2015年10月27日火曜日

文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」歌人・穂村弘さん登場!

先月、第6回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー・エノテカ・ミレで開催され、
当代きっての人気歌人・穂村 弘さんにゲストでお越しいただきました。





















実はあまりお酒が飲めないとのことでしたが、
「でも、今日は飲みます」と穂村さん。
お客様とともに乾杯していただき、会がスタートしました。


まず話に上がったのが、ソムリエが使うテイスティング用語について。
「僕らは短歌を作っているけど、
それ以上にメタファーを使う唯一の職業が
ソムリエだと勝手に思っているんです。
味の表現って基本、例えを使うんですよね、枯草とか革とか血液とか猫とか。
それがすごいなって憧れているんです。」


お酒と短歌。実はとても相性がよいものだそうです。

「岩波現代短歌辞典という本があるんですね。
歴史的に短歌にたくさん使われてきた強い項目は大項目といって、
例えば「桜」は見開き。桜の歌は有名なのがいっぱいありますからね。

それで酒はどうかなって思って見たら、見開きで大項目です。
大項目は辞典の中でもそんなに数は多くないから、
酒に関して言うと、短歌と相性のいいすごく強力な項目と言えます。」



奈良時代の歌に始まり、明治時代や現代の歌、

穂村さん自作の歌まで、
お酒は様々なシーンやシチュエーションで詠まれ続けています。

















お酒の歌って作りやすいんでしょうか?

「酔うとやっぱり行動や言動がヘンになるでしょ。
ヘンになったものをそのままスケッチすると、
もうひとつの世界みたいなものがそこには生まれる。

詩や短歌は、“もうひとつの世界”が書きたいんですよね。
だけどシラフの頭の状態っていうのは、ちゃんとしすぎてる。
それがお酒の作用によって、

みんなちょっとだけずれてアーティスティックになれるんでしょう。」

当日会でご提供したワインは、
ムートン・カデ・レゼルヴ・ソーテルヌ。
甘いもの好きだった穂村さんにちなんでセレクトした、
上品な甘味を持つデザートワインです。
甘いものは定数値を食べた(!)ので、
今はあまり召し上がられていないとのことでしたが、

こちらの甘口ワインは美味しいと言っていただきました。

















ムートン・カデ・レゼルヴ・ソーテルヌ2012 甘口白 税込5,184円



今回、穂村さんをゲストにお迎えするにあたり、
事前にお酒にまつわる短歌を募集したところ、
全部で50首近くの応募をいただきました。

全てをご紹介したいところですが
今回は、当日穂村さんが取り上げられた歌をご紹介します。

▼▼▼

ソムリエのように教えて外国(とつくに)の葡萄畑の土の香りを  ―――鈴木美紀子

カベルネとメルローの違い語るほど時計とスマホ交互に見る君  ―――きくちゃん

収集日ビンを捨てたる手は止まり隣の家の年収ぞ知る  ―――いんこ

ここにはぁぁぁとしてくださいと囁いた溜息収集警察官は  ―――鈴木晴香

私より遺伝子情報確かなるワインラベルを読み解く月夜  ―――West Child

こんこんと眠らせていた口づけがワインとともにささやく夜更け  ―――絢森

氷片を指でつつけばサングリア他人のことなど忘るるが良い  ―――竹内通代

暑い夏寝苦しい夜に白ワイン 空けたボトルに翌日驚愕  ―――水原ゆり

二日酔いもう飲まないと決めたのに 気づけば向かういつものお店  ―――長崎一郎

おいしいよそっちはどう?とグラス替えふたり行き着く琥珀の港 ―――シャトー・ラ・ポンプ

枇杷山椒夕立のあとのアスファルト梅干しママカリ蓮根でどう  ―――Y・H

爽快で冷たい泡が流れ込み絡まりほぐれてまた生き返る  ―――333


みなさんとても上手だと、穂村さんも絶賛!

会場は大いに盛り上がり、
穂村さん独自の世界観や、ユニークなエピソードもたくさんお話いただき、
クスクス笑いの絶えない楽しい時間となりました。

短歌を詠むこともワインを飲むことも、
もうひとつの異なる世界の扉を開いてくれるもの。
穂村さんのお話を聴いていると、短歌の自由さ、面白さが実感でき、
無性に歌を詠みたくなってきました。

皆さんもたまにはワインを飲みながら、
自由な気持ちで一首、詠んでみてはいかがでしょうか。





















『ぼくの短歌ノート』(講談社)
定価1500円+税

2015年10月21日水曜日

シャトー・ムートン・ロスチャイルドの最新アートラベル発表!

毎年心待ちにされている方もいらっしゃるかと思いますが、
シャトー・ムートン・ロスチャイルドの最新ヴィンテージの
アートラベルが本日発表されました!























2013年のアートラベルを手掛けたのは、
日本で活躍する韓国人アーティストの李禹煥(リ・ウーファン)氏。

 李氏は、1936年生まれの韓国人。
1956年、20歳で日本に移住し、日本大学で哲学の学位を取得。
現在はアーティスト兼哲学者として活躍しています。
自然の素材を用いて表現される、
抽象的で強烈な個性を持つ作品は世界中の権威ある賞を受賞。
2000年の上海ビエンナーレでのユネスコ賞をはじめ、
ベニス・ビエンナーレ、パリのジュ・ド・ポーム美術館、
ニューヨークのグッゲンハイム美術館などで作品が展示されています。

2010年には、作品を高く評価する安藤忠雄氏が設計した美術館が直島に落成。
また、2014年にはパリのヴェルサイユ広場に多数の作品が展示されました。





















↑李禹煥(リ・ウーファン)氏

そんな李氏が手がけた2013年のアートラベル。
紫色のはっきりとしない線描が徐々に鮮やかさに満ちていき、
ワイナリーの中でやがて偉大なワインになる神秘が表現されています。

2013年ヴィンテージは、めまぐるしく天候が変わりましたが
最後は素晴らしい収穫となり、ボディのしっかりとした
典型的なボルドーワインに仕上がりました。

1945年から始まったムートンのアートラベル。
ダリ、セザール、ミロ、シャガール、ピカソ、ウォーホル・・・
そして、タピエス、ジェフ・クーンズなど
時代の最先端を走る現代アーティストたちがそのラベルを手掛けてきました。

 60年以上続いたアートラベルの歴史の中でも、
今回の李の作品は、最もミニマルなデザインではないでしょうか。

例年以上に話題を呼びそうなアートラベル、
来年のワインリリースが楽しみです♪

2015年10月16日金曜日

ナイトハーヴェスト初体験!

今日本のワイナリーは続々と収穫を終えているようですね。
 
実はエノテカ・スタッフ有志がブドウの収穫、
しかもナイトハーヴェストを初体験してきました!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↑サントネージュワイン
 
収穫に参加させていただいたのは、
先日ブログで紹した、山梨のサントネージュワイン。
1947年創業、いち早く欧米品種の栽培に取り組んできたワイナリーです。

今回ナイトハーヴェストを実施する牧丘倉科畑は、
日本一の巨峰産地として知られる山梨市牧丘町にある
サントネージュワインが自社所有する畑。
標高750mという高地にあります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↑こちらは8月に撮影した昼間の牧丘倉科畑。右上に富士山が見えます。
 
ナイトハーヴェストとは、真夜中にブドウを収穫すること。
なぜ真夜中に実施するかというと、
ブドウは気温が低い真夜中の時間帯が
最もフレッシュなアロマと果実味を備えており、
その時間帯に収穫することで、
アロマに富んだフレッシュなブドウを手に入れることができるそうです。
 
今回ナイトハーヴェストを実施したのはシャルドネ。
サントネージュワインでは、
数年前からシャルドネのナイトハーヴェストに取り組んでおり
これによって劇的に品質が向上したそうです。
 
たった1haの畑に、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネが植えられています。
晩熟のカベルネの収穫はまだ先、
ということでシャルドネのナイトハーヴェストが先に始まりました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

総勢19名がワイナリーに集合し、
車に分乗して約15分で倉科畑に到着。
午前3時から収穫が始まります。
 
畑は山の中腹にあり、真っ暗な中をライトの明かりを頼りに進みます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↑ヘッドライトを付けてブドウを収穫。
 新梢から3房目以降のブドウは、もったいないですが切り落としてしまいます。
 
前日からの冷え込みで、体感気温は12月のような寒さ。
それに加えて、収穫するシャルドネもとても冷たい!
手がかじかんできますが、
この冷たさが美味しいワインにとって大切、と思いながら
ハサミで手を切らないように慎重に収穫を進めます。
シャルドネを口に入れてみると、その甘さに驚きました。
 
今年は日本ワインにとって厳しい年でした。
7月の長雨によって、ブドウは成熟不足や腐敗に悩まされたそうです。
今回の収穫の前日に3人がかりで1日かかって
そうした未熟果や腐敗果を取り除く作業を行いましたが、
それでも取りきれなかったブドウの房や粒は、
収穫作業中にライトで照らしながら、丁寧に取り除いていきます。
 
結果、今回の収穫量は去年より大幅に減少してしまいましたが
それも例年以上に厳しい選果をしているがゆえ。
 
作業開始から約2時間。
5時頃に全ての収穫作業が終わり、
トラックにブドウが入ったカゴを載せて、早速ワイナリーへ戻ります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↑夜明けの倉科畑。昼間とはうって変わって、藍色の稜線が美しい。
 
 
収穫後のブドウは鮮度が命!
ワイナリーに戻ったら、早速圧搾作業が始まります。
 


 
 
 

 ↑ブドウは次々と圧搾機に運ばれていきます。
 
サントネージュワインでは
おそらく日本で所有しているワイナリーはほとんどないと言われる
最新鋭の除梗破砕機を使って、ブドウと枝を分けていきます。
 
旧来の除梗破砕機は、機械の噛み合わせで
荒く枝と果実を分別しますが、
こちらの機械は細かな振動でやさしく枝と果実を切り離すため、
旧来の機械と比べて時間はかかるものの、
余分な果汁が流れ出ることなく、より繊細な除梗ができるそうです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↑ブドウの果汁を搾汁中。
 
除梗し、選果したシャルドネは
皮と共にしばらく置く「スキンコンタクト」を行い、旨みを抽出します。
 
その後、このブドウから果汁を絞る搾汁を行いますが、
この搾汁を終えるタイミングがとても重要。
 
最初に出てくる果汁は透き通っていますが
最後の方になるにつれ、皮の成分や酸化の影響で色は濁って濃くなっていきます。
早々に切り上げると、すっきりとした果汁がとれるがコクが足りない、
ただ長く搾り続けると、えぐみが強い味になってしまうそうです。
透明感がありながら適度なコクがある、そんなタイミングを見極めるのが難しいのです。
 
栽培・醸造担当の宮川さんが、何度も味見をして、
搾汁を終えるタイミングを吟味していました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

↑こちらが搾りたての果汁。リンゴのような爽やかな香り。
 はっとするほどフレッシュで、甘くて、美味しい。
 しっかりと選果されているだけあって、とてもクリーンな味わいです。
 
搾汁した果汁はタンクに移され、一時発酵を行い、
その後に木樽に移され、さらに発酵が続きます。
 
午後2時頃、ようやく全ての工程が終わりました。
 
夜中の2時から始まり、約半日間。
このたった半日の仕込みが、約1年後、
来年のワインの完成に関わっていると思うと、
わくわくするような、不安なような。。
ワインメーカーの方の苦労が、少しだけ経験できた貴重な半日間でした。

今回収穫をお手伝いした牧丘倉科シャルドネは、
まだワインを仕込み始めて4ヴィンテージ目という若いワインですが
恵まれた土地を最大限に生かしながらも
毎年新しい取り組みを行って年々進化しています。

何と言ってもその特徴は、ワインのフレッシュで華やかなアロマ!
これこそ、ナイトハーヴェストの賜物と
収穫に参加して改めて感じました。

2015年は収穫量も少なく厳しい年だったようですが、
厳選されたブドウからとれた果汁の味わいは、
透明感がありながらも凝縮した、旨み溢れるものでした。

きっと倉科畑のテロワールが感じられるヴィンテージになるのでは?
来年のリリースが今から楽しみです♪

▼サントネージュのワインはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=987
 

2015年10月7日水曜日

レオヴィル・ラス・カーズを所有するボルドーの名門、ドメーヌ・デュロン来日!

先日、ボルドーの名門、ドメーヌ・デュロンより
マネージングダイレクターのピエール・グラフィール氏が来日。
ドメーヌが造るシャトーワインの数々をご紹介いただきました。





















↑マネージングダイレクターのピエール・グラフィール氏

そもそも、デュロン?
という方もたくさんいらっしゃるかもしれません。
「メドック格付け第2級のシャトー・レオヴィル・ラスカーズを所有する名門」
と言うとピンと来るでしょうか。

スーパーセカンドの筆頭として真っ先に名が上がる
シャトー・レオヴィル・ラスカーズ。
デュロン家は、19世紀からずっとこのシャトーを所有する
名門ファミリーです。
























レオヴィル・ラスカーズの評価が他の2級シャトーと比べても
抜きんでているには訳があります。
シャトーがあるのはサン・ジュリアン最北部、
北部に位置するポイヤックとの境界に接しているのがラスカーズです。
しかも、その畑は格付け第1級のシャトー・ラトゥールと地続き。
ジロンド河の側の丘に位置することで知られるラトゥールですが、
ラスカーズもラトゥールと並んで、ジロンド河の側に位置しています。

このジロンド河から運ばれた砂利質の土壌を中心として
50以上の複雑な土壌がモザイク状に散らばっているのが
レオヴィル・ラスカーズに複雑さを与えていると言われているそうです。
また、砂利質の土壌は水はけがよく、ジロンド河からの風で
夏は涼しく、冬は暖かい温度が保てるとか。

冷涼なボルドーで、晩熟のカベルネを育てるには
いかにして温暖な気温を保つかが重要となります。
河や海に挟まれていることで、冬は暖かい蒸気が畑に吹き込み、
逆に夏は冷たい風が吹き、ブドウは見事に完熟します。


















↑ラスカーズとクロ・デュ・マルキの畑。土壌の複雑さがわかります。
 ※ドメーヌ・デュロンHPより


実はドメーヌ・デュロンは、レオヴィル・ラスカーズ以外にも
2つのシャトーを所有しています。

1つが、メドック北部にあるシャトー・ポタンサック。
デュロン家が中世から所有している歴史あるシャトーで
太平洋とジロンド川に挟まれているテロワール。
メドックという地名はラテン語で"medio aquae"
つまり「in the middle of the waters=水の中央」
という語源から来ており、まさにそのテロワールを体現するようなシャトーです。
土壌は、粘土質の表土の下に砂利質が広がります。

このポタンサックは、メドックで唯一クリュ・ブルジョワに選ばれ
クリュ・ブルジョワ・エクセプショナル(ブルジョワ級の最高峰)となったという実力を誇ります。
(2009年には辞退したため、現在は格付けなし)

ラスカーズと同じチームが、
格付けシャトーと同じ醸造方法、同じ情熱をもって造っているとのこと。
















↑シャトー・ポタンサック 2012年 3,672円(税込)

2012年をテイスティングしましたが、
よく熟した黒系果実、リコリス、そしてバニラの香り。
適度な凝縮感があり、格付けシャトーと見まがう高級感が感じられます。
長期熟成が可能なシャトーとして知られますが、
今飲んでもジューシーな美味しさが存分に楽しめます。
週末にご自宅でお肉料理などと楽しむにはピッタリではないでしょうか。


もう一つ、ポタンサックの敷地内で造られるワインがシャトー・ラサール。
エノテカが独占輸入している銘柄です。
こちらは特に砂利質が多い土壌の畑のブドウを使用しており
赤系果実の華やかな香りと、透明感のある果実味
そして綺麗なミネラル感が特徴です。
















↑シャトー・ラサール 2008年 3,888円(税込)


7年の熟成を経て、少し熟成香も出てきていますが
生き生きとした酸味と、凛としたミネラルがあります。
こなれていて、これほど綺麗にまとまった手ごろなボルドーワインは
中々ないのでは?
テイスティングしたスタッフからも「手頃な値段だけど、さすがラスカーズ・・」と
その美味しさに驚きの声があがったほどです。
とても品がよく、シンプルにローストした鴨肉などよく合いそうです。


そして忘れてはならないのが、
デュロン家が唯一ボルドーの右岸に所有するシャトー・ネナン。
ポムロルの中心部に位置し、周りには
ル・パンやトロタノワといったスターシャトーがある絶好の立地。

こちらもラスカーズと同じチームが醸造を担当しています。















↑シャトー・ネナン 1998年 17,280円(税込)



















↑ドメーヌ・デュロンが所有するシャトーワインの数々。


グラフィール氏のレクチャーで特に印象的だったのが
全てのシャトーの詳細な地図、そして土壌の細かな分析結果を
子細に説明していだいたこと。
(ドメーヌ・デュロンのHPに子細な地図が掲載されています!)
http://www.domaines-delon.com/en/accueil.html

醸造はもちろんですが、恵まれたテロワールを熟知し、
最適な方法でブドウを栽培することで
素晴らしい品質のワインを生み出しているということが伝わってきました。

ラスカーズをはじめ、どのワインも凛とした高貴さが感じられるのは
恵まれたテロワールを、まっすぐに表現しているからなのかもしれません。


2015年9月29日火曜日

富士山を望む絶好の立地で生まれる日本ワイン

只今エノテカ・オンラインで絶賛販売中の日本ワイン、
「サントネージュ・エクセラント 牧丘倉科畑」。

実は、販売開始前の8月
スタッフたちがワイナリーを訪問していました。
遅ればせながら、今回はその時のレポートをお届けします。
















↑サントネージュワイナリー 

山梨県の多くのワイナリーが勝沼市にある中、
サントネージュワイナリーは山梨駅から歩いて数分のところにあります。

1947年に誕生した醸造所からスタートしたサントネージュワイン。
当初から他社に先駆け、ヨーロッパのブドウ品種セミヨンと
カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に着手し、
日本のワイン造りの基礎を築いてきたワイナリーです。
サントネージュとはフランス語で「聖なる雪」という意味。
甲府盆地から見える富士山を白く染める雪をイメージしてその名がつけられました。

今回の目的は、このサントネージュワイナリーが初めてリリースする
単一畑のワイン「牧丘倉科畑」を見学することでした。

 














 ↑こちらがその「牧丘倉科畑」。右上に小さく見えるのが富士山です!

山梨市の牧丘町は、山梨県内でも特に標高が高く、
日照時間が長いため「巨峰の里」と呼ばれる日本一の巨峰産地として知られていましたが、
サントネージュでは、ワイン用のブドウ栽培に早くから注目。

山梨市牧丘町のにある、たった1haという猫の額ほどの小さな畑に、
1979年よりブドウを植えはじめました。
それが、この倉科畑です。

倉科畑があるのは、ワイナリーから車で15分ほどの場所。
巨峰畑を横目に、曲がりくねった坂道を何度も折り返して登って行き、
ようやく着いたのは標高750mという高台にある斜面です。

南向きのその斜面は、そこだけ視界が拓け、素晴らしい眺望が広がります。
素人目に見ても「ここはただならぬ畑だ・・・」と思ってしまいそうな、美しい畑です。






















↑畑を案内してくれた、栽培担当の宮川さん 
ワインが大好きという、研究熱心な生粋のヴィニュロンです。

この1haの畑に植えられているのはシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン。
「サントネージュのグラン・クリュを造りたい」
という想いから、この倉科畑の名を冠したワインをリリースすることになりました。
初回のリリースは、カベルネとシャルドネ合せてたった1,500本ほど。

倉科畑は、その標高の高さから、
地上の盆地と比べて平均気温は3℃くらい低く、
ブドウの生育具合も山形県と同じ位のスピードだそうです。
気温の低さのおかげで、しっかりとした酸を備えたワインができます。

















↑垣根栽培が行われている畑

ブドウは全て垣根栽培。
日本のワイナリーでは棚づくりが一般的でしたが
近年ではヨーロッパのワイン造りに倣い、垣根栽培を採用するワイナリーが増えています。
サントネージュでも、2006年より全ての苗木を垣根栽培に改植しました。

垣根栽培にすることで収量は減りますが
その分凝縮したブドウを収穫できるようになったそうです。

また、シャルドネの栽培には、真夜中に収穫を行う
ナイトハーヴェストを取り入れています。
気温の低い夜間にブドウを収穫することで、
果実のフレッシュなアロマが豊かなブドウを手に入れることができます。

ただ、夜中に起きて、
真っ暗な畑の中をヘッドランプの明かりだけを頼りに
ブドウを収穫していくのは危険が伴う大変な作業だとか。。

倉科畑はたった1haという畑だからこそ、
垣根栽培やナイトハーヴェストといった革新的な技術も
素早く取り入れることができるようです。





















サントネージュ エクセラント 牧丘 倉科畑収穫シャルドネ
3,700 円 (3,996 円 税込)

こちらがそのナイトハーヴェストのシャルドネ。
国産のシャルドネは、
ヨーロッパや南米のチリと比べて、香りが穏やかというイメージがありますが
こちらは、とっても華やかな香りが特徴。

白い花のような優しい香りや柑橘系のフレッシュな香りに
少し青みがかった南国系フルーツの華やかなアロマも感じられます。
このみずみずしい香りこそ、ナイトハーヴェストが出せるものなのでしょう。






















↑畑に植えられているバラ。バラは、とっても弱い植物なので
 畑の病害虫をいち早く察知するアンテナ的な役割を果たしています。


宮川さんの目標は

「ワインの香りを嗅いだときに、この風景が浮かぶようなワインを造りたい。」

とのこと。
確かに、シャルドネの香りを嗅いだとき、
富士山を望む美しい倉科畑の風景が脳裏に浮かんだような・・・

真偽のほどは、皆様もぜひその「鼻」で確かめてみてください♪


▼ご購入はこちら▼※在庫は残り僅かです。
サントネージュ エクセラント 牧丘 倉科畑収穫シャルドネ










2015年9月17日木曜日

ワインジャーナリスト山本昭彦さん『50語でわかる! 最初で最後のシャンパン入門』トークイベント開催


先日、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレにて、
ワンジャーナリストの山本昭彦さん著
50語でわかる! 最初で最後のシャンパン入門』の刊行に合わせた
スペシャルトーク&テイスティングイベントが開催されました。

山本さんのトークのお相手は、長年のご友人である
ワインコーディネーターの山田久扇子(くみこ)さん。
著書内の死ぬまでに飲みたい50本のシャンパンで紹介された
シャンパーニュ5種類を順番に味わいながらトークがスタートしました。




 


















山本昭彦さんと山田久扇子さん

「現地を実際に歩いて聞いた栽培や醸造の話に加え、
それぞれのメゾンにどういう動きがあるのかお話していきたいと思います」
との言葉どおり、生産者に直接取材し、
数々のシャンパーニュを飲んでこられた山本さんならではの
エピソードが次々に飛び出しました。

中でもルイ・ロデレール クリスタルについて山本さんは、
欠点の見当たらないシャンパーニュと絶賛!

クリスタル2006を飲みながら特に詳しくお話いただいたのは、
ルイ・ロデレールの醸造責任者、ジャン・バティスト・レカイヨン氏について。

 



















ルイ・ロデレールの醸造責任者、ジャン・バティスト・レカイヨン氏

山本さん曰く、真剣なワインメーカーであるレカイヨン氏は、
1989年にモンペリエの国立農学校を栽培と醸造どちらの分野も主席で卒業。
そんな才能溢れるレカイヨンさんに目を付けたのが
当時のロデレール社長ジャン・クロード・ルゾー氏。
早速彼を醸造担当として抜擢し、ロデレールに入社となりました。

レカイヨン氏は1999年から責任者となり、栽培と醸造の両方を統括していますが、

「栽培と醸造はまったく異なる仕事で、両方見るのはとても大変。
これが彼のすごいところ。」
「ロデレールのワインの完成度の高さは彼によるところが大きい。」

とのこと。

また、

「現在ロデレールの畑は、ほとんどビオディナミとビオロジックで、
2020年までに完全にビオディナミに移行するそうです。
雨が多いシャンパーニュの地で、ビオディナミをやるのは大変。
これはロデレールがほとんど自社畑(70%)であることからできることなんです。」

と、同社の最新の取り組みについても語っていただきました。

山本さんと山田さんのわかりやすく興味深いお話に、
会場からはときどき笑いを呼びながら、
皆様シャンパーニュをじっくりと味わっていらっしゃいました。

















ちなみに会の終盤、お客様からの質問

山本さんが今までで一番感動したシャンパーニュは?
に対する答えは「クリスタル1996年」!

レカイヨン氏は
「クリスタルは20年は寝かせて飲んでほしい。置いておくとまた素晴らしい」
と熟成をおすすめしているとのこと。
20年も待つのはなかなか大変ですが、いつかは試してみたいですね
 
山本さんの膨大なシャンパーニュの知識を惜しみなく披露いただきながら、
おすすめのシャンパーニュを味わう、大変充実したひとときとなりました。
著書『50語でわかる! 最初で最後のシャンパン入門』には、
山本さんご自身が身体を使って集めたシャンパーニュ情報が満載です。
知っていて得をする豆知識もたくさんあり、初心者~上級者の方に広くおすすめできます。

これから、シャンパーニュを楽しむ機会が増える季節を迎える前に
是非一度読んでみてはいかがでしょうか(^^)



 

 

 













50語でわかる! 最初で最後のシャンパン入門』(講談社)
著:山本 昭彦  定価:1200円+税

 

2015年9月10日木曜日

ロスチャイルド家が造る初めてのプレスティージュ・キュヴェ!

シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルドより、
初のプレスティージュ・キュヴェとなる
「シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ2006」
がリリースされ、
そのお披露目のために、シャトー・ムートン・ロスチャイルドのオーナーである
バロン・フィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏が来日しました。




















↑ バロン・フィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルド氏

シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド、
シャトー・ラフィット・ロスチャイルドを保有するドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルド、
そして シャトー・クラークを所有するバロン・エドモン・ド・ロスチャイルドの
三社のロスチャイルドファミリーが手掛けるシャンパーニュが、この
シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド。

シャンパーニュ・メゾンとしては2009年よりスタートしましたが、
実は2006年からは既にワインのブレンディングを始めていました。
プレスティージュ・キュヴェの構想は、その当時からあったそうで、
ちょうど2006年のシャルドネが素晴らしい出来だったことから、
熟成をさせて、どのように進化するのかを見ていたそうです。


























↑シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド・ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ2006
 39,000円(42,120円)
  ※11月より一斉発売予定

この2006年のキュヴェをちょうど2年前の2013年に試飲したところ、
そのクオリティを確信し、プレスティージュ・キュヴェとしてリリースするという
方針が固まったそうです。

その後も何度も試飲を重ね、リリースが決まったのはなんと今年の5月。

フィリップ氏曰く、

「プレスティージュ・キュヴェを造るのは義務ではない。
 最高の品質のものができれば、リリースする。」

だからこそ、9年間もの熟成を経て、ようやくリリースが決まったのです。
特にシャルドネは熟成によりその真価が発揮されるブドウで、
これだけ長期の熟成を必要としたそうです。
















↑白亜質土壌内に造られたカーヴ。
 200年前から用いられているシャンパーニュの伝統的な熟成庫です。

シャンパーニュの醸造を統括するのはジャン・フィリップ・ムーラン氏。
シャンパーニュ造りのキャリアは35年で、
ポメリーやマム、ルイナールでセラー・マスターを歴任したというベテランです。

土地代、ブドウ代があまりにも高く、
また、良い生産者のブドウは10年単位で売却先が決まっており、
新規参入はとても難しいと言われるシャンパーニュ。

そんなシャンパーニュに新規参入し、
さらにはグラン・クリュのブドウだけでプレスティージュ・キュヴェを造るということは
並大抵のことではありません。
 シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルドは
ボルドーでのワイン造りの経験と、豊富な資金、人脈があったこそ
このプロジェクトを成功させました。

特にフィリップ氏の言葉で印象的だったのが、
契約栽培農家に対する姿勢について
「face to faceを心がけている」ということ。

複数の契約農家からより良い品質のブドウを購入するために
「どういったシャンパーニュを造りたいのか」ということをしっかりと伝え、
何度も議論を重ねて、強いリレーションシップを築き上げているそうです。




















今後のリリースの予定を聞くと、

「2008年、2009年、2010年がセラーにあるが、
 良い品質であればリリースするし、そうでなければ造らない。」

と、さらりと答えていただきました。
 
「急ぐ必要はない。我々に必要なのは時間と忍耐だ。」

フィリップ氏のこの一言が、
シャンパーニュ・バロン・ロスチャイルドの姿勢を表していますね。

2006年の生産量はたった7,000本。
今年のリリースは4,000本ですが、
既に世界中からそれ以上の注文が殺到しているとか。

ロスチャイルド家の晩餐会では必ず供されるというシャンパーニュ。
このプレスティージュ・キュヴェは、さらに特別な場で供されるのでは?との質問に
「生産量が少なすぎて、ファミリーが飲むにはもったいないよ(笑)」との答え。

日本での正式発売は11月を予定しています。
どうぞお楽しみに♪