2016年10月24日月曜日

NZシレーニのチーフワインメーカーが日本で必ず食べるもの

先日、ニュージーランドのシレーニ社より、
チーフワインメーカーのグラント・エドモンズ氏が来日。
インタビューに答えていただきました。





















↑シレーニのチーフワインメーカーで、Mr.メルロことグラント・エドモンズ氏。

近年世界的に人気が高まっているニュージーランドワイン。
今年のレポートでは、輸出量は前年比10%増。
特にアメリカやイギリス、北欧など欧米諸国での需要が
数字を牽引しているそうです。

世界各国で和食のブームなど、ライトな食事のトレンドはしばらく続いており、
旧世界にはない豊かな果実味と、
旧世界らしい繊細さ備えたニュージーランドワインは、
まだまだ世界を席巻しそうです。


グラントさんのワイン歴はとてもユニーク。
約28年前、バックパックを背負って世界中を旅していた時に
フランス、イタリアといったヨーロッパ各国を来訪。
その時に「ファンタスティックな」料理とワインを口にし、ワイン造りに興味をもちます。

帰国後は、ニュージーランドでも古くから続く名門ワイナリーヴィラ・マリアに就職。
ワインメーカーとして活躍しながら、
オーストラリアやボルドーでもワイン造りを経験します。

世界各国でのワイン修行の後、念願叶って小さなワイナリーを立ち上げたころ、
「新しいワイナリーをつくるから、一緒にワインを造らないか」と声をかけてきたのが
シレーニ・エステートの創業者であり社長のグレアム・エヴリー氏。




















↑シレーニの創業者であり、社長であるグレアム・エヴリー氏。

医学書の販売で財を成したグレアム氏は、
実は、ヴィラ・マリアの顧客だったそうで、
そこでワインメーカーを務めていたグラント氏を見出したそうです。

そんな2人がホークス・ベイの中でもワイン造りに最適な土地を捜し、
ブドウを植えたのが1997年。ここからシレーニ・エステートの歴史が始まりました。

ホークス・ベイは「ニュージーランドのフルーツボウル」と呼ばれる産地。
年間の降雨量や気温はボルドーやブルゴーニュに良く似ており、
ソーヴィニヨン・ブランやピノ・ノワールが植えられている
冷涼なマルボロに比べると平均気温は高く、
厚みのある味わいのメルロやシャルドネといったブドウ品種が
成功している産地でもあります。

現在でこそ多くのワイナリーが進出しているホークス・ベイですが、
シレーニを立ち上げた当時は、辺り一面牧場で、いるのは羊ばかり。
ワイン畑は一つもなかったとか。





















↑こちらは2016年現在のホークス・ベイにあるシレーニの畑。
 広大な土地にブドウ畑が広がっています。

そんな場所を、グレアム氏とグラント氏は少しずつ開拓して
ワイナリーを大きくしていきました。
シレーニ・エステートは、まさにホークス・ベイのパイオニアと言えます。

シレーニのワインと言えば、ソーヴィニヨン・ブランが知られていますが、
実は、ホークス・ベイに拠点をもつシレーニの真骨頂は、
シャルドネとメルロにあります。
特にメルロは、Mr.メルロことグラント氏渾身の1本。



















↑セラー・セレクション・メルロ / シレーニ 
 
 
世界中でワイン造りを学んだグラント氏の
ボルドーの修行先は、サンテミリオンのトップシャトーの一つ、シャトー・パヴィ。
厚い泥の層が砂利質を覆うというホークス・ベイの土壌が、
ボルドーの右岸の土壌に良く似ていたことからメルロを植え始めたそうです。

Mr.メルロと呼ばれるグラントさんには、
来日時にエノテカのスタッフから必ずされる質問があります。
それが

 「お好み焼きはもう食べましたか?」(笑)

2001年の初来日以来、数えきれないほど来日しているグラントさん。
実は日本のお好み焼きが大好きだそうで、
来日すると必ず食べているとか。


















このお好み焼きに合うのは、
何と言ってもシレーニのセラー・セレクション・メルロ。

お好み焼きの甘辛いソースの風味が、
よく熟したチェリーやプラムのアロマとなめらかな果実味をもつ
やさしい味わいのセラー・セレクション・メルロとマッチします。

エノテカのスタッフがニュージーランドを訪れた際には、
現地でワイナリーの皆さんにお好み焼きを振る舞って大好評だったとか。

お寿司や天ぷらにニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランは鉄板ですが、
現地のチーフワインメーカーも太鼓判を押すお好み焼きとの組み合わせも、
ぜひ一度試してみてはいかがでしょう♪

2016年10月9日日曜日

スペインの名門トーレス社の次期当主が来日!

スペイン・カタルーニャで創業したスペインワイン界の名門、トーレス社より、
現当主4代目ミゲル・A・トーレス氏のご子息であり、
5代目として将来のトーレスを担うと言われるミゲル・トーレス・マクサセク氏が来日。
エノテカのインタビューに答えていただきました。






















↑ミゲル・トーレス・マクサセク氏
物腰はとっても穏やかで、まるでロイヤルファミリーのようなオーラがありました。

1979年、トーレス社が他のワイナリーに先駆けて
チリに進出したことは知られていますが、
これを進めたのが彼の父である現当主のミゲル・トーレス氏。

ステンレスタンクや小樽の導入といった革新的な取り組みで
チリワイン全体の品質向上を牽引しました。

こちらの5代目ミゲル・トーレス・マクサセク氏は2009年からチリに在住し、
フェアトレード、オーガニック栽培、伝統品種パイスの復活など
新しいプロジェクトを実現させてきました。(⇒詳しい記事はこちら)
現在はスペインに戻り、トーレス社全体を統括されています。

トーレス社は、2014年、2015年と2年連続で
「世界で最も尊敬されるワイナリー」に選ばれていますが
その背景には、地球環境や伝統品種への熱心な取り組みがあります。
特に近年力を入れているのが地球温暖化対策で
膨大な研究開発費を、この地球温暖化対策に注いでいるそうです。

 「自然の恩恵を受けるワイナリーの責任です。」

と語るトーレス氏。地球環境に配慮したワイナリーづくりを押し進めており

 「これはまだ夢ですが、近い未来に最終的には100%自家発電で運営できる
  サスティナブルなワイナリーを完成させたい。」

と、熱心にその取り組みを語ってくださいました。

最後に、ご自身の代で一番取り組みたいことは?
と尋ねるとこんな答えが返ってきました。

 「やはり、プレミアムワインを造りたい。」
 「我々はワインメーカー。どの世代でもより良いワインを造る必要がある。」

実は、新しい土地を購入して、
未来のアイコンワインを生み出すプロジェクトが進んでいるとか。

そのために家族の協力は不可欠で、
同じくワインメーカーの姉、ミレイア・トーレスさんや、
叔母であり、カリフォルニアでワイン造りを行っているマリマー・トーレスさんとは、
いつもお気に入りのワインを持ち寄って「どこがフェイバリットなのか」
と、日々意見交換をしているそうです。



















↑ミゲル・トーレス・マクサセク氏と、 
姉でありジャン・レオンのマネージング・ディレクターおよび、
トーレス社の研究施設に勤務するミレイア・トーレスさん。

そこで、ミゲル・トーレス・マクサセク氏のフェイバリットワインは?と質問すると

 「マス・ラ・プラナ。ハイクオリティなだけでなく、革新的なワインだから。」

との答え。





















マス・ラ・プラナ 2010年  750ml
スペイン産カベルネ・ソーヴィニヨンの単一畑で生み出される
トトーレスのフラッグシップ。ファーストヴィンテージである
グラン・コロナス・ブラックラベル(現マス・ラ・プラナ)1970年が、
パリ ワイン・オリンピックで、メドック格付け第1級シャトー・ラトゥールなど
トップシャトーを抑えカベルネ・ソーヴィニヨン部門で見事優勝。
これによりトーレス社はトップワイナリーの地位を確立した、
同社の記念碑的ワインです。


終始穏やかに語るマクサセク氏でしたが、
「プレミアムワインを造る。」と答えた時、
内に秘めた大きな野心が少しだけ垣間見えた気がしました。

5代目が造る、マス・ラ・プラナに続くトーレスの新たなプレミアムワイン、誕生が楽しみです。

2016年9月23日金曜日

文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」           映画監督・西川美和さん登場!


先日、第10回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー・エノテカ・ミレで開催され、
映画監督・小説家の西川美和さんにゲストでお越しいただきました!
 
 

















ナビゲーターの山内宏泰さんより、お酒がお好きだと紹介された西川美和さん。
まずはアンティノリが造るシャルドネ100%のワイン、ブラミートを片手に、
西川さんによる乾杯のご発声で会がスタートしました。

西川さんの作品では、お酒を飲む場面が時々見られます。
この秋ご自身により映画化される『永い言い訳』では、
妻を事故で亡くした幸夫が、同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と
麻布十番のビストロで食事をするシーンがあります。
そのテーブルにちらりと映っているのがブルゴーニュワイン。

 「主人公の衣笠幸夫(きぬがささちお)はすごい売れっ子小説家という設定です。
お酒などの文化にも造詣が深いことになっているので、
そういう人が飲むのはこういうもので、行きつけはこういう店であろうと。
私は詳しくないので、撮影させていただいたお店のソムリエさん方に
相談しながら決めました。」

ワンシーンのワインひとつについても、
そこに出てくるのがどういうワインであるべきなのかが詰められており、
そうした細部は映画作りにとって非常に大事なのだそうです。
そして『永い言い訳』では、ワインが印象的に出てくるシーンがもう一度あります。

「トラック運転手のお父さんが1000円ぐらいのチリワインをコンビニで買ってくるのですが、
幸夫はそれを十分美味しいと感じます。
もともと1万円前後のワインを平気で開けるような設定の主人公。
それこそワインにも一家言あるような人物なのですが、
妻の親友家族の生活に出入りするようになり、子どもたちと出会ったりするなかで、
幸夫くんがワイン好きだからと、相手のお父さんが手さぐりで買ってきたワインを
意外と旨いものだな、と主人公が感じるのです。」

幸夫自身の状況や周囲との関係の変化が、言葉ではなく、
どんなワインを飲むかということで表現されています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

主人公の幸夫は、人間の弱い部分や欠点を寄せ集めたような人物ですが、
西川さんがこれまで生み出したキャラクターの中で一番自分自身に近いとのこと。

「みんなとの違和感を感じたり、いま泣くべきところでうまく泣けなかったり。
そういう部分は自分にも多分にあります。
あと、物を書く人間独特の虚実がない混ぜになって、
バランスが悪くなっている部分なんかは自分の職業を反映したところがあります。
幸夫もチヤホヤされている小説家という設定ですが、
中身を開けば子どもっぽいパーソナリティー。
そういう部分は本当に自分に似せて書いています。」
 

西川監督による、小説と映画の表現方法の違いについてのお話は、
改めて、映画を撮ることの大変さと、その表現の深さに気づかされることがたくさん。
ワンシーンごとに、様々な意味や意図が凝縮されていることが実感できるお話でした。


 
最後のQ&Aのコーナーでは、お客様からの熱心が質問がいっぱい!
たくさんの質問にひとつひとつ丁寧に答えていただきました。
とくにあるお客様からの質問、
「創作の核となるものをひとことで表現するとどんなことになりますか?」
へのお答えが心に残りました。


「私の師匠である映画監督の是枝裕和さんは、自分の創作の核はルサンチマンだ。
お前もだろ? な?と言われました。
是枝さんの作品を観るとそんな印象はないですが、
実は批評性や批判精神があるんですよね。
私は、今は怒りとかそういうものではないんですが、
今回も書いたような誰にも言えない苦々しい別れとか、
世間の陽のあたらないところの感情など、
大きな声で言えないことを書いていきたい、と思っています。」


お話をしていただきながら、「美味しい!」と、たびたびグラスを傾けられていた西川さん。
西川さんと共にワインを楽しみながら、 小説と映画という創作の世界や、
映画作りへの深い想いを窺うことができた、 大変充実した会となりました!  
 
 




















◆『永い言い訳』に併せて当日ご提供したワイン
モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨン
2013 赤 税込2,376円

 

映画『永い言い訳』
10月14日(金)全国ロードショー
(C)2016「永い言い訳」製作委員会
配給:アスミックエース 
 
 

 







2016年9月18日日曜日

シャトー・マルゴーのアンバサダー、ティボー・ポンタリエ氏が来日!

ボルドーの格付け第1級シャトー、マルゴーより
アンバサダーを務めるティボー・ポンタリエ氏が来日。

先週、ワインショップエノテカ広尾本店で行われた
テイスティングの模様をお伝えします。


















ティボー氏は、今年春に逝去された前支配人、ポール・ポンタリエ氏のご子息。
以前より香港に住んでシャトー・マルゴーのアンバサダーを務めていましたが
ポール氏が亡くなられてからは、ボルドーとアジアを行き来しているそうです。





















↑ティボー・ポンタリエ氏。若干30歳という若きアンバサダーです。



今回テイスティングしたのはこちらの6種類↓


















まず、ウェルカムワインとして供されたのは、
シャトー・マルゴーが造る唯一の白ワイン、パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー。
ソーヴィニヨン・ブラン100%で仕立てられる珍しい1本です。

 「世界中には、ロワールやチリ、ニュージーランドといった
  ソーヴィニヨン・ブランの銘醸地がたくさんあるけれど、
  ボルドーのソーヴィニヨン・ブランは本当にユニーク!」

とティボー氏。

この白ワインの歴史は大変古く、
19世紀には「ソーヴィニヨン・ブランの白ワイン」として販売されていたとか。
本国フランスと日本で大変人気があるというパヴィヨン・ブラン。
生産量は約12,000本と、赤ワインの1/10に満たない希少さ。

アプリコットなど核系フルーツの熟した香りに、
塩味すら感じる強いミネラル。とてもリッチで驚くほど奥行きのある味わい。
ティボー氏曰く、この日テイスティングした2010年は、向こう30年の熟成が可能とのこと。
そのとてつもない余韻の長さに、
ボルドー・ブランを代表する1本であると改めて確信しました。

















続いて、サードの「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」
「パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー」
最後に「シャトー・マルゴー」が登場しました。

注目は2004年のシャトー・マルゴー。

ティボー氏曰く、

 「良年と言われる2003年、2005年に隠れているけれど、
  今飲んで美味しい、非常に喜びを与えてくれるヴィンテージ。」

シャトー・マルゴーに特徴的なフローラルの香りに加え、
カシスやブルーベリーなどの果実、チョコレートの香り。
口当たりは柔らかく、フィネスが感じられる上品な余韻が印象的です。

















2015年にはセラーをリニューアルしたシャトー・マルゴ―。
区画別の醸造に対応する小型発酵槽をはじめ、
最新設備を完備したセラーに生まれ変わりました。
小型発酵槽の充実によって、精度の高い醸造、アッサンブラージュが可能になったそうです。


今回、ティボー氏がシャトー・マルゴーについて語っていた中で
特に印象的だったエピソードが、サードワインに関するもの。

2012年にリリースされ、瞬く間に市場を席巻したサードワイン
「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」。
実は1999年から造っていましたが、正式にリリースしたのは12年後である2012年だったそう。
さらには、マルゴー・デュ・シャトー・マルゴーの品質を保つために
ひっそりと“フォース・ワイン”まで造っているそうです。

最高の品質を保つためには一切の妥協をしない
シャトー・マルゴーの姿勢が感じられるエピソードでした。

シャトー・マルゴーは、2015年の「ワイン・オブ・ザ・ヴィンテージ」に選出。
これは、高級ワインの取引サイトLiv-exのメンバー440社が評価したもので、
シャトー・マルゴーは過半数を獲得するという圧倒的なトップだったとか。

ますます輝きを増すシャトー・マルゴーから目が離せません。


▼今回の来日に合わせて、シャトー蔵出しバックヴィンテージが勢揃い▼
    シャトー・マルゴーの特集はこちら↓
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_label=MR


2016年9月5日月曜日

アマゾンのランキングで1位を獲得したワインガイド

最近発売されたワインのヴィジュアルガイドブック、
『The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド』
が売れているそうです。

amazonランキングの「Wine Buying Guide部門」にて
1位を獲得(2016年6/23調べ)。
アメリカでは発売から1ヵ月を待たずに8万部刷、
本場フランス、イタリアをはじめ19ヵ国で発売されているとか。


















The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド
/ マデリーン・パケット(著)、ジャスティン・ハマック(著) 日本文芸社 本体1,800円+税

著書は、アメリカの国際的ソムリエ教育機関「コート・オブ・マスター・ソムリエ」
の資格をもつ女性のソムリエ、マデリン・パケットさん。
ウェブサイトwinefolly.comのコンテンツ作りを行うほか、
ワインの解説書や、ソムリエが集まるプロの団体「ギルド・オブ・ソムリエ」
などに関わっているという方です。

「ワイン・フォリー」winefolly.comは、エノテカのスタッフの間でも
ずいぶん前から話題になっていたワイン情報サイト。
カラーのイラストのわかりやすい図解で示される
ワインの味わいやテイスティングの仕組みが非常にわかりやすく、
なぜこんな図解がこれまでなかったのか!と目からうろこでした。

このサイトは、多くの人の支持を得て、
2013年にはインターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションにて
ワイン/スピリッツ部門のブロガー賞を受賞しています。

さて、そんな注目の女性が手掛ける本書。



















こちらは「ワインと食材組み合わせ」の章。
一目で食材に合うワインがわかる、とっても便利な図です。


多くのワイン解説書が、ワインを産地で分け、
それぞれの国の法律で等級づけられた主要な格付けワインを解説するのに対し、
(まずフランスのボルドーの格付けシャトー、
 そして次はブルゴーニュのグラン・クリュというように)
本書は、ワインのタイプやブドウの品種ごとに
その味わいが把握できるようになっています。

ですから、最初にワインの基本が来た後にくるのは
産地ではなく「ワインの9つの種類を知る」という章。

スパークリングワイン、ライトボディの白ワイン、フルボディの赤ワイン
といったカテゴリーごとに、代表的なブドウ品種が示され、
それぞれの香りや味わいの特徴が一目でわかるようグラフ化されています。

さすが、グレープ・ヴァラエタル表示が主流のアメリカらしい視点ですね。

ワインの味わいをロジカルに、体系的に学びたい!という方にはとてもおすすめ。
このチャートを頭にいれておけば、何となく行っているテイスティングが
より実りあるものになりそうです。

ちなみに、フランス発のワインの教科書も売れているようで、
こちらは「ホームパーティーでワインを楽しむ」という章から始まる
フランス人らしいガイド本です。(笑)
こちらも過去のブログで紹介していますので、併せてどうぞ。
▼
http://winetsushin.blogspot.jp/2016/01/blog-post.html

2016年8月9日火曜日

作家・堀江敏幸さん登場!文学ワイン会「本の音 夜話(ほんのね やわ)」

先日、第9回文学ワイン会「本の音 夜話」が
ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー・エノテカ・ミレで開催され、
作家の堀江敏幸さんにゲストでお越しいただきました!





















ナビゲーターの山内宏泰さんから、
ワインが似合う作家、として紹介された堀江敏幸さん。
ですが、堀江さんは「お酒は飲まないです」ときっぱり。
「この話をいただいたときに、これは明らかにおかしいと(笑)
 酔っぱらった人の中で話をするのはまったく抵抗がありません。
 皆さん今日はどんどん飲んでいただければと思います」
との御挨拶で会がスタートしました。

1杯目にサービスしたワインはシャブリ。
最新長編小説『その姿の消し方』の章のひとつ、
「発火石の味」からイメージしてお出ししたもの。
火打石、発火石の香りは、シャブリに特徴的であると言われています。




















◆シャブリ / ダニエル・ダンプ2014 白 税込3,240円


 「「発火石の味」はワイン用語ですが、
 僕は昭和のガキだったので、石なんかよく齧ったわけですよ。
 それこそ、ライターの石とか小石とかいろんなものを齧ったんです。
 ちょっと舐めてみたりとか。
 だから僕はワインより先に発火石の味を知っているわけです。」

ワインの味を知らなくても、ワインの形容やテイスティングの言葉を知っていれば、
味わいの追体験をしたような気持ちになれるそう。

「文芸用語や批評で用いられるような言葉のストックがあって、
 言葉そのものを信用しても味に近づける感じがします。
 ワインを説明する形容だけ見ていても楽しいですよね。
 そこに味が伴わないと浮いた言葉になるというのはわかるんですけど、
 分解酵素の少ない人間にとっては仕方がない。
 読めない外国語の日本語訳を読んでいるときのような、
 あきらめと憧れともどかしさ、それが全部ワインに対してあるんです。」
















ワインから、堀江さんのご著書に登場する美味しそうな料理の話に続き、
フランス留学時代、学生食堂の入り口に山積みにされていたバゲットを
留学生仲間と食べた思い出の話に。
たまたま重なり合ったそのときの状況によって、
硬くなったパンながらとても美味しく、
忘れられない思い出の味となったお話をしていただきました。
 「思い出や記憶をもとに作品を書かれるんでしょうか?」
との山内さんの問いに、

 「実際じゃないものを作って書くことも当然あるでしょうし、
 実際のものを書いても、そのとおりに書けたためしがない。
 後から思い出しながら書くというのは創作なんですね。
 だから書くことはすべて後追いの虚構になるんです。
 モデルがあるなしはまったく関係ない。文字の上では存在しているわけで。
 文字にするということの面白さと怖さは、そこにあると思います。」















そして、「転ぶ」ということにこだわりを持っている堀江さん。
転びやすいという事実と、転ぶという言葉についての思い、両方があるそうです。

 「気をつけているんですけど、本当によく転ぶんです。
 何か信念を持ってなければ、いつでも転ぶんじゃないかという恐怖があるわけです。
 これだけ転ぶ以上はなにか隙があるにちがいない。
 誰かにそこに突かれたら、簡単に寝返ってしまうんじゃないか。
 そうならないようにひとつのことを長く続けるとかですね、
 転ばぬ先の、じゃないけど、そうしたい気持ちはあります。」

最後のQ&Aでは、質問用紙にびっしりしたためた、熱のこもった質問がたくさん!
長編小説『その姿の消し方』を書くきっかけについても質問が出ました。
読み切りの雑誌に短編を書いた際、
ページを文字でぎっしり埋めると読みづらいことから、
詩を入れ、空白を作ることを考えたのだそうです。

 「空白があれば比較的気持ちが楽になると思い、詩を入れようと思いました。
 翻訳詩を3篇載せたんですが、何かの度にその空白が頭をよぎるんです。
 空白の前後にある空気とは、一種の磁場のようなものですね。
 時間が経つうちに、その磁場の中から
 消し得ない記憶が、言葉になってあらわれる。
 その言葉をめぐって書くことにしました。
 それが繋がっていき、6~7年かけてひとつの形になった作品です。」

子どもの頃やフランス留学時のエピソードなど、
ユーモアを交えつつ率直に語られるお話に、会場からは何度も笑いがこぼれました。

堀江さんはお酒ではなく、場や人の気配、
お酒を飲んだ人が醸し出す雰囲気などに酔うことがあるそうですが、
この日はまさにワインだけでなく、
堀江さんのお話が醸し出す和やかで豊かな時間と、
作品だけでは知り得ないユーモアにあふれた優しいお人柄に
酔いしれたひとときとなりました。















『その姿の消し方』(新潮社)
定価1500円+税
最新長編小説。
古い絵葉書に綴られていたアンドレ・ルーシェという
無名の詩人の痕跡を「私」がたどる物語。

2016年8月1日月曜日

今注目を集める「フェアトレードワイン」

最近よく耳にする「フェアトレード」という言葉。

特にコーヒーやカカオ豆、綿といった輸入品について
この「フェアトレード」という冠を見つける機会が多いですが
ワインにも「フェアトレード」の商品があることをご存じでしょうか?

フェアトレードの定義とは

「開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、
 立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す『貿易のしくみ』」
 /フェアトレードラベルジャパン より

とあります。

このフェアトレードを実践している
ワイナリーとして知られているのがチリのミゲル・トーレス。
ご存じ、スペインの名門ワイナリー、トーレス社がチリで手掛けるワイナリーです。
















ミゲル・トーレス・チリの設立は1979年。
ヨーロッパのワイナリーとして初めてチリに進出し、
ステンレスタンクやフレンチオークといった最新技術を持ち込んだ
パイオニアとして知られています。

彼らがチリでフェアトレードの活動を始めたきっかけは
2010年に起きたチリ大地震でした。
地震によって40万リットルものワインを失いましたが、
ワインだけでなく、それを造りだす環境や人々の大切さを実感し、
地震に苦しむ地元の人たちへの支援としてスタートしたそうです。

彼らはまず、37棟もの家屋を建設。
取り組みは加速し、同年にはFAIR FOR LIFE (IMO)のフェアトレード認証を
取得するまでになりました。













チリでも多くのワイナリーがフェア・トレードを取り入れていますが
そのほとんどが、ワイン1種だけであったり、
全生産量の1%未満であったりするようで、
現在認証を生産量の約64%取得しているミゲル・トーレス・チリは、
最大のフェアトレード実践企業と言われています。






















具体的に認証を得るためにどのような取り組みをしているかというと、
殺虫剤、除草剤などの化学薬品は使用せず、100%オーガニックを実践。

そこに暮らす人々の生活を大切にしながら高品質なワインを生み出すため、
土壌や周辺環境に対して、細心の注意が払われています。
そしてこうして造られたワインの利益の一部は保全活動に寄付。
ワインの生産と環境保全が循環するサイクルができています。

また、ブドウの栽培農家には、
市場価格より5%上乗せして支払いを行い、社会貢献に役立てています。

フェアトレードというと、開発途上国で働く人々のサポートというイメージが強いですが
環境を整備し、持続可能な農業に取り組むことも
大切な取り組みの一つなのです。


 










ミゲル・トーレス・チリは環境保全やフェアトレードへの熱心な取り組みが評価され、
2015年にはイギリスの専門誌『ドリンクス&ビジネス』誌にて
「グリーン・アワーズ2015」を受賞。


























↑右から、現当主、ミゲル・トーレス氏。
 真ん中が、次女で、スペインのジャン・レオンのマネージング・ディレクターを
 務める娘のミレイア・トーレス女史。
 左端が、ミゲル・トーレス氏の長男で、ミゲル・トーレス・チリの代表を務める
 ミゲル・トーレス・マクサセク氏
 
ミゲル・トーレス・チリの理念は、

『品質、環境、社会的責任において、
 チリにおける一流のワイナリーであり続けること』

140年以上にわたり家族経営を続ける
世界屈指の名門ワインファミリーであるトーレス。
次世代へバトンを渡すために、土地や人々を大切にするという想いは、
家族経営のワインだからこそ強く受け継がれているようです。

フェアトレードにしても、
近年フランスの一流ワイナリーが次々と取り入れているビオディナミにしても、
共通しているのは「環境に配慮した、持続可能なワイン造り」。

こういった取り組みが、ワイン選びの選択肢の一つとして
注目される日も遠くなさそうです。


▼ミゲル・トーレス・チリの特集はこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/item/list?_producer=594&_sq=desc