2016年2月14日日曜日

追悼 「スーパータスカンの父」ジャコモ・タキス氏

ティニャネロ、サッシカイア、ソライア
このイタリアの3つの偉大なイタリアワインの共通点、
それは、生みの親が同じということ。

この3つのワインを誕生させたことから
「スーパータスカンの父」と呼ばれ、
イタリアワインに計り知れない影響を与えた人物
ジャコモ・タキス氏が2月6日、82歳で亡くなりました。



















↑今から約40年前。ティニャネロをリリースした頃の
 アンティノリ現当主、ピエロ・アンティノリ氏(左)とジャコモ・タキス氏(右)
 /アンティノリ社公式FBより

1933年、ピエモンテで生まれたタキス氏は、
アルバでブドウ醸造学を学んだ後、ピエロ・アンティノリ氏の父である
ニコラ氏に雇われてそのキャリアをスタート。
ピエロ氏がワイナリー経営に参画し始めた1966年頃から
2人は共にワインの改革に乗り出します。

当時のトスカーナ地方のサンジョヴェーゼは、不遇の時代と言われ
低密度の植樹や、不衛生な木樽の使用によって品質は低迷していました。

そんな中、タキス氏は「現代ボルドーの父」と呼ばれた
ボルドー大学のエミール・ぺイノー教授に注目。
ぺイノー氏を何とか説得し、トスカーナに招いてコンサルタントを依頼することで
最新のブドウの栽培方法、醸造方法を得ることに成功したのです。
また、当時は一般的だったサンジョヴェーゼへの白ブドウのブレンドを排除し、
新樽の使用を取り入れたのもこの時期。

ぺイノー氏との交流と通じて、
国際品種の使用、高密度の植樹、新樽の使用といった
今では常識となっている取り組みをイタリアワイン界にもたらしたのです。

こうして1971年に生まれたのが「ティニャネロ」。
ティニャネロを生み出して世間を驚かせたアンティノリ社では
約30年間に渡りコンサルタントを務めました。























アンティノリは、彼の死について語っています。

「彼はトスカーナワインだけでなく、イタリアワイン全体において
 本当に大きな改革の手助けをした。彼の死は大きな損失だが、
 彼の仕事は未来に生き続けることが救いだ。」
 /ワインスペクテーター 2016.2.8

娘と孫に先立たれたタキス氏は後輩の育成にも大変熱心だったそうです。
これからもジャコモ・タキス氏のDNAは、
多くのワインに受け継がれ、進化していくことでしょう。



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