先日、チリのモンテス社より、
輸出部長のエドアルド・スターク氏が来日。
モンテス社の新しい取り組みなどについて、インタビューを行いました。
実は今年は、日本におけるチリワインの輸入量が、
長年不動の首位を守っていたフランスを抜いて1位になりそうという
ニュースが話題になっています。
チリワインの大躍進について聞いてみたところ、
「チリワインのスタイルは、
旧世界のワインと、新世界の中でもオーストラリアワインの中間。
旧世界にはないフルーティーさがありながら、オーストラリアほどへヴィではない、
果実のおいしさを前面に出したスタイルが、世界で支持されていると思います。」
先日行われたデキャンタ・ワインアワード※特集はこちら でも
審査では「よりエレガントでブドウの果実味を素直に表現したワイン」が
最近のトレンドになっているというお話がありました。
モンテスでもそういったトレンドを意識するようになったのでしょうか?
「もちろん。最近では木樽の使用は最小限にして、
ブドウの Purity=純粋さ を生かした造りにシフトしている。
女性と同じ。元がいいブドウは、厚化粧しないほうがいいでしょう?
日本のお客様で20年来モンテスのワインを愛用してくれている方から
最近のモンテスのワインはエレガントになってきた、
とお褒めの言葉を頂いたんですよ。」
とエドアルドさん。
最近何かと話題になっている地球温暖化について尋ねると、
モンテスでは、「ドライファーミング」という方法に
取り組んでいるとの答えが返ってきました。
チリでは、地球温暖化によってアンデス山脈の氷が溶け、
年々降雨量が減少しているそうです。
毎日アンデス山脈を観察していたアウレリオ・モンテス氏は
そのことにいち早く気づき、水が少ない環境でブドウがどのように育つのか、
調査と実験を行うことにしました。
灌漑設備を使って、70%、50%、20%、0% と、
畑に水を与える量を変えて実験したところ、驚くべき結果となりました。
0%の区画については、初年度は全く実を付けませんでした。
ところが、2年目以降は、小さいながらも
凝縮した風味をもつブドウの房が実るようになり、
この灌漑0%のブドウが最も高い品質のワインを生み出すことがわかったのです。
もちろん、ブドウの樹が死んでしまわないように最低限の水は与えるそうです。
この0%の灌漑によって、ブドウの樹は水が少ない状態に適応し、
根をしっかりと地中に張って強くなる。
水を与えるのではなく、
水がなくても生きていける強いブドウを育てるという発想です。
↑左がドライファーミングのブドウ。造られるワインの量は通常の約半分。
このドライファーミングを本格的に導入したのが2012年ヴィンテージ。
ブドウの房の大きさは通常の半分のため、皮の比率が高く
それによって十分エキス分が抽出でき、ルモンタージュの必要がなくなり
ワインの味わいはよりエレガントになったそうです。
また、ドライファーミングによって、
それまで灌漑に使用していた水の60%を削減。
チリで2万人の人々が使用する量を節水することに成功したそうです。
このドライファーミングの導入について、チリでは
ドライファーミングは、雨の多いフランスでやるもの。
チリでやるなんて信じられない!と言う反応が大半だったとか。
いいブドウは獲れるけれど、収量は約半分になるため
導入しているワイナリーはほとんどありません。
サスティナビリティ(持続可能な農業)を目指しているモンテスにとって
高品質なワインを造りながら、大切な資源である水を守ることはとても重要なこと。
さすが、チリワイン界のパイオニアであり
今も最先端を走り続けるワイナリーならでは。
創業して20数年という比較的歴史の浅いモンテス社ですが、
着々と次世代への取り組みは進んでいるようです。
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