2015年4月14日火曜日

小説家・平野啓一郎さん登場!第3回文学ワイン会『本の音 夜話(ほんのね やわ)』

先月、ワインショップ・エノテカ 銀座店 カフェ&バー エノテカ・ミレにて、
3回文学ワイン会『本の音 夜話(ほんのね やわ)』が開催されました。

文学ワイン会とは、毎回1人の作家をゲストでお迎えし、
おいしいワインを飲みながらお話を聴くという、
文学とワインが同時に楽しめるイベントです。

そして第3回目のゲストとして、
芥川賞作家の平野啓一郎さんにご登場いただきました。
















文化庁の文化交流使として、パリに1年間滞在した経験がある平野さん。
それをきっかけによくワインを飲むようになったそう。

 「パリのカフェやレストランに行くと、大体サンセールがあるんですよ。
  パリでは夏、ビールよりも白ワインを飲む人が多く、
  そういうときによくこれを飲んでいました。
  サンセールを飲むと懐かしい気持ちになります」

そのエピソードに合わせてお出ししたのが、パスカル・ジョリヴェのサンセール。
グラスを傾けつつ、トークを進めていただきました。

 「ブルーノートではお酒を飲みながら聴けるでしょう。
  文学の話もそういうライブハウスみたいに、
  お酒を飲みながら聴いてもらうのもいいかなあと」

学生時代には3年間のバーテンダー経験もあり、
そのユニークなエピソードは会場を大いに沸かせていました。
















最新小説は、31日から毎日新聞朝刊で連載中の『マチネの終わりに』。
“マチネ”とは、コンサートの「昼の部」の意味。
このタイトルを決めるのにとても苦労したとのこと。
始まりだけで数百枚が没になったそうです。

そのテーマは“恋愛”。


 「純文学というジャンルで、いわゆる恋愛小説って意外と少ないんです。
  恋愛が扱われているけど、小説の全体を見ると
  あくまでも一要素に過ぎない感じがします。

  恋愛小説とは何かというのを考えていろいろ読んでいたんですけど、
  ゲーテの『親和力』もトルストイの『アンナ・カレーニナ』も、
  恋愛が中心的な主題ですが、恋愛小説というのかというと、ちょっとためらわれます

そうして描かれるのは、今の時代を捉えた大人の恋愛小説。

 「目指すのは、ページをめくる手がとまらない、というよりも、
  ページをめくる手を止めて、ゆっくり読みたくなる小説です。
  文明の発展で今、人間は疲れていて、テクノロジーが進歩すればするほど、
  人間は今後未来永劫、疲れ続ける存在なのでは、という気がします。
  そんな中、小説を読むということはどういう意味があるのか。
  小説を読む時間だけは、違うテンポを体験してほしい、と思っています」 






















平野さんが繰り出す面白いエピソードやトークに、会場は何度も笑いの渦に包まれました。
加えて、現代の小説の在り方や創作への深い思いがお伺いできる、
大変に貴重なひと時となりました。

☆次回の「本の音 夜話(ほんのね やわ)」は20155月に開催予定です。

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毎日新聞紙面の内容を順次公開中(新聞掲載の10日後)




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