と「刺身に合うプイィ・フュメ」。
ぜひ飲み比べで楽しんでみてはいかがでしょうか♪

2016年6月26日日曜日

“キング・オブ・ロゼ”ドメーヌ・オット★より待望の新商品登場!

先日、フランス・プロヴァンスの老舗ワイナリー、ドメーヌ・オット★から
セールス・ディレクターのクリストフ・ルナール氏が来日。
スタッフ向けセミナーが行われました。




















↑オット★で働いて20年間というクリストフ・ルナールさん

ドメーヌ・オット★は、今からちょうど120年前
アルザス生まれのマルセル・オット氏が、
ワイン造りに最適な土地を探し求めて、
ようやく見つけたプロヴァンスの地ではじめたワイナリー。

以降、代々家族経営で優れたワインを造り続け、
2004年にはシャンパーニュの名門、ルイ・ロデレールとパートナーシップを結び、
現在は、四代目のクリスチャンとジャン・フランソワ・オット従兄弟が
ワイン造りを担っています。




















↑クリスチャン&ジャン・フランソワ・オット従兄弟


今回は数あるラインナップの中でも、
新商品「バイ・オット」のお披露目ということで
バイ・オットの誕生した理由を教えてくださいました。

バイ・オットの説明の前に、彼らのトップ・キュヴェである
クール・ド・ゲランシリーズについて説明しなくてはなりません。

彼らが所有する3つの銘醸畑、
シャトー・ロマサン、クロ・ミレイユ、シャトー・ド・セル
それぞれで造られているトップキュヴェのロゼが
“キング・オブ・ロゼ”と呼ばれるこのクール・ド・グレンシリーズ。


















2014年 バンドール・ロゼ・クール・ド・グレン・シャトー・ロマサン
4,700 円 (5,076 円 税込)


100%自社畑のブドウを女性達が手摘みで収穫、
(なぜ女性?と質問すると、「男性よりきっちりブドウの選別をやってくれるから!」だそう・・)
それらは、さらに3回もの選別を経てようやくプレスされます。

そしてここからがオット★のキングたる秘密。
ロゼワインの多くがセニエ法でピンクの色を抽出するのに対し
オット★では、軽くプレスするだけ。
つまり、白ワインと同じ方法で造られるのです。
これは、白ワイン造りで知られるアルザス出身の創業者
マルセル・オット氏が考え出した方法なのだとか。

そしてもう一つこだわりが。
ここでは、全量の60%だけしかプレスされません。
残りの40%は他のワイナリーに売ってしまうそうです。
こんな贅沢な製法を採用しているのは、プロヴァンスでオット★だけだとか。

1番搾りの、さらに60%しか使わない、非常に贅沢な製法だからこそ
キング・オブ・ロゼと呼ばれる品質を保てるのですね。

最後に、別々に仕込まれた20ものキュヴェをブラインドでテイスティングして
トップキュヴェのブレンドを決定します。
ここでもさらに選別が行われ、最終的に使用されるのは全体の70~80%だけ。

実はこのブラインドテイスティングには、オット兄弟のほか、
天才醸造家と呼ばれるルイ・ロデレールのチーフワインメーカー
ジャン・バティスト・レカイヨン氏も毎年参加し、キュヴェを吟味するそうです。




















↑ルイ・ロデレールのチーフワインメーカー、ジャン・バティスト・レカイヨン氏


そしてこちらがすでに世界で大ヒットしているという待望の新作「バイ・オット」


















2015年 バイ・オット・ロゼ
3,000 円 (3,240 円 税込)

トップキュヴェの最終ブレンドでセレクトされなかった20~30%のキュヴェ、
そしてシャトー・ド・セルに新たに購入した自社畑のブドウが50%。
さらにブラインドテイスティングを経て買い付けたジュース
(といっても必ず古い付き合いのある生産者だけからしか買わないそうです)
を使って仕込んだワインが50%使用されています。

プロヴァンスには400近くのワイナリーがありますが、
そのほとんどはブドウを栽培して売る小規模生産者。
大手ワイナリーは24ほどで、こうした小規模生産者から買い付けることが多いそうです。
広い自社畑から生まれる高品質なワインが、オット★の名声を高めました。

実はオット★では、昨年シャトー・ド・セルに新しいワイナリーを新設し
これまで以上に多くのキュヴェを自分たちで仕込むことができるようになったそうです。

だからこそ、オットの名前を冠した
セカンドワイン的キュヴェの発売を決意したのだとか。






















2015年のバイ・オット・ロゼはとても淡いサーモンピンク色。
香りはとてもふくよかで、赤いチェリー、洋ナシ、白い花、蜜といった
可憐なアロマがグラスに広がります。

とても繊細でありながら上質なロゼらしい複雑味が感じられ、
キング・オブ・ロゼのエッセンスを存分に感じることができます。

クリストフ・ルナールさん曰く

 「これはリラックスタイムで飲むワインだよ!」

トップキュヴェのクール・ド・グレンは特別な日に飲みたいロゼですが、
このバイ・オットなら、しっかり冷やして休日のランチに気軽に楽しめそうです♪

2016年6月19日日曜日

酒歴70年!日本ワイン界の大御所が書く「快楽ワイン道」

本日は、つい先月、
日本ワイン界の長老、山本博さんが満を持して出版された本
「快楽ワイン道」をご紹介します。

























快楽ワイン道 / 山本博
講談社 定価 本体1,300円(税別)


~著者略歴~ 
1931年横浜市まれ。現役弁護士にして、日本ワイン界の大御所。
ワインに興味を持ったのは1940年代後半。69年に念願の渡仏を果たす。
以来、世界各地のワイナリーを訪ね、
英仏で出版されているワイン飲みにとっての「必読ワイン書」を多数翻訳。
日本におけるワイン知識の普及に大きな役割を果たした。
日本輸入ワイン協会会長。日本ワインを愛する会会長。
著書に『ワインの女王』『日本のワイン』(ともに早川書房)
『シャンパン物語』(柴田書店)『ワインの歴史』(河出書房新社)、
訳書に『新フランスワイン』(柴田書店)『ワインの王様』(早川書房)
『ブルゴーニュワイン』(河出書房新社)など多数。
※講談社HPより


日本ワイン界の重鎮ともいえる山本氏ですが
本書のおもしろさは何といっても
山本氏が、いち愛好家としての姿勢を徹底していること。

本業ではなく、趣味としてワインを楽しんでいるからこそ
ワインについて、言いたい放題ともいえる発言が俄然面白いのです。

例えば、「ロマネ・コンティよりラ・ターシュが好きだ」と言って
マダム・ルロワの逆鱗に触れたことや、
ドメーヌ・ルフレーヴで、ビオディナミとそうでないワインを飲み比べて
「そう違っているとは思えない」と言ってしまって出入り禁止になったり・・・
と、どんな相手にも正直な発言をしてしまうエピソードが痛快です。

そして山本氏のすごいところは、
日本でまともなワインが飲めなかった時代から
ご自身でワインに関する本を取り寄せて翻訳、
さらに「飲まずには語れない!」と、フランスをはじめ海外にせっせと足を運んで
様々な失敗を経ながらワインの味を覚えて行ったこと。

本書はワインが高級なお酒だった時代から現代までの
日本におけるワインの受容史としても興味深く、
何より、山本氏の好奇心とバイタリティに喝采を送りたくなります。

いち愛好家として、こんな風にワインを楽しんで歳を取りたいなあ・・・
と思わずにいられない名著。ワインラヴァーの皆さま、必読です!


2016年6月4日土曜日

文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」小説家・島本理生さん登場!

先日、第8回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー・エノテカ・ミレで開催され、
小説家の島本理生さんにゲストでお越しいただきました!




















ナビゲーターの山内宏泰さんから、
文学ワイン会にとてもふさわしいゲストとして紹介された島本理生さん。
ワインや日本酒が大好きでいらっしゃるそうです。

ご自身がお酒好きなことから、作品の中にもお酒がかなり登場します。

  「お酒を飲む場面は好きなので、毎回大体出てくるんですが、
  ワインを出すか、日本酒を出すかは作品によって結構分かれるところ。
  やはり同じお酒でもだいぶ作品の印象が変わるなというのを書いていて実感します。

  私の小説は、これから男女で何か起きるときってシャンパンかワインなんですよね。
  そこで日本酒を一升瓶で飲んでいたらちょっと違うかなと。笑
  やっぱり恋愛ってワインとすごく相性がいいなあと思うんです。」






















ご著書『あられもない祈り』ではシャンパンが、
『Red』では赤ワインが登場します。
小説に登場する料理やワインは登場人物の関係性が反映されているとのこと。

  「『Red』では私の趣味と全精力をかけて、
  小説の中にお酒とご飯の描写をふんだんに盛り込みました。
  途中から趣味のように料理の描写が続くんですけど。笑

  かなり気に入っている場面が後半にあって、
  ちょっと古いフレンチのお店で仔羊の塩焼きと一緒に
  赤ワインを飲む場面なんですけど、料理は牛でも豚でもなく、仔羊。
 
  真っ直ぐではないクセのあるふたりの関係性や、
  相手の男の人のイメージなどを考えながら選んでいます。」

小説に出てくるお酒や料理は、
島本さんの嗜好のみならず、
登場人物の性格や背景までをも考察して描かれたもの。
お酒や料理が出てきた理由を考えながら小説を読むのも楽しそうです。


この会でサービスしたワインは、
最新刊『イノセント』と『Red』、それぞれの小説のイメージに合う白と赤。
島本さんからのリクエストにお応えしたもので、
『イノセント』は、「ライチや花の香りがするような、辛口だけど華やかさのある白」を、
『Red』は、「飲んだときに煙る感じと甘味が両方あって、
時間が経つにつれて味が複雑に変化する、重めの赤ワインを」と
具体的なイメージをいただきました。

当日お出ししたのが下記のワインです。






















◆小説『イノセント』のイメージに合わせて…
ゲヴェルツトラミネール / エナーテ2015 白 税込2,808円






















◆小説『Red』のイメージに合わせて…
プリヴァーダ / ボデガ・ノートン2013 赤 税抜3,240円

最新刊『イノセント』は、島本さんの作品の中で、いちばん幸福な結末を迎えます。

 「障害がある恋が好きで、無意識にそういうものを書いているから、
  つい最近まで主人公と相手の男性がまともにつきあった小説すら
  書いていないことに気づきました。笑
  『イノセント』は、今まで本当に初めてぐらいのハッピーエンド。
  ここまではっきりちゃんと成就するって珍しいと思います。」

  




















『イノセント』(集英社)
定価1600円+税

最新長編小説。
一人の女性と二人の男性の出逢いが奏でる、
葛藤と悔恨、愛と救済をめぐる物語。


最後の質問コーナーでは、お客様から山のような質問が!
とくに印象に残ったのが、

 「作家とは何でしょうか?」

という質問へのお答え。

 「作家の役割は、私個人は決めつけないことだと思っています。
  同調圧力とかそういった大多数の力だけじゃない道を示すこと。
  できる限り決めつけないことで人を楽にするというか、
  何とも言えない感情を小説の中だけでは向き合えたりする、そういうものかなと。

  人が良いと言っていることも悪いと言っていることもどんどん分解して解体していく。
  人を自由にするのが作家の仕事かな、と思っています。」


















この会のため、ワインやお酒が出てくる小説やエッセイを
たくさん持ってこられた島本さん。
岡本太郎『芸術と青春』、江國香織『きらきらひかる』、
開高健『小説家のメニュー』、そして千早茜『男ともだち』。
それぞれについて解説や感想をお話いただきながら、
ワインが登場するシーンを朗読いただいたのは、なんとも贅沢なひとときでした!

ワインの魅力を文学と重ねた島本さんのお話は、まさにこの会ならでは。
率直に語られるエピソードの数々に、会場は何度も笑いの渦に包まれました。
ワインを飲みながら、島本さんの小説をまた読み返してみよう、
お薦めされた小説を読んでみよう、と思われたお客様も多いはず。
ワインと文学が絡み合う、刺激的な一夜となりました。