2014年12月30日火曜日

2015年のワイン読書初めにいかが?「これが最後のワイン入門」

今年もあと少し。

新たな年の初めには、新しい勉強を始めるという方も多いのではないでしょうか?

今回はそんな方におすすめの本をご紹介します。

それはこちら。






















これが最後のワイン入門 / 山本昭彦 
講談社

帯には、

--できの悪い教科書!ちっとも頭に入らない!巷に満ちる「ワイン入門」への
怨嗟の声を、きれいさっぱり一掃します!!--

と、何とも刺激的な文言が並んでいます。

著者の山本氏は、読売新聞記者を経て、
現在はフリーのワインジャーナリストとして、
そしてアカデミー・デュ・ヴァンの講師としても活躍。
『死ぬまでに飲みたい30本のワイン』や、『ボルドー・バブル崩壊』(講談社+α新書)
といった著書がありますが、ワイン入門本を手掛けるのは本書が初めて。

本書は、ワインの造り方から始まって、おすすめの入門ワイン、
テイスティングのイロハや世界のワイン産地事情まで、
章を読み進めるうちにワインの知識が深まっていく構成です。

そしてジャーナリストらしく、ワイン界のトレンドも織り交ぜたコラムや
注目の生産国に関する解説はさすが!

「ワインに興味はあるけれど、どうも難しそうで入り口で二の足を踏んでいる」
「ワインはよく飲むし好きなのに、そこから先に進めない。いつまでたっても初心者気分。
なんとかその段階を抜け出したい」

そんな方々を対象としたという本書。

ワインの知識には自信があるという方も、目からウロコの情報がたくさんです。
新年のワインライフ初めに、一度手に取ってみてはいかがですか?

▼山本氏のブログ「ワインレポート」はコチラ▼
http://winereport.blog.fc2.com/




2014年12月23日火曜日

醸造家が憧れる醸造家が来日!ドメーヌ・デ・ランブレイ


特級畑、クロ・デ・ランブレイで有名なドメーヌ・デ・ランブレイ。
クロ・デ・ランブレイは、ランブレイが約99%以上を所有していおり、
ほぼモノポールの畑として有名です。

さて、そんなドメーヌ・デ・ランブレイより
醸造長を務めるティエリー・ブルーアン氏が来日しました。
彼は1980年に醸造長に抜擢された後、
30年以上に渡り醸造長を務め続け、
なんと35回もランブレイを収穫していうという、
ブルゴーニュでも稀有な存在です。






















14世紀にはシトー派の文献にその名が登場し、
特急並みの評価を受けながら1級にとどまっていた畑、クロ・デ・ランブレイ。
1980年にティエリー氏が醸造長に抜擢され、様々な改革を推し進めた結果、
AOC施行後初めての1級から特級への昇格が認められる畑となりました。

そんな凄腕の醸造家、ティエリー氏は
もちろんワイン造りに並々ならぬこだわりと情熱をもっています。

まず、ブドウ栽培は、農薬、化学肥料は使用せず、
限りなくビオディナミに近い農法で行い、
土は馬で耕すことによってやわらかくし、
ランブレイの特徴でもある古樹が、土の奥まで深く根を張ることができるよう
細心の注意を払っています。
















急斜面の東向きという絶好の立地に広大な畑を所有

そして何といっても一番ユニークなのが
「極力除梗しない」という醸造法。
除梗とは、ブドウに付いている茎を完全に取り除いて発酵を行うこと。
未熟な茎を残したまま発酵を行うと、エグミや青臭さが生まれることがあり、
ブルゴーニュでは除梗を行う生産者が多いと言われています。

そんな中、ティエリー氏は、
1985年に初めて部分的にブドウの茎を入れてワインを醸造。
その結果が良かったことから、毎年徐々にその比率を上げ
2011年は100%、つまり全房発酵を行ったそうです。

除梗を行わないことによって、発酵の際に温度が上がりすぎず
ゆっくりと発酵が進むことや、茎からタンニンや酸といった成分が抽出でき
ワインに骨格が生まれるそうです。
もちろん、茎が完熟していることが前提なので、
ヴィンテージによっては、除梗を行うこともあるそうです。
近年ではブルゴーニュはもとより、他の銘醸地でも全房発酵が
注目されているようですが、ティエリー氏ははるか前から取り組んでいたのですね。





















「ウフ・アン・ムレット※赤ワインのソースにポーチ・ド・エッグを乗せたブルゴーニュの名物料理」 ティエリー氏曰く、クロ・デ・ランブレイに合う鉄板料理だそうです。


一人の醸造家が造れるワインは1年にたった1回限り。
ワインの醸造家は、「生きている間にあと何回ワインが造れるか」
そんなことを考えながらブドウを収穫しているそうです。

そんな中、同じ畑で35回もブドウを収穫し、
毎年改良を重ねながら最上のワインを作り続けてきたティエリー氏は、
愛好家たちにとってはもちろん、醸造家たちにとっても
憧れの存在なのではないでしょうか。
そんなティエリー氏が造るワインは、今まさに円熟の境地を迎えています。





















御年65歳のティエリー氏。

実は今年、ドメーヌ・デ・ランブレイは
シャトー・ディケムやドン・ペリなどを所有する
LVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)グループに買収されました。
向こう2年間はティエリー氏がワイン造りを行いますが、
それ以降は、コンサルタントとして後継者を指導する立場になるとのこと。

ますます入手困難が予想される、ランブレイのワイン。
要注目です!

▼ドメーヌ・デ・ランブレイのワインはコチラ▼



2014年12月8日月曜日

第1回文学ワイン会『本の音 夜話(ほんのね やわ)』開催

先日、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレにて
開催された第1回文学ワイン会『本の音 夜話(ほんのね やわ)』。

文学ワイン会とは、ゲストに作家をお迎えして、おいしいワインを飲みながら作家のお話を聞くという、文学とワインが同時に楽しめるイベントです。
そして第1回目のゲストとして、
小林エリカさん(作家・マンガ家)が登場されました。

著書『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)で
151回芥川賞候補となった小林エリカさん。


本書について
「この本は自分で初めて書きたいように書いた本。
この本を書いて改めて、一瞬一瞬の選択を切実に感じています。
過去の時間は確実に“いま”に繋がっていて、すべて過去に起こったことが、
“いま”をもたらしています。
(いろんな時代を自在に行き来する『マダム・キュリーと朝食を』では)
各時代の一瞬の光を感じてもらえたらうれしいですし、
“この先は自分のこと”と思ってもらえるような小説を書きたいです」と小林さん。
















会場で供されたワインは「ムートン・カデ・レゼルヴ・メドック」。
なんとこのワインを造るバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドの
ロスチャイルド家が、キュリー夫人を支援する
「キュリー財団」を設立したという、所縁のあるワインです。
「今飲んでいるワインが、遠い昔の歴史的な史実と関係がある」
それは小林さんの小説のテーマにある
「過去の時間は確実に“いま”に繋がっている」という
ことと見事にリンクして、ワインを飲みながら不思議な感慨に包まれました。

食について書くことも、また食についての読み物も大好きだという小林さん。
参加されたお客様は、小林エリカさんの著書だけにとどまらない
さまざまなエピソードを聞きながら、ワインを楽しんでいらっしゃいました。

このイベントは、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレ
にて、2ヵ月に1回ほどのペースで開催していくとのこと。

次回は20151月開催予定で、次回のゲストは角田光代さんです。
2回文学ワイン会にもどうぞご期待ください!

▼第二回文学ワイン会の詳細はコチラ▼


2014年12月2日火曜日

ジャンテ・パンショより、シャイな三代目ファビアン・ジャンテ氏来日

ブルゴーニュ・ジュヴレ・シャンベルタンのジャンテ・パンショより、
次期当主である3代目のファビアン・ジャンテ氏が
新ヴィンテージ2012年のプロモーションと、
ロワールのアルフォンス・メロとの共同プロジェクト「ペニタン」
お披露目のために来日しました。

ドメーヌ・ジャンテ・パンショは1954年に先代のエドモン・ド・ジャンテ氏が設立したドメーヌ。
最初はたった1ヘクタールの畑から始まり、
1978年にエドモン氏の息子である現当主、ヴァンサン・ジャンテ氏が継ぎ、
ジュヴレ・シャンベルタン、シャンボール・ミュジニーに畑を拡大。
現在は25ヘクタールを所有するまでになりました。














↑3世代でワインを造り続けるジャンテ・ファミリー

そのワインはどのアペラシオンを飲んでも
「ジャンテ・パンショのワインだ!」とわかるような明確な個性が特徴。
凝縮したみずみずしい果実味に定評があります。

ファビアン氏曰く、ドメーヌではやはり
「果実の味わいが主体のワインを目指している。」とのこと。
その為にはブドウの質が最も重要となるため、
8割の時間を畑で過ごし、畑仕事に時間を費やしているそうです。

そしてもう一つのこだわりが、収穫後の選果の厳しさ。
なんと選果台に4つの段階を設けて、厳しくブドウをチェックしているそうです。
「これほどまでに厳しく選果をしているドメーヌは、
ブルゴーニュ中探してもそうそういないよ!」
とは、ディーヴァ・ブルゴーニュのポール・バラン氏のコメント。

こうして最高の状態のブドウだけを使って造るからこそ、
純粋で綺麗な果実味が生まれるのですね。












ジャンテ・パンショでは今年ワイナリーを改装し
一次発酵を行うタンクもコンクリートから全て木樽に刷新したそうです。
木樽は、コンクリートと比べて自然な味わいが生まれ、
ヴィンテージの個性に自分達らしさを加えることができるのが特徴で、
その為にコストをかけて木樽発酵に切り替えたそうです。


そして、ジャンテ・パンショにおける今年一大ニュース!
それは、ロワール指折りの生産者、アルフォンス・メロと
共同で造ったワイン、「ペニタン」のリリースです。
















アルフォンス・メロ氏とヴァンサン・ジャンテ氏は友人同士で
「一緒にワインを造らないか?」というアルフォンス・メロからの呼びかけで
このプロジェクトが始まったそうです。ブドウは完全にビオディナミ。
「ペニタン=ペニシェント(辛い)の造語」という名前の由来は、
そのワインが造られる土地が、住む人もおらず非常に不便な場所にあり
そこに行くのが罰ゲームのようだった、という自虐的なユーモアがこめられています。

白はアルフォンス・メロが、赤はジャンテ・パンショが手掛けるというだけあって
それぞれの特徴が出ており、共作の面白さを感じることができます。






















↑ファビアン・ジャンテ氏 とってもシャイです。

ファビアン氏は若干28歳という若さながら
18歳の時からワイナリーで働き始めたという経験の持ち主。
自らの意思でボルドーの大手シャトーを選び、
2年間の修行を積んでドメーヌに戻ってきました。

「ワイナリーを継ぐことに迷いはなかったのですか?」
との質問に対しては、「全くなかった。小さいころから、
自分はワイン造りに関わることになると当然のように思っていた。」
との答え。

そして最後に、3代目としての野望を伺うと、

「ない。畑を増やす予定はないし、大きな改革をする予定もない。
 ただ、尊敬している父親からは、いつ飲んでもおいしい、
 喜びのあるワインを造るように、と言われている。
 それを守りながら、よりよいワインを造りたい。」

と、小さな声で、でも迷うことなく答えてくれたファビアン氏。

シャイだけど実直な人柄が十分に伝わってきました。
これならドメーヌの将来も安泰ですね。

▼ジャンテ・パンショのワインはコチラ▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=265

▼ペニタンのワインはコチラ▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_label=VM





2014年11月14日金曜日

発表!シャトー・ムートン・ロスチャイルド最新ヴィンテージ2012年のアートラベル

シャトー・ムートン・ロスチャイルドの最新ヴィンテージのアートラベルが
発表されました!!

2012年のラベルはこちら。




























手がけたのはスペインを代表する現代アーティスト、ミケル・バルケロ氏。






















スペインのマジョルカ島に生まれた彼は、
パルマ大聖堂内の作品や、
ジュネーブにある国連欧州本部大会議場の
天井装飾などを手掛け、スペインを代表するアーティストとして
世界的に高く評価されています。

2012年のムートンに採用されたのは、
ムートンの紋章からインスピレーションを受けて描かれたというフレスコ画。
2匹の羊が対称的に向かい合う様が描かれており、
偉大なワインの「バランスとハーモニー」を想起させます。

シャトー・ムートン・ロスチャイルド2012年は、
「コントラストとバランス」の年とのこと。
例外的に寒い冬と、ここ50年で最も乾燥した年の一つという夏。
特にカベルネ・ソーヴィニヨンは濃縮した糖度とタンニンが得られました。























また本作は、
毎年アートラベルのアーティストを選出し、その人気を支えた
フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人(今年8月に80歳で逝去)
が選んだ最後の作品となりました。

2012年のシャトー・ムートン・ロスチャイルドは、
このアートラベルとともに歴史的なヴィンテージになりそうです。







2014年10月27日月曜日

シャルドネの出来に注目!2014年ボジョレー最新情報

お待たせしました、
ボジョレー委員会より、収穫後の最新情報が発表されました!

今年の特徴は、

「エレガントで味わい深く、とてもバランスがよい 期待がもてるヴィンテージ!」

ボージョレーワイン委員会のプレスリリースの抜粋は以下の通り。

~最終的に、ボージョレーの2014年は、とても良い気候条件の恩恵を受けた。
シーズンの初めは暖かく乾燥していて、続く春は日照に恵まれ、
開花は最適な条件の中で進んだ。夏は少し雨が多かったが、
ぶどう樹に必要な水分をもたらし、かなり涼しかったために、
素晴らしい衛生状態を保つことができた。
最後に、晩秋は良く晴れ、夜間は涼しかった。
ぶどうにも人間にもありがたい、自然のささやかな後押しであった。~

さらに、ボジョレーの研究専門機関、シカレックス・ボージョレーの幹部、
ベルトラン・シャトレ氏のコメントによると、
「果汁の発酵はうまく進み、ワインには、アロマの見事な強さがある」
とのこと。
























また、今年特筆すべきは、シャルドネの出来だそうです。

「ボージョレーとボージョレー・ヴィラージュの2014年の白ワインは偉大は品質で、
官能的でボリューム感がある味わいになるだろう。大いに注目すべきワインである!」

と、委員会からもお墨付きをいただいています。
今から出来が楽しみですね!


▼早割は10月31日(金)まで!!ボジョレーのご予約はコチラ▼
http://www.enoteca.co.jp/bjn/index.html








2014年10月13日月曜日

ビオワイン生産者がつくる料理の本

昨今、料理本は星の数ほどあれど、
「ビオワインの生産者がつくる」料理のレシピ本というのは、
初めてのジャンルではないでしょうか?

今回は、そんなユニークな料理本のご紹介です。



「フランス郷土料理の発想と組み立て
 ビオワインの生産者15人がつくる50品のレシピ」
編者 鳥海美奈子/出版 株式会社 誠文堂新光社 定価2,600円+税


編者の鳥海さんは、ノンフィクション系の雑誌記者として活躍され、
2004年からフランス・ブルゴーニュ地方やパリに滞在して、
フランスのワインや食について執筆されている方です。

本書では、ボルドーのポンテ・カネやアルザスのマルク・テンペ、
シャンパーニュのルイ・ロデレール、ブルゴーニュのフランソワ・ミクルスキといった
名だたるビオワイン生産者を取材し、そのワイン造りや自慢の料理が
美しい写真とともに掲載されています。


例えば、フランソワ・ミクルスキを訪ねたページでは、
ワイナリーで日頃クレマン・ド・ブルゴーニュと一緒に楽しむというさくらんぼのタルトを紹介。
ワインに合わせるために、砂糖は少なめにするのがポイントとのこと。

実際にワイナリーを訪問して取材しているからこそ知ることができる、
生産者のユニークなマリアージュに心躍ります。
また、ワイン造りのこだわりに対する取材も丹念にされており、
ワイナリー訪問記としても楽しめる、ワイン好きには嬉しい内容。




















ワイン生産者が造る料理とワインとの組み合わせはとっても自由で、
新しいマリアージュの発見がたくさんあります。
それともう一つ、
レシピがシンプルでつくりやすそうなものが多いのもポイント。

是非、ご自宅での料理とワインのマリアージュの参考にしてみてはいかがでしょうか。


▼ミクルスキのクレマン・ド・ブルゴーニュはコチラ
http://www.enoteca.co.jp/item/detail/FA3033282300



2014年9月27日土曜日

ピエモンテ気鋭のワイナリー、エルヴィオ・コーニョ。

先日、ピエモンテのワイナリー、
エルヴィオ・コーニョより、オーナー兼ワインメーカーのヴァルテール・フィッソーレ氏が来日し、
スタッフ向けのセミナーがありました。






















エルヴィオ・コーニョは、1990年に、
エルヴィオ・コーニョ氏によって設立されたワイナリー。

コーニョ氏は、バローロのトップ生産者
「ジャコモ・コンテルノ」、「ブルーノ・ジャコーザ」等と並び評される
「マルカリーニ」で醸造を担当してきた人物で、
バローロにブドウ畑を購入し、ワイン造りを始めました。

現在はコーニョ氏の娘婿であるヴァルテール氏が
ワインの醸造の指揮をとっています。
















↑奥さんのナディアさん、1人娘のエレーナさんも醸造に加わっています。

エルヴィオ・コーニョの畑は、
バローロの中でも最南端に位置する場所にあります。
麓まで広がる11ヘクタールの美しいブドウ畑は、
その絵画のような景観の美しさから「ペトロキーノ=青い麓」
という特別な名前が与えられているほどです。

緩やかな斜面に沿って畑の上に見えるのは、
ユネスコの文化遺産にも指定されている、300年以上前に建てられた歴史ある建物。
コーニョはその建物を少しずつ改修しながら、
ワイナリーとして、今も3世代で大切に使用しています。
















コーニョのワインを一言で表すと、
最新技術と伝統的製法を駆使してネッビオーロの魅力を表現した、美しい古典派バローロ。
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その味わいは、3世代で手入れをしながら大切に受け継いでいる
ワイナリーと周りの景観そのもののようです。

ヴァルテール氏がワイン造りにおいて一番こだわっているのが、

●伝統とテロワールを尊重すること。
●バランスとリッチネスを重視し、エレガンスを大切にすること。

バローロに使用するブドウ、ネッビオーロ種は酸化しやすい性質をもっているため、
酸化しないように細心の注意を払う必要があり、
そのためには、発酵の温度が非常に重要となります。
コーニョでは、温度管理が容易なステンレスタンクを用いることによって、
「クリーンかつ繊細」な果実味をワインに与えます。

一方で、熟成は伝統的なスロヴェニア産の大樽を使って2年行い、
ブドウ本来のみずみずしい果実味を生かしつつも、
伝統的なバローロらしい独特の香りをまとった、風味豊かなワインに仕上げます。

ヴァルテール氏が、
「伝統的なバローロを造るためには、ブドウを丁寧に醸造する必要がある。」
と語る通り、繊細なブドウと言われるネッビオーロを丁寧に仕込むことで、
透明感溢れる美しいバローロを生み出すことに成功しているのです。

テイスティングした中でも特に印象に残ったワインをご紹介いたします。























バルベーラ・ダルバ・ブリッコ・デイ・メルリ 3,800円(4,104円 税込)
http://www.enoteca.co.jp/item/detail/0449087313B1

バルベラと言えば、安いワインのイメージもありますが、
ピエモンテでは、地元の人達に大切にされているブドウだそうで、
完熟したバルベラで造られたワインの味わいは別格です。

こちらも、日照量に細心の注意を払って造られただけあり、
濃厚なチェリー、プラムといったフルーツの香り、
すみれ、なめし皮やスパイスのような複雑味のある風味が混じります。
口当たりはシルキーで、華やかな香りとあいまって非常にゴージャスな印象。
トリュフのクリームパスタなど、クリーム系の食事と合わせるのが
バルティオーレ氏のおすすめです。























バローロ・カッシーナ・ヌオーヴァ 6,000円(6,480円)
http://www.enoteca.co.jp/item/detail/0449087213A9


「カッシーナ・ヌオーヴァ=新しい農家」という名前のバローロ。
こちらは、ヴァルテール氏曰く、「若い世代のためにつくったバローロ」。
20年以上熟成させないと飲めない、そんなイメージのあるバローロですが、
こちらは今飲んでも十分に美味しいのが特徴です。
温度管理されたステンレスで発酵させたワインは、大樽で2年間熟成。

華やかな花束、プラムやチェリーの瑞々しい香り。
味わいには石灰質土壌由来のミネラル分を感じながら、
口当たりはどこまでもシルキーで、たっぷりの果実味が広がります。
初心者にはとっつきにくい印象のあるバローロですが、
これは素直に「美味しい!」と思える味わいに、スタッフ一同驚きました。

しかも価格は6,000円。ちょっと贅沢なディナーにいかがでしょうか?
抜栓は飲む1時間前くらいにしておくと、より華やかな香りが楽しめそうです。


比較的新しいワイナリーながら、
すでに『ワイン&スピリッツ』が選ぶ「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」に3度も選ばれ、
ロバート・パーカー氏にも「ピエモンテで最も素晴らしいワイナリーの一つ」と絶賛され
気鋭のワイナリーとしてその地位を確立しているエルヴィオ・コーニョ。

さらに最近では、1人娘のエレーナさんも醸造に加わっているとのこと。
これからもますます目が離せません!








2014年9月12日金曜日

【速報!】今年のボジョレーの成熟状況

さて、8月にお伝えしたボジョレー・ヌーヴォーの状況ですが、
ボジョレーワイン委員会より、最新のレポートが発表されました。

~ヴィンテージ2014年:ボジョレーの成熟状況~
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この数週間の変わりやすい天候にもかかわらず、
現段階でぶどう畑は健全である。
フランスの各地と同様、気温は低く、雨が降った。
しかし幸運にも、ボジョレーでは、雹は局地的であった。
~中略~
最終的に、7月末時点までの天候は良かった。
1月から7月の平均気温は例年より1℃高く、降雨量は例年並みであった。
この期間の日照量も例年を上回っていた。

ぶどうがゆっくり成熟することは、高い品質を意味することが多い。
現在、昼夜の気温差が大きいことは、
ワインに色をもたらすアントシアンの蓄積に好条件である。
これは、このヴィンテージがよい可能性を持つことを予測させる。

ぶどうの成熟は着々と進んでいる。
この数日間が涼しいことを考えると、糖度の上がり具合は良い。
雨にもかかわらず、PHは低いので、
生産者は最適な熟度でぶどうを収穫するために理想的な瞬間を、
自信をもって根気よく待つことができるはずである。

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ゆっくり熟しているブドウは、いいヴィンテージの絶対条件。
今から2014年のヌーヴォーが楽しみですね♪
























▼ボジョレーのご予約はコチラ▼


2014年9月5日金曜日

フランチャコルタ最高峰の生産者が来日。

エノテカではお馴染み、
フランチャコルタの最高峰、ベラヴィスタ。

創業約40年にして初めてのパッケージデザインリニューアルを行い、
そのお披露目で、ベラヴィスタとペトラを所有する
テラモレッティ社の社長、ロベルト・バルバート氏が来日しました。

(左)テラモレッティ社の社長、ロベルト・バルバート氏
(右)エキスポート・マネージャーのアレッサンドロ・ヴァレッチ氏


こちらが今回リニューアルしたパッケージデザインの数々。
昔のベラヴィスタを知っている我々にとっては
かなり大胆なデザイン変更です。
















今回のリニューアルの一番のきっかけは
「若い人たちにもっとフランチャコルタを飲んで欲しい」
ということ。

シャンパーニュと比べても、
酸が穏やかで果実味もあり、とてもシルキーなフランチャコルタは、
ワイン初心者の若い人たちが飲んでも
思わず「美味しい!」と声をあげてしまいそうな魅力があります。

ロベルト氏曰く、ベラヴィスタのコンセプトは

「リッチ・クリーミー・シルキー」

新しいデザインは、そんなベラヴィスタの
明快な美味しさにぴったりですね。

例えば、色とりどりの折り紙が箱にデザインされた
スタンダード・キュヴェ、アルマ・テッラ。
様々なフルーツの甘く華やかな香りが何層にも重なる風味は、
楽しく華やかなパッケージそのもの!

他のキュヴェも、パッケージが
ワインの特徴を鮮やかに表現しています。




こちらはプロ向け試飲会の様子
たくさんのソムリエやプロのバイヤーの方々が試飲にいらっしゃいました。


中でも断トツで人気だったのがこちら、

「フランチャコルタ・キュヴェ・ブリュット・サテン」
























プロ向けの試飲会でも、
ソムリエの方々に大絶賛されていた1本です。

ピーチやヘーゼルナッツ、蜂蜜のリッチなアロマ。
泡は継ぎ目が感じられないくらいシルキーで、
まさに「サテン」という名にふさわしい1本です。
エレガントな女性をイメージして造られたというこちらのサテン。

特別な方へのプレゼントにいかがでしょうか?

▼ベラヴィスタの特集はコチラ▼

http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=109










2014年8月26日火曜日

追悼~バロン・フィリップ社オーナー、フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人~

シャトー・ムートン・ロスチャイルドを筆頭に、
オーパス・ワン、アルマヴィーヴァ、といったジョイントヴェンチャー、
そしてムートン・カデに代表されるブランドワインで世界中のワインファンを魅了している
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社のオーナー、
フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人が822日、パリにて他界されました。

フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人は、
シャトー・ムートン・ロスチャイルドを1973年に1級に昇格させた
フィリップ・ド・ロスチャイルド男爵の一人娘として1933年に生まれ、
1988年の男爵死去により、その経営を継承し事業を拡大したことで知られています。



---------------フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人の略歴---------------------------
フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人は、1933年生まれ。
フィリップ・パスカルの名で舞台女優として、30年近く活躍した後、
父の死去に伴って1988年にバロン・フィリップ社の経営を継承。

父が始めた、カリフォルニアのオーパスワン、
チリのアルマヴィーヴァなどの国際展開を発展させる一方で、
1998年には、ドメーヌ・ド・バロナークとのジョイントヴェンチャーをスタート。
さらに2009年には、3つのロスチャイルド家によるシャンパーニュ事業に参入。

また、本家ムートンの品質向上にも力を入れ、
選果を強化し、グランヴァン比率を40%まで落とすと同時に、
セカンドワインのプティ・ムートンを1990年代初頭に導入。
醸造施設も2013年に大々的に刷新。
ムートンのアーティスト・ラベルの人選もすべてフィリピーヌ男爵夫人が行い、
芸術的センスと人脈を生かして、多彩な芸術家を起用。

重要事項はすべてフィリピーヌ男爵夫人が決定するというリーダーシップを持ち、
常に新しいことを目指し、これまでワイン業界に多大なる影響を与えてきた偉大なる人物。

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近年、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社の経営は
長男のフィリップ・セレイ・ド・ロスチャイルド氏(1963年生まれ)が
中心に行っており、次男ジュリアン(1971年生まれ)も参画し、
ますますの発展を目指しています。

フィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。


【シャトー・ムートン・ロスチャイルド】

【オーパス・ワン】

【アルマヴィーヴァ】

【シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド】

【バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドのワイン】




2014年8月22日金曜日

シレーニのワインメーカーが来日!

日本での売り上げトップのニュージーランドワイナリー、シレーニ
そのワインメーカーであるグラント・エドモンズ氏が久しぶりに来日中。
先日エノテカスタッフ向けにセミナーがありました。






















↑グラント・エドモンズ氏。

グラント氏は世界中でワインの修行をしていますが、
中でもボルドーのサンテミリオンのシャトーでは
メルロの栽培、醸造をしっかりと学んだそうです。
そう、彼の別名は「ミスター・メルロ」。
ニュージーランドでメルロを造らせたら彼の右に出る者はいません。

もともとシレーニのワイナリーがある北島のホークス・ベイは、
ソーヴィニヨン・ブランで有名な南島のマルボロと比べ、
温暖で、ボルドー系品種の栽培に適しているといわれています。

さらに、シレーニのメルロが植えられている畑は、
主に粘土質と石灰質がミックスされている土壌。
ボルドーのポムロルやサンテミリオンといった名産地がそうであるように、
メルロの栽培に最適とされる土壌です。

グラント氏曰く、シレーニでは、
「ボルドーをはじめとするヨーロッパの骨格のあるワイン」と
「ニューワールドらしい果実味豊かなワイン」
の融合を目指してワイン造りをしているそうです。

なるほど。シレーニのメルロを飲むと、
そのコンセプトがよく分かります。


















ここで試飲したワインの中でもグラント氏一押しのワインをご紹介。

エステート・セレクション・ザ・ロッジ・シャルドネ 2013年 2,800円(3,024円)
http://www.enoteca.co.jp/item/detail/0986300423B3

>グラント氏
「1万円近く出してブルゴーニュのプルミエ・クリュを飲むより、
 3千円のこのシャルドネを飲もう!」

豊かな果実味の中にも凛とした酸味とナッツのようなコク。
確かに、上級ブルゴーニュを思わせる高級感溢れる味わいです。

②エクセプショナル・ヴィンテージ・メルロ 2007年 10,000円(10,800円)

>グラント氏
「ペトリュスの香りがする!!」

グラントさん、ちょっと言い過ぎじゃ。。。と思ってしまいますが、
エノテカスタッフのソムリエの一人も、
「確かにペトリュスに特有のトリュフのような香りがする!」
と大興奮。

こちらの商品、完全数量限定品ですが、
近日中にエノテカ・オンラインに入荷予定です。お楽しみに。

そして、明日ワンショップ・エノテカで開催されるシレーニのイベントでは、
特別に供されることになっています。

残席僅かですが、まだお申し込み受付中です。
ご興味のある方は是非広尾本店へお問い合わせください。
↓↓↓
■ワインショップ広尾店 シレーニ・スペシャルテイスティングパーティー
[ 開催日時 ] 2014年8月23日(土) 13:00〜14:30(終了予定)
[ 開催場所 ] ワインショップ・エノテカ 広尾本店  TEL: 03-3280-3634  
 E-MAIL:Hiroo_shop@enoteca.co.jp


2014年8月14日木曜日

今年のボジョレーの出来やいかに?

エノテカ・オンラインでも先行予約が始まったボジョレー・ヌーヴォー。

ワインラヴァーにとっては今年のブドウの出来が気になる頃ですね。

そんな皆様に、先月、ボジョレーワイン委員会より発表された、
最新のボジョレー・ヌーヴォーのレポートをご紹介します。

“2014年はすばらしいヴィンテージになる兆候が見られる。ボージョレーにおける、
すべての要素がよいサインを示している。
本日、畑の衛生状態は申し分なく、天候状態も良好だ。”
2014年7月2日付 ボージョレーワイン委員会プレスリリースより

何とも期待が持てそうな序文ですが、果たしてそうでしょうか?

                                


詳しいレポートによると、
今年は6月頃から気温が高い日が続き、6月2日に開花を迎え、
早いところでは、7月初旬に結実が始まっているそうです。

昨年2013年は、例年と比べて開花が遅く、6月19日頃、
結実が始まったのは7月26日頃だったようなので、
今年は1ヵ月近く結実が早まっているということになりますね。

結実が早い、つまり早く実がなるということは、
それだけ実がじっくり熟すことができるということ。
ブドウが完璧に熟して、
美味しいワインが出来る条件が揃っているということになります!
















↑これは着色前のガメイ。7月~8月にかけて色づきはじめます。


ボジョレー委員会からは、9月の収穫後にまたレポートが発表される予定です。
今年のボジョレーの出来が楽しみですね♪


▼2014年ボジョレーのご予約はコチラから▼
http://www.enoteca.co.jp/bjn/index.html











2014年8月3日日曜日

イタリアワイン好きは必見! 日本語版「ガンベロ・ロッソ イタリアワインガイド2014」

イタリアワイン好きの皆さんに朗報です。


イタリアで最も権威あるワイン誌 「ガンベロ・ロッソ ヴィニ・ディタリア」の
日本語が遂に刊行されました!


















ガンベロ・ロッソ イタリアワインガイド2014
(講談社MOOK)/講談社 


実はこのガイドブックは、約30年の歴史があり、
すでに英語、ドイツ語、そして中国語版まで発行されていながら、
なぜか日本語版は存在しませんでした。
今回、ファン待望の日本語版の刊行と言えます。

さらに、翻訳をしているのは、こちらもイタリアワイン好きなら知らぬ人はいない、
宮嶋 勲氏なのです。宮嶋氏は、ローマの新聞社に務めた後、
2004年からエスプレッソ・イタリアワインガイドの試飲スタッフ、
2006年からガンベロ・ロッソ・レストランガイドの執筆スタッフを務めている
という生粋のイタリア通。







エノテカでも、ガヤやカステッロ・ディ・アマといった
イタリアワイン生産者の大御所が来日する際は、
必ず「宮嶋氏を一緒に!」とラブコールが来るほど、
生産者からの信頼も厚い同氏。

ワインに精通した宮嶋氏の翻訳に期待が高まります。

さて、ガンベロ・ロッソについておさらいしてみると、
毎年編成されるワイン専門家約60名がチームを組み、
数か月をかけてイタリア中のワイン産地、数千のワイナリーを回り、
45,000以上のサンプルをブラインドで試飲し、掲載するワインを選考。
その中で取り上げられるのは、2,360のワイナリーと20,000種以上のワイン・・・

という何とも気が遠くりそうな徹底した方法で作られている、
世界でも稀なガイドブックなのです。

試飲されたワインはグラスの数(13)で評価され、
最高評価のトレ・ビッキエリ(3グラス)には約300~400種のワインが選ばれます。

また、このトレビッキエリをたくさん獲得しているワイナリーは、
★付きの優良生産者として、巻頭で紹介されています。

↓★付きのワイナリー
トレ・ビッキエリを10回獲得すると星が一つ与えられます。  
ダントツのトップ5つ星は、イタリアワインの帝王、ガヤだけ。
























日本語版の良いところは、
各ワイナリー紹介に添えられた、詳細な説明がしっかり読めるということ。

毎年編成されるチームが「実際にワイナリーを訪問して試飲」しているというだけあって、
生産者のコメント、土地やヴィンテージに関する記述は、簡素ながらも
本当に臨場感に溢れていて、リアリティがあります。

例えば、ヴェネトのアレグリーニについてのコメントを抜粋すると、

~近年植樹された畑は垣根式であるが、古い畑には今でもペルゴラ仕立てのものもある。
今年もアマローネ2009が最も説得力のあるワインだった。~中略~
ラ・ポイア2009も絶好調だ。コルヴィーナ100%のワインで、
例年よりも閉じていて、シャープな味わいだ。~

経験のあるスタッフが毎年ワイナリーに足を運んでいるからこそできる
そんなコメントが並んでいます。

思えば、ワインの品ぞろえがいいなあと感じるイタリアンレストランに行くと、
必ず棚に飾ってあったのがこのヴィニ・ディタリアのワインガイド。

これだけ詳しくイタリアワインの最新情報が掲載されているのですから、
ソムリエの支持が厚いのもうなずけます。 

もちろん評価を参考にするのもいいですが、
ぱらぱらとページをめくっているだけでも、
各ワイナリーに添えられた、
ワイン好きのツボを押さえたコメントがたまりません。

イタリアワイン好きの方は必見ですよ!


★★★★★ガンベロロッソ5つ星生産者、ガヤのワインはこちら↓

http://www.enoteca.co.jp/item/list?_label=P5