2016年12月5日月曜日

ミニマリズムを追及するシャンパーニュトップメゾン来日!

今年のシャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権にて
生産者として最高賞「プロデューサー・オブ・ザ・イヤー」と、
クリスタル2002年(マグナムボトル)が、「シュープリーム・ワールドチャンピオン」
「ベスト・フレンチ・スパークリング」をW受賞!という快挙に輝いた、
今最も注目のシャンパーニュメゾン、ルイ・ロデレール。

先月、副社長 兼 シェフ・ド・カーヴ(栽培・醸造責任者)を務める
ジャン・バティスト・レカイヨン氏が初来日!
スタッフ向けにセミナーが行われました。





↑ジャン・バティスト・レカイヨン氏
栽培と醸造、さらには副社長として経営に携わるスーパーワインメーカーです。


ルイ・ロデレールに入社して28年目というレカイヨン氏。
フランス国立農学学院の醸造と栽培両部門を首席で卒業。
その才能をルイ・ロデレールの先代ジャン・クロード・ルゾー社長に見初められ、
同社に入社しました。

“天才醸造家”と呼ばれる所以はもちろん
ワインメーカーとしての優秀さにありますが
彼のすごいところは、シャンパーニュだけでなく、
南仏のプロヴァンス、ボルドー、カリフォルニアのワイン造りも統括していることに加え、
家族経営の会社としては珍しく、創業家ではないワインメーカーながら
副社長として経営にも加わっていること。


75%以上という高い自社畑比率を誇るルイ・ロデレール社。
長期的な視点で畑の手入れを行い、良質なブドウを手に入れなければ
良質なシャンパーニュは生まれません。

オーナーがそのことを深く理解しているからこそ、
創業家ではないワインメーカーを副社長に抜擢する、
という決断ができたのかもしれません。























早速試飲したワインをいくつかご紹介します。

























ブリュット・プルミエ

こちらはルイ・ロデレールのスタンダード・キュヴェであり
名刺代わりの1本。

レカイヨン氏が「ノン・ヴィンテージと呼ぶにはもったいない!」と話すように
その7割以上が単一のヴィンテージ・キュヴェで造られています。
そしてこのスタンダード・キュヴェのすごいところが
熟成ポテンシャルを持ち合わせていること。

通常ノンヴィンテージのシャンパーニュを寝かせて飲むことはありませんが、
このブリュット・プルミエは、2~3年セラーで寝かせると、
フィネス、ミネラルなど、ヴィンテージの個性がどんどん出てくるとか。

ケースで買っておいて、少しずつ熟成による変化を楽しむ「通」もいるそうです。


























ブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデル

こちらは2006年のファーストリリースに続く最新作の2009年度産。

ノン・ドサージュで限りなくナチュラルに造られるキュヴェですが、
レカイヨン氏によるともう一つ大きなコンセプトが。

このキュヴェに使われるブドウは全て粘土質土壌の畑のもの。
粘土質土壌から生まれるブドウは「スケールの大きな果実味が特徴的」で、
ブドウがよく熟したヴィンテージという点が大切とのことでした。

2009年は、まさにブリュット・ナチュールにとって理想的なヴィンテージ。
限りなくナチュラルに造るため、収穫のタイミングも
ビオディナミカレンダーに沿って行います。

味わいはノンドサージュとは思えないほど、丸みがありリッチ。
後味にうっすらと塩味のようなミネラルを感じます。
“限りなくピュア”という使い古された表現が
これほどぴったりくるワインはそうないのでは、と思わせる1本です。

ワイン単体で楽しむもよし、
レカイヨン氏曰く、シーフードと合わせるのもおすすめだそうです。


























クリスタル 2009年

こちらはルイ・ロデレールが誇るプレスティージュ・キュヴェ。
2002年のクリスタルは、今年行われたスパークリングワイン世界選手権にて
「シュープリーム・ワールド・チャンピオン」
「ベスト・フレンチ・スパークリングワイン」の2冠を達成した、
まさに世界のスパークリングワインの頂点と言っても過言ではないキュヴェです。

このクリスタルには、ブリュット・ナチュールとは対照的に、
石灰質土壌で育ったブドウだけを使っています。

石灰質土壌から生まれるブドウの特徴は
「パワーと凝縮感、長期熟成のポテンシャル、そしてフィネスとエレガンス」
それらを最大限に表現したのがこのクリスタルなのです。

ルイ・ロデレールでは、古くから自社畑に自生したピノ・ノワールを
マサル・セレクションで接ぎ木してきたため、
200種以上のクローンが存在しており、その多様性こそが
クリスタルの個性を形づくっているそうです。





今回のセミナーにおいて改めてわかったのは、
ルイ・ロデレールが目指すスタイルが“ミニマリズム”であること。
レカイヨン氏が何度も“ミニマリズム”という言葉を使っているのが印象的でした。
ミニマリズムとはアートやファッションの世界でよく使われる言葉で、
直訳すると「最小限主義」ですが、無駄や装飾を排除した究極のシンプルさ、
と解釈されることが多いようです。

ワインの中でも、人の手で造りこまれたゴージャスなイメージのあるシャンパーニュ。
そのトップメゾンが「ミニマリズムを追及したい。」とは少し衝撃的です。

具体的にどのようにして追及しているかというと、
レカイヨン氏曰く「スタイルは重要ではない。土地に由来することが重要。」

つまりは、テロワールをピュアに表現することを追及しているのです。
そのために、1950~60年代の、化学肥料を使用していなかった時代に回帰しようと、
なるべく自然のままにブドウが育つよう、ビオディナミ栽培をはじめ
畑の手入れに力を注いでいるそうです。

また、ルイ・ロデレールでは、
ほとんどのキュヴェでマロラクティック発酵を行いません。
マロラクティック発酵を行うと、シャルドネを使ったキュヴェなどに
「バターの風味」が付くこと(若いときにそういった香りが出るのは好みではないそうです)
また、熟成が早く進んでしまうことから、マロラクティック発酵を行わないそうです。






















シャンパーニュ地方で最大のビオディナミ栽培者であるルイ・ロデレール。
現在はトップキュヴェであるクリスタルのビオディナミ栽培比率は50%強ですが
2020年には100%になる予定です。

シャンパーニュ界のトップメゾンが目指す「ミニマリズム」。

余計なものを排しても、力強い輝きを失わないのは、
その土台にあるものが揺るぎないからに違いありません。





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