“パリスの審判”と聞けば
ワイン好きの方はピンとくる方も多いかもしれません。
これは、アカデミー・デュ・ヴァンの創始者が
パリで主催したブラインド・テイスティング。
当時まったく無名のカリフォルニアワインが、
シャトー・ムートンやオー・ブリオンといった
フランスワインを打ち破った、
ワイン界を揺るがした大きな事件でした。
実は、このパリスの審判が開催されたのは1976年5月24日。
今年で40周年を迎えました。
そんな記念すべき年に行われたのが、
シャンパーニュ VS 英国産スパークリングワインという
興味深いテイスティング。
イギリスのテレグラフ紙で、
「 イギリスのスパークリングワインが
パリのブラインドテイスティングでシャンパーニュに勝利 」
という見出しで紹介されました。
↑シャンパーニュに勝利した、イギリス産のスパークリングワイン
「ナイティンバー・ブラン・ド・ブラン2009」
ブラン・ド・ブラン部門で14人中9人の審査員が、
シャンパーニュ「ビルカール・サルモン ブラン・ド・ブラン」を上回る評価を下しました。
こちらのテイスティングは
英国のワイン&スピリッツ・トレード・アソシエーションが主催。
審査員には、フランスのレストランやバーから
ビックネームが名を連ね、
3部門中、2部門でイギリス勢が勝利。
残る1部門においては、シャンパーニュとタイという
イギリス勢の圧勝という結果に終わりました。
↑イギリス ウェスト・サセックス州にあるナイティンバーの畑
実は、フランスより50年ほど早い17世紀の半ばから
スパークリングワインを生産していたといういイギリス。
(ただ、原料のブドウはシャンパーニュから運ばれたものだったそうです)
これまでシャンパーニュほどの名声を確立することはありませんでしたが、
ここ最近の地球温暖化により、
「ポスト・シャンパーニュ」として注目を浴びるようになりました。
実際、スパークリングワインが造られれているイギリスの産地の気温は
フランスのシャンパーニュ地方の数十年前の水準と同じになっているとか。
また、白亜質という特異な土壌条件もシャンパーニュと合致しています。
テレグラフ紙によると、
シャンパーニュの大手、テタンジェ社は、
イギリスのカンタベリー近くの田園地帯で
170エーカーの土地を購入したそうです。
また、同じようにポメリーも現地メーカーと共に
スパークリングワインをリリースする方針を発表。
大手シャンパーニュメゾンが造る
イギリス産スパークリングワインを目にする日も遠くなさそうです。
このブラインドテイスティングにおいて、審査員の一人は
「イギリス産のスパークリングワインは、とてもフレッシュで、
シャンパーニュよりずっとフルーティーだった。」
とコメント。
世界的なワインや食のトレンドが、よりライトな方向に向かっている今、
イギリス産スパークリングワインは、
重厚で他にはない複雑さが魅力のシャンパーニュに対して
また違ったアドバンテージがあるのかもしれません。
これからもますます目が離せない産地となりそうです。
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